建設業

作業員名簿とは?書き方と記入例|書くべき6項目と、元請も対象になる理由

作業員名簿とは。様式は自由で、必ず書く6項目がある

現場から「作業員名簿を出してください」と言われて、正直どこから手をつけていいか分からない。

しかも名簿は、項目がひとつ抜けているだけで元請から差し戻され、書き直しになることがあります。

当事務所でも、秦野市をはじめ神奈川県内の建設業者さまから建設業許可・決算変更届・経営事項審査のご相談をお受けするなかで、元請の事務担当の方や、下請で初めて名簿をつくる職人さんから、次のようなご質問をいただいたことがあります。

「様式はこれで合っているのか」「うちの会社の分も書くのか」「資格がない人はどう書けばいいのか」。

ネットで探すと、様式のダウンロードページはたくさん出てきます。でも、なぜその項目が必要なのか元請も書かないといけないのかまで、条文にさかのぼって説明しているページは意外と少ないです。

この記事でわかること

  • 作業員名簿に必ず書く6項目(+外国人従事者の欄)
  • 「元請は書かなくていい」が誤りである条文上の理由
  • 様式が自由な理由と、テンプレートを選ぶときのチェック項目

執筆・監修

やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県行政書士会所属/登録番号 第12082434号)

秦野市を拠点に、神奈川県内の建設業者さまから建設業許可・決算変更届・経営事項審査のご相談をお受けしています。

本記事の法令の内容は、e-Gov法令検索で建設業法・建設業法施行令・建設業法施行規則・公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律・健康保険法の現行条文を確認したうえで記載しています(2026年8月19日確認)。

目次

作業員名簿とは? — まず結論から

作業員名簿とは、現場で工事に従事する人の氏名・職種・資格などをまとめた一覧表のことです。元請・下請を問わず、その現場で働く人の情報を書きます。

この名簿は、施工体制台帳という書類の一部としてつくります。施工体制台帳=下請を使って工事をするときに、誰がどんな体制で工事をしているかを示す台帳、とイメージしてください。

実は「作業員名簿」は、建設業法にも施行令・施行規則にも出てきません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいポイントです。

建設業法・建設業法施行令・建設業法施行規則、この3つの法令の条文をすべて対象に、「作業員名簿」という言葉が何回出てくるかを数えてみました。結果は0件です(2026年8月19日時点の現行条文で確認)。

これに対して、施工体制に関する書類として条文に出てくる名前は、次の3つです。

  • 施工体制台帳
  • 施工体系図(下請の関係を一覧にした図)
  • 再下請負通知書(後で詳しく説明します)

では「作業員名簿」とは何なのか。正体は、施工体制台帳に書くべき項目のうち、「工事に従事する人」に関する部分(建設業法施行規則14条の2第1項2号チ・4号チ)を、実務上1枚の表にまとめたものの通称です。

ややこしいのは、国土交通省自身は「作業員名簿(作成例)」という名前で書式を公開していることです。名前が使われていないわけではありません。条文(法律・政令・省令)のうえに、その書類名が無いという話です。

つまり法律は、「作業員名簿という紙を出せ」とは言っていません。法律が定めているのは、書くべき項目(記載事項)のほうです。この違いが分かると、後で出てくる「様式は自由」という話も、すんなり理解できます。

2020年10月1日に、記載事項が拡充されました

作業員名簿のもとになっている「従事者情報」の記載事項は、2020年10月1日の建設業法施行規則改正で追加されたものです。

この改正は「作業員名簿の作成が加わった」と説明されることもあります。条文のうえで加わったのは、施工体制台帳の記載事項としての「建設工事に従事する者に関する事項」です。どちらも同じことを指していますが、条文をたどるとこうなっている、と知っておくと、あとの「様式は自由」の話がすんなり入ります。

⚠️ ちなみに、外国人従事者に関する欄(一号特定技能外国人・技能実習生)は、この2020年10月の改正より前から記載事項に入っていました。「2020年10月に外国人の欄ができた」という説明を見かけることがありますが、これは正確ではありません。

作業員名簿はいつ必要になる?

先に整理しておきます。名簿を求められる場面には2通りあります。

①法令上の義務…施工体制台帳をつくる工事で、その記載事項として書く

②元請の現場ルール…それとは別に、元請が現場管理のために提出を求める

②は台帳の作成義務がない工事でも起こります。まず①から説明し、②は後半の「台帳が要らないはずの現場で、名簿を求められるのはなぜ?」で扱います。

ここからは①の話です。作業員名簿が法令上の義務になるのは、そもそも施工体制台帳をつくる義務がある工事のときです。ざっくり言うと、次のようなラインになっています(2026年8月現在)。

  • 元請(特定建設業の許可を持つ会社)が発注者から直接請け負い
  • 下請に出す金額の合計が、5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上

このラインは2025年2月1日に引き上げられました(それ以前は4,500万円・建築一式工事は7,000万円でした)。

さらに公共工事については、この金額のルールがそのまま当てはまりません。一般建設業の許可であっても、下請契約を1件でも結べば、金額を問わず施工体制台帳が必要になります(入契法15条1項による読み替え)。

「いつ台帳が必要になるか」という判断は、実務でいちばん間違えやすいところです。金額ラインと公共工事の扱いについては、別記事で詳しく整理しています。

この記事では、「台帳が必要になったときに、その中の作業員名簿部分に何を書くか」に絞って解説します。

誰が作る?「元請は書かなくていい」は誤りです

作業員名簿については、こんな誤解をよく見かけます。

「作業員名簿は下請の書類だから、元請は不要」

これは誤りです。条文を見ると、元請の分もしっかり記載事項に入っています。

作業員名簿は元請も下請も書く。建設業法施行規則14条の2第1項2号チが元請(作成建設業者)が請け負った工事に従事する者を、同項4号チが下請負人が請け負った工事に従事する者を、それぞれ記載事項として定めている。

元請(作成建設業者)の分を書く根拠

建設業法施行規則14条の2第1項2号チは、作成建設業者(施工体制台帳をつくる側、つまり元請)が請け負った工事に従事する人について、氏名や資格などを記載事項として定めています。

「元請だから名簿は関係ない」ということはなく、元請自身の作業員も対象です。

下請の分を書く根拠

同じ条文の4号チが、下請負人が請け負った工事に従事する人についても、同じ内容を記載事項としています。まとめると、こうなります。

立場根拠条文書く内容
元請(作成建設業者)規則14条の2第1項2号チ元請自身が抱える作業員の情報
下請同項4号チその下請が抱える作業員の情報

実務では、下請の会社が自社の作業員分をまとめて元請に提出し、元請がそれらを施工体制台帳にまとめていく、という流れが一般的です。

一人親方はどうする?

はじめにお断りしておくと、条文に「一人親方」を名指しした規定はありません。以下は規則14条の2第1項4号チの当てはめによる整理です。

一人親方(会社に所属せず、個人で工事を請け負う職人)も、その現場で建設工事に従事する以上、同号が定める「(下請負人が請け負った)建設工事に従事する者」に当たると整理できます。

自分自身が下請契約の当事者であっても、氏名や資格などの項目は、この条文の読み方に沿って名簿に記載するのが実務上の対応になると整理できます。

作業員名簿に書く6つの項目+外国人従事者の欄

ここが本題です。作業員名簿には、何を書けばいいのでしょうか。建設業法施行規則14条の2第1項2号チ・4号チが定める記載事項は、次の6つです。

No.項目内容
氏名・生年月日・年齢基本的な個人情報
職種とび、型枠大工、電気工事士など
社会保険の加入等の状況医療保険・年金・雇用保険、それぞれの加入区分
退職金共済(建退共・中退共)の加入区分中小企業退職金共済法上の「被共済者」に当たるかどうかの別
安全衛生教育受けているときは、その内容
資格建設工事に関する知識・技術・技能の資格

これに加えて、一号特定技能外国人(特定技能1号の在留資格を持つ人)と外国人技能実習生については、その従事状況も記載事項です(同項2号リ・4号リ)。

※条文上、対象は「第一号」の特定技能に限られています。特定技能2号は、この記載事項の対象として条文には明記されていません。

作業員名簿に書く6項目の早見表。①氏名・生年月日・年齢、②職種、③社会保険(医療保険・年金・雇用保険)の加入等の状況、④中退共の被共済者か否かの別、⑤安全衛生教育を受けているときはその内容、⑥建設工事に係る知識・技術・技能の資格。⑥だけは本人が希望しない場合に除くことができる。加えて一号特定技能外国人と外国人技能実習生の従事状況も記載事項。

資格欄(⑥)だけは、本人が希望しなければ省略できる

条文には、ひとつだけ例外があります。「建設工事に従事する者が希望しない場合においては、(⑥)に掲げるものを除く」という一文です。

つまり、本人が資格の記載を希望しなければ、⑥の資格欄だけは書かなくてよいということです。①〜⑤には、この例外はありません。

実際に「資格がない人はどう書けばいいですか」というご質問をいただいたことがあります。

条文が記載事項としているのは「建設工事に係る知識及び技術又は技能に関する資格」なので、該当する資格が無ければ記載する内容が生じない、というのが条文の読み方です。そのうえで、本人が資格の記載を希望しない場合は、⑥だけを除くこともできます。

混同しやすいのですが、「資格を持っていない」と「本人が記載を希望しない」は別の話です。前者はそもそも書く内容がないだけ。後者は資格があっても⑥を除ける、という条文上の例外です。

④の退職金共済は、建退共も含みます

④を「中退共(中小企業退職金共済)の欄」とだけ説明している解説を見かけますが、条文はもう少し広く読めます。

規則14条の2第1項2号チ(4)が記載事項としているのは、中小企業退職金共済法2条7項に規定する「被共済者」に当たるかどうかの別です。そして同法2条7項の被共済者は、「退職金共済契約又は特定業種退職金共済契約」によるものと定義されています。さらに同条4項は、その「特定業種」に建設業が含まれると定めています。

つまり④は、建退共(建設業退職金共済)と中退共のどちらも対象です。現場で使われる様式に「建退共」「中退共」の欄が並んでいるのは、この条文の読み方と整合しています。条文が求めているのは「被共済者に該当するか否かの別」なので、どちらに該当するのか(どちらにも該当しないのか)が分かるように書けば足ります。

「社会保険」の欄には何を書く?

③の社会保険は、次の3つの加入状況をまとめた呼び方です。

  • 医療保険(健康保険または国民健康保険)
  • 年金(国民年金または厚生年金保険)
  • 雇用保険

それぞれについて、加入しているかどうかの区分を書きます。

書いてはいけないもの:健康保険証の記号・番号

ここは意外と見落とされがちな注意点です。

健康保険法194条の2第3項は、何人も、業として行う行為に関して、自分に対して売買・貸借・雇用その他の契約の申込みをしようとする者や、自分と契約を締結した相手に対し、その相手本人だけでなく相手以外の者(たとえばその会社が雇う作業員)に係る「被保険者等記号・番号等」の告知を求めてはならない、と定めています(厚生労働大臣等が同条1項の場合に求めるときなど、同項各号の例外があります)。

🚨 作業員名簿の社会保険欄も、この考え方に沿って運用するのが安全です。書くのは「加入しているかどうか」の区分までにとどめ、健康保険証に記載された記号・番号そのものは書かないようにしましょう。

様式は決まっている? → 決まっていません

ここまで読むと分かるとおり、条文が定めているのは記載事項(何を書くか)だけです。

様式(どんな紙にどう書くか)は、法令上どこにも定められていません。

法令が定めているのは記載事項だけで、様式は自由。6項目と外国人従事状況を満たしていれば、自社で作った表でも、業界団体の統一様式でも構わない。

施工体制台帳の添付書類を定めた規則14条の2第2項を見ても、そこに列挙されているのは契約書の写しや資格を証する書面などです。「作業員名簿」という書式そのものは、ここにも出てきません。

つまり、先ほどの6項目+外国人従事状況を漏れなく満たしていれば、様式は自由です。自社で独自に作った表でも、法令上は問題ありません。

国土交通省も同じことを書いています

「施工体制台帳・再下請負通知書・施工体系図・作業員名簿(以下、「各様式」という。)は、法令上、記載しなければならない事項が網羅されていれば、作成例以外の様式を利用することも可能です。」

出典:国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」(2026年8月19日閲覧)

業界団体の統一様式との関係

作業員名簿を調べていると、「全建統一様式第5号」という呼び方をよく見かけます。

これは、一般社団法人 全国建設業協会が公開している「全建統一様式」(施工体制台帳・再下請負通知書・労務安全に関する届出書の様式集)のうちの一つを指す、現場での通称です。

大事なのは、これが法令で「これを使いなさい」と定められた唯一の様式ではないという点です。あくまで業界で広く使われている統一様式であって、法令上の義務は前の項で見た記載事項のほうにあります。

なお様式集は改訂されることがあり、様式番号と最新版の対応は発行元の公式サイトでご確認ください(当事務所が2026年8月19日に同協会サイトを確認した時点では、様式番号の一覧はサイト上では確認できませんでした)。

現場によっては、元請や発注者から特定の様式を指定されることもあります。その場合はもちろん指定に従うのが実務上スムーズです。

ただ、法令上の義務としては、様式そのものではなく記載事項を満たすことが本質だと理解しておくと、様式が違う現場に当たっても慌てずに対応できます。

テンプレートを使うときの注意

ネット上にはさまざまな作業員名簿のテンプレートが出回っています。法令上は特定の様式に限定されないので、どれを選ぶかは自由です(元請から様式の指定がある場合は、そちらが優先です)。ただし、チェックすべきは見た目ではありません。

項目がちゃんと入っているか、これだけです。使う前に、この7点を上から照合してみてください。

  • ① 氏名・生年月日・年齢の欄がある
  • ② 職種の欄がある
  • ③ 社会保険(医療保険・年金・雇用保険の3つ)の加入区分の欄がある
  • ④ 退職金共済(建退共・中退共)の被共済者に当たるかどうかの欄がある
  • ⑤ 安全衛生教育の内容を書く欄がある
  • ⑥ 資格の欄がある
  • + 一号特定技能外国人・外国人技能実習生の従事状況の欄がある

ひとつでも欄が無いテンプレートは、そのまま使うと記載事項が抜けます。

国土交通省の作成例(Excel)をダウンロードする

ゼロから表を組むより、公式の作成例を土台にするほうが早道です。国土交通省は「作業員名簿(作成例)」をExcelファイルで公開しています。

📄 国土交通省「作業員名簿(作成例)」

作業員名簿(作成例)のページ(同ページから Excelファイル をダウンロードできます)

出典:国土交通省「建設産業・不動産業:作業員名簿(作成例)」(2026年9月4日閲覧)

このページには、実務でつまずきやすい点についての説明も置かれています。とくに次の2つは、ご質問をいただくことが多いところです。

  • 現場ID・事業者ID・技能者IDは、建設キャリアアップシステムに登録されている場合に記載するもので、登録していなければ記載は不要と説明されています
  • 建設キャリアアップシステムから出力される様式例も、建設業法施行規則で記載が義務付けられている事項がすべて含まれており、法令に適合すると説明されています

「IDの欄が空欄だと差し戻されるのでは」と心配される方がいますが、CCUSに登録していなければ、そもそも書く内容がありません。逆にCCUSを運用している現場なら、システムから出力した名簿をそのまま使えます。

資材業者・警備業者も名簿に書く?

現場には、工事を請け負っていない人も出入りします。資材を運び入れる業者、警備員、リース会社の担当者などです。

結論から言うと、建設工事の完成を請け負っていない業者は、施工体制台帳の記載対象ではありません

条文をたどると、こうなります。建設業法2条2項は「建設業」を建設工事の完成を請け負う営業と定義し、同条4項は「下請契約」を建設業を営む者どうしが結ぶ請負契約としています。資材の売買や警備の委託は、建設工事の完成を請け負う契約ではありません。だからその相手は下請負人にあたらず、規則14条の2が定める記載事項の対象にもならない、という筋道です。

国土交通省の説明

「建設業者以外の者で、建設工事の完成を請負っていない資材業者・警備業者等については記載の義務はなく、また、各様式への押印も必要ありません。」

出典:国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」(2026年8月19日閲覧)

ただしこれは「法令上は書かなくてよい」という話です。元請が現場の入退場管理として記入を求めることはあります。次の項で説明します。

台帳が要らないはずの現場で、名簿を求められるのはなぜ?

「うちの工事は5,000万円にぜんぜん届かないのに、名簿を出せと言われた」。これもよくあるご質問です。

整理すると、次の2つは別の話です。

  • 法令上の義務:施工体制台帳の記載事項として、従事者の情報を書く(規則14条の2)
  • 元請の現場ルール:それとは別に、元請が現場管理のために自社様式での提出を求める

後者の場合、様式も提出範囲も法令ではなく元請との取り決めで決まります。だから、台帳の作成義務が生じない規模の工事でも、名簿の提出を求められることがあります。

このときは、法令の6項目にこだわるより、元請に「どの様式で、どこまで出せばよいか」を確認するのが早道です。

国土交通省も「発注者より、法令以外の項目も含めて記載・作成するよう指示がされる場合もありますが、その点については発注者とよく協議いただければと思います」と説明しています。法令の外側の話は、相手と決めるしかない、ということです。

自社の工事は対象? 施工体制台帳がそもそも必要な工事かどうか気になる方は、施工体制台帳は必要?5,000万円ラインと公共工事の落とし穴 をご覧ください。判断に迷う場合は、お問い合わせフォーム からお気軽にご相談ください。

記入例(架空データ)

イメージをつかむために、架空の記入例を載せます。実在の人物とは一切関係ありません。

氏名生年月日/年齢職種社会保険(医療/年金/雇用)中退共安全衛生教育資格
山田 太郎(例)1985年4月1日/41歳とび工健康保険/厚生年金/雇用保険:いずれも加入該当新規入場時教育 受講済み玉掛け技能講習 修了
佐藤 花子(例)1992年9月10日/33歳電気工健康保険/厚生年金/雇用保険:いずれも加入非該当新規入場時教育 受講済み(本人の希望により記載なし)

※スマートフォンでは、表を横にスクロールしてご覧いただけます。

2人目のように、本人が希望しない場合は資格欄を空けておいて構いません(前の項で見た⑥の例外)。

先ほど触れたとおり、社会保険の欄は「加入・未加入」の区分までで十分です。保険証の記号・番号までは書かないようにしてください。

紙でなくてもいい?電子データでの管理

作業員名簿を含む施工体制台帳は、紙でなくても構いません。

規則14条の2第3項は、パソコンのファイルや電磁的記録媒体に記録しておき、必要なときにその工事現場で画面や紙に表示できれば、紙の台帳の代わりにできると定めています。添付書類についても、同条4項で同じような扱いが認められています。

ポイントは「その工事現場において」「明確に」表示できることです。クラウドで管理していても、現場で機器を使って画面や紙にはっきり表示できる状態なら、条文の要件を満たします。逆に、事務所のパソコンにしか入っておらず現場で出せない、という状態は要件を満たしません。

なお、CCUS(建設キャリアアップシステム)を現場で運用している場合は、システムから作業員名簿を出力できます。一般財団法人建設業振興基金の「建設キャリアアップシステム 現場運用マニュアル」に、施工体制台帳・施工体系図・再下請負通知書とあわせて、作業員名簿の出力手順が定められています。CCUS自体についてはCCUSのレベルアップの条件で解説しています。

いつまで現場に置く? 添付書類とハンコの扱い

「作っておしまい」ではないのが、この書類のややこしいところです。ここも条文をたどると、輪郭がはっきりします。

現場に置いておく期限は「引渡しまで」

規則14条の7は、施工体制台帳(添付された書類を含みます)の備置きについて、建設工事の目的物の引渡しをするまで行わなければならない、と定めています(請負契約に基づく債権債務が消滅した場合は、その消滅するまで)。作業員名簿は台帳の一部ですから、現場に備え置く期限も同じ考え方になります。

⚠️ 紛らわしいのですが、これは「現場に置いておく期限」であって、「捨ててよい時期」ではありません。引渡し後は、施工体制台帳のうち技術者・下請負人に関する部分(規則26条2項3号イ〜ニ)だけが帳簿の添付書類となり、その保存期間が規則28条1項の5年(発注者と締結した住宅を新築する建設工事は10年)です。ただし、発注者が宅地建物取引業者である場合は除かれ、5年です。作業員名簿にあたる「建設工事に従事する者に関する事項」はこの添付対象に含まれていないため、作業員名簿そのものに法令上の保存期間の定めはありません。実務上は施工体制台帳と一体で扱い、台帳に合わせて残しておくのが安全です(元請の現場ルールや他の法令で別途保存を求められることはあります)。

👉 書類ごとに何年残すのかは 安全書類の保管期間は何年?5年と10年の見分け方 で整理しています。

作業員の資格証のコピーは、添付しないといけない?

「資格証や免許証のコピーも付けてください」と言われて戸惑う、というご相談があります。ここも法令と現場ルールを分けて考えると、迷いません。

施工体制台帳の添付書類は、規則14条の2第2項に列挙されています。そこに挙げられているのは、①請負契約の書面(建設業法19条1項・2項の書面)の写し、②主任技術者・監理技術者、③監理技術者補佐、④主任技術者・監理技術者・監理技術者補佐以外で施工の技術上の管理をつかさどる者(いわゆる専門技術者)の4つです。①については、作成建設業者が注文者となった下請契約以外の下請契約で、公共工事以外の建設工事について締結されるものは、請負代金の額に係る部分を除きます。②〜④については、それぞれ資格を証する書面と、雇用期間を特に限定することなく雇用されていることを証する書面です。監理技術者について法26条5項により専任が必要な場合は、資格を証する書面は監理技術者資格者証の写しに限られます。作業員一人ひとりの資格証の写しは、この条文には出てきません。

ただし、元請が現場管理のために資格証の写しを求めることはよくあります。これは法令上の添付義務ではなく、元請との取り決めです。求められたら出せばよい話で、断る性質のものではありません。「法令で決まっているから絶対に必要」でもない、という整理です。

👉 台帳そのものに何を添付するのかは 施工体制台帳が必要な金額はいくら? で整理しています。

ハンコ(押印)は必要?

規則14条の2が定めているのは記載事項であって、押印を求める規定は置かれていません。また国土交通省は、建設工事の完成を請け負っていない資材業者・警備業者等について「各様式への押印も必要ありません」と説明しています(前の項で引用したとおり、この説明の対象は資材業者・警備業者等です)。

実際には、元請から渡された様式に押印欄が残っていることがあります。その場合は様式の指定に従うのが早道です。法令が押印を要求しているわけではないと分かっていれば、押印欄の無い様式を渡されたときにも慌てずに済みます。

施工体制台帳・再下請負通知書との関係

作業員名簿は、施工体制台帳という大きな書類の一部分だとお伝えしました。もうひとつ、関連する書類として再下請負通知書があります。

下請がさらに別の業者に工事の一部を発注する(再下請させる)ときは、その業者について規則14条の4第1項3号により、先ほどの「チ(従事者の6項目)」「リ(外国人の従事状況)」にあたる情報を通知しなければなりません。

従事者情報が元請の施工体制台帳へ集約されるまでの流れ。再下請の従事者情報が再下請負通知書として下請を経て元請へ伝わり、元請自身の従事者情報とあわせて施工体制台帳にまとまる。

通知先は、施工体制台帳をつくる元請(特定建設業者)です(建設業法24条の8第2項)。

ただし公共工事では、入契法15条1項の読み替えによって同条の「特定建設業者」が「建設業者」となります。つまり一般建設業の許可で元請をしている場合も、その会社が通知先になります。

つまり、下請の階層が深くなっても、作業員名簿と同じ中身の情報が、再下請負通知書というかたちで元請まで伝わっていく建て付けです。

よくある質問

Q. 作業員名簿は元請も書く必要がありますか?
A. はい、書きます。規則14条の2第1項2号チが、元請自身の作業員を記載事項に含めています。「元請は不要」というのは誤解です。

Q. 様式は全建統一様式でないといけませんか?
A. いいえ。法令が定めているのは記載事項だけで、様式は自由です。全建統一様式は、一般社団法人 全国建設業協会が公開している統一様式のひとつという位置づけです。

Q. 資格を持っていない作業員はどう書けばいいですか?
A. 記載する資格が無ければ、⑥は空欄で構いません。

Q. 資材業者や警備業者も名簿に書きますか?
A. 建設工事の完成を請け負っていない業者は、施工体制台帳の記載対象ではありません(国土交通省も同じ説明をしています)。ただし元請の現場ルールで記入を求められることはあります。

Q. 一人親方も名簿の対象ですか?
A. 条文に一人親方を名指しした規定はありませんが、現場で建設工事に従事する以上、規則14条の2第1項4号チの「建設工事に従事する者」に当たると整理できます。

Q. 作業員名簿の様式はどこでダウンロードできますか?
A. 国土交通省が「作業員名簿(作成例)」をExcelファイルで公開しています。ただし様式は法令で決まっていないため、この作成例以外の様式でも、記載事項を満たしていれば使えます。

Q. 作業員名簿は、いつまで現場に置いておく必要がありますか?
A. 規則14条の7により、施工体制台帳(添付書類を含む)の備置きは、建設工事の目的物の引渡しをするまでです。紛らわしいのですが、これは「現場に置いておく期限」であって、「捨ててよい時期」ではありません。引渡し後は、施工体制台帳のうち技術者・下請負人に関する部分(規則26条2項3号イ〜ニ)だけが帳簿の添付書類となり、その保存期間が規則28条1項の5年(発注者と締結した住宅を新築する建設工事は10年)です。ただし、発注者が宅地建物取引業者である場合は除かれ、5年です。作業員名簿にあたる「建設工事に従事する者に関する事項」はこの添付対象に含まれていないため、作業員名簿そのものに法令上の保存期間の定めはありません。実務上は施工体制台帳と一体で扱い、台帳に合わせて残しておくのが安全です(元請の現場ルールや他の法令で別途保存を求められることはあります)。

Q. 作業員の資格証のコピーは添付が必要ですか?
A. 施工体制台帳の添付書類は、規則14条の2第2項に列挙されています。そこに挙げられているのは、①請負契約の書面(建設業法19条1項・2項の書面)の写し、②主任技術者・監理技術者、③監理技術者補佐、④主任技術者・監理技術者・監理技術者補佐以外で施工の技術上の管理をつかさどる者(いわゆる専門技術者)の4つです。①については、作成建設業者が注文者となった下請契約以外の下請契約で、公共工事以外の建設工事について締結されるものは、請負代金の額に係る部分を除きます。②〜④については、それぞれ資格を証する書面と、雇用期間を特に限定することなく雇用されていることを証する書面です。監理技術者について法26条5項により専任が必要な場合は、資格を証する書面は監理技術者資格者証の写しに限られます。作業員一人ひとりの資格証の写しは、この条文には出てきません。元請が現場管理のために求めることはあります。

Q. 作業員名簿にハンコ(押印)は必要ですか?
A. 規則14条の2は記載事項を定めるもので、押印を求める規定は置かれていません。国土交通省も、建設工事の完成を請け負っていない資材業者・警備業者等について「各様式への押印も必要ありません」と説明しています。元請から渡された様式に押印欄がある場合は、その指定に従うのが実務上スムーズです。

Q. 建退共に入っている場合、④の欄はどう書きますか?
A. ④は、中小企業退職金共済法2条7項の「被共済者」に当たるかどうかの別です。同項の被共済者には特定業種退職金共済契約によるものが含まれ、同条4項により建設業はその特定業種に当たるため、建退共も対象です。建退共・中退共のどちらに該当するのか(どちらにも該当しないのか)が分かるように書きます。

Q. CCUSの技能者IDは必ず書かないといけませんか?
A. 国土交通省の作成例のページでは、現場ID・事業者ID・技能者IDは建設キャリアアップシステムに登録されている場合に記載するもので、登録していなければ記載は不要と説明されています。

まとめ

  • 「作業員名簿」は法令用語ではなく、施工体制台帳の記載事項をまとめた通称
  • 元請も下請も、それぞれ自社の作業員分を書く(「元請は不要」は誤り)
  • 書く項目は6つ+外国人従事状況。資格欄(⑥)だけ本人の希望で省略可
  • 様式は法令で決まっていない。項目を満たせば自由
  • 健康保険証の記号・番号は書かない
  • 工事を請け負っていない資材業者・警備業者等は記載対象外

建設業許可・決算変更届・経審のご相談は、やさしい行政書士事務所へ

作業員名簿や施工体制台帳でお困りなら、やさしい行政書士事務所へご相談ください

作業員名簿そのものより先に、「うちの工事はそもそも施工体制台帳が必要なのか」「許可の種類はこれで合っているのか」で迷われる方も多いです。

やさしい行政書士事務所では、建設業許可の新規取得・更新から、毎年の決算変更届(決算後に提出する届出)、経審(経営事項審査=公共工事の入札に必要な会社の評価)まで、幅広くサポートしています。

料金の目安は料金ページでご確認いただけます。

😊 まずは無料相談から、お気軽にどうぞ

「これって書かないとダメ?」というレベルのご質問でも構いません。作りかけの名簿を見ながらお話しいただけると、話が早いです。

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やさしい行政書士事務所/代表行政書士 宮本 雄介
〒257-0003 神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E

【免責事項】本記事は2026年8月19日時点の法令に基づく一般的な解説です。実際の運用は工事の内容・発注者・元請の取り決めによって異なる場合があります。個別の判断は、当事務所または管轄の行政庁にご確認ください。

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宮本 雄介
やさしい行政書士事務所 代表。行政書士(登録番号 第12082434号/神奈川県行政書士会所属)。2011年に行政書士試験に合格し、2012年に開業。以来1,000件以上の相談に対応してきました。建設業許可・経営事項審査(経審)、補助金、会社設立、在留資格、相続を取り扱い、なかでも建設業の許認可を中心にしています。弁護士事務所・社労士事務所での実務経験と、複数企業の社外取締役の経験を持ち、手続きの代行だけでなく経営の視点からも助言します。神奈川県秦野市を拠点に、県内を中心に全国の事業者をサポートしています。