執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(登録番号 第12082434号)
「施工体系図を作ってください」と言われたけれど、何をどこに書けばいいのか分からない。下請が入れ替わったのに、掲示している図は着工時のままだった。作成例のどの欄まで埋めればいいのか、判断がつかない。——そんな元請の現場担当・事務の方に向けて書きました。
施工体系図とは、元請と、現にその工事を施工している各下請負人との施工の分担関係を、下請負人ごとに系統立てて表した図です。作る義務は建設業法24条の8第4項に、書く内容(記載事項)は同法施行規則14条の6に定められています。国土交通省の通知は、施工体制台帳の要約版として作成するもの、と位置づけています。
作る義務が生じるのは、①特定建設業者が発注者から直接請け負い、下請契約の総額が5,000万円以上(建築一式工事なら8,000万円以上・令和7年2月1日に引き上げ)になるとき、または②公共工事で、元請が一般建設業者・特定建設業者のどちらであっても下請契約を1件でも結んだとき(入契法15条1項による読み替え)です。ネット上には、改正前の4,000万円・4,500万円など旧い金額で解説している記事も残っているため、必ず現行額で判断してください。逆にいえば、公共工事でも下請を使わず自社だけで施工する元請には、この義務はかかりません。
「うちの現場は対象か」という金額の判定や、施工体制台帳との関係は、姉妹記事の「施工体制台帳が必要な金額はいくら?5,000万円ラインと公共工事の落とし穴」で詳しく解説しています。まずはそちらで対象かどうかを確認してください。
この記事では、対象になったあとの「どう書くか・どう掲げるか・どう直すか」だけに絞って、記入欄ごとに解説します。
目次
この記事で分かること
- 施工体系図は樹状図と表、どちらの形式で作ればいいか
- 元請欄・下請欄に何を書けばいいか(根拠条文つき・記入例つき)
- どの下請まで書けばいいか(全部ではありません)
- 作成例にある欄のうち、どこが法律上の必須事項で、どこが任意か
- 下請が変わったときの直し方
- 掲示の場所・期間・デジタル掲示の可否
- 公共工事で提出を求められたときの扱い
施工体系図は2つの形式から選べる(樹状図・表形式)
建設業法施行規則は、施工体系図に「何を書くか」(記載事項)を定めていますが、様式そのものは定めていません。決まった書式(様式第◯号)はないということです。
国土交通省の「施工体制台帳、施工体系図等」のページには、令和2年10月1日以降に契約する工事向けの作成例が2種類公開されています。1つは樹状図形式、もう1つは表形式です。同ページには「法令上、記載しなければならない事項が網羅されていれば、作成例以外の様式を利用することも可能」と明記されています。
発注者側の運用でも、形式は一本化されていません。たとえば横浜市の公共工事では「樹状図形式または表形式のいずれかを提出」とされています。
つまり、発注者や元請から様式を指定されていればそれに従い、指定がなければ自社で使いやすい方を選んで構わない、ということです。参考にする作成例は、関東地方整備局『建設工事の適正な施工を確保するための建設業法(令和8.2版)』のような比較的新しいものを使ってください。古い作成例には、現行の記載事項(代表者氏名・一般建設業と特定建設業の別・許可番号・特定専門工事の該当有無・監理技術者補佐など)の欄が無いものがあります。

元請欄の書き方
作成建設業者(自社)に関する事項は、建設業法施行規則14条の6第1号・第2号に定められています。
以下の表の「記入例」は、記入イメージをつかむための架空の例です。会社名・氏名・数値は実在しません。実際の記載は契約書・許可証のとおりに行ってください。
| 記入欄 | 何を書くか | 根拠 | 記入例(架空) |
|---|---|---|---|
| 商号又は名称 | 自社(作成建設業者)の商号・名称 | 第1号 | ○○建設株式会社 |
| 建設工事の名称及び工期 | 元請として発注者と契約した工事の名称と工期 | 第2号イ | ○○ビル新築工事/令和8年4月1日〜令和9年3月31日 |
| 発注者 | 発注者の商号、名称又は氏名 | 第2号ロ | 株式会社○○興産 |
| 主任技術者又は監理技術者 | 自社が置く技術者の氏名 | 第2号ハ | 建設 太郎(監理技術者) |
| 監理技術者補佐 | 置くときだけ氏名を記入 | 第2号ニ | (置かない場合は空欄) |
| 専門技術者 | 置くときだけ氏名と担当工事の内容(建設業法26条の2に定める技術者) | 第2号ホ | (置かない場合は空欄) |
記入するときに間違えやすい点は次のとおりです。
- 発注者欄は自社ではなく発注者(施主)の名称を書く欄です。取り違えやすいので注意してください。
- 主任技術者又は監理技術者の欄は、発注者から直接請け負った特定建設業者が、その工事のために結んだ下請契約の総額が5,000万円(建築一式8,000万円)以上になる場合は監理技術者、それ以外は主任技術者です(建設業法26条1項・2項)。混同すると記載が誤りになります。
- 実務上の注意として、商号は現在の正式な商号(登記・許可上の表記)で書くと、契約書・許可証との整合が取りやすくなります。許可を受けた後に商号を変更した場合は、変更届後の表記で書いてください。
- 実務上の注意として、建設工事の名称及び工期は発注者と結んだ契約書のとおりに書くと、現場での通称との食い違いを防げます。
主任技術者・監理技術者・監理技術者補佐の置き方そのものについては、「主任技術者とは」「監理技術者補佐とは」の記事もあわせてご覧ください。
注意: 元請の許可番号・現場代理人・監督員は、施工体系図の法定記載事項には含まれていません。これらは施工体制台帳側で求められる事項です。監督員・現場代理人は施行規則14条の2第1項第2号ハ・ニに、元請の許可番号は台帳の見やすいところに明示する事項として同規則14条の5第3項に、それぞれ定められています。作成例のフォーマットによっては欄が用意されていることもありますが、体系図としては必須ではありません。
下請欄の書き方
下請負人に関する事項は、施行規則14条の6第3号・第4号に定められています。下請が「建設業者かどうか」で、書く欄の数が変わります。
この表の「記入例」も、記入イメージをつかむための架空の例です。
| 記入欄 | 建設業者である下請 | 建設業者でない(無許可の)下請 | 根拠 | 記入例(架空) |
|---|---|---|---|---|
| 商号又は名称 | 記入する | 記入する | 第3号イ | ○○工業株式会社 |
| 代表者の氏名 | 記入する | 記入する | 第3号ロ | 下請 次郎 |
| 一般建設業又は特定建設業の別 | 記入する | 不要 | 第3号ハ | 一般建設業 |
| 許可番号 | 記入する | 不要 | 第3号ニ | 神奈川県知事許可(般-8)第○○○○号 |
| 工事の内容及び工期 | 記入する | 記入する | 第4号イ | 鉄筋工事/令和8年5月1日〜令和8年8月31日 |
| 特定専門工事の該当の有無 | 記入する | 不要 | 第4号ロ | 該当なし(この下請に発注した元請等の下請契約の総額が4,500万円以上のため) |
| 下請が置く主任技術者の氏名 | 記入する(※) | 不要 | 第4号ハ | 主任 四郎 |
| 専門技術者(置くとき) | 記入する | 不要 | 第4号ニ | (置かない場合は空欄) |
※ 特定専門工事(型枠工事・鉄筋工事の一部)を下請に出す元請または上位下請(以下「元請等」)の主任技術者が、その下請分の職務も兼ねる合意(建設業法26条の3第1項)をした場合、その下請は主任技術者を置くことを要しません。合意は書面で行い、あらかじめ注文者の書面による承諾を得る必要があります(同条3項・5項)。この場合、この欄に記入する氏名はありません(監理技術者制度運用マニュアルも同様に「元請又は上位下請」の合意としています)。
無許可の下請(建設業者でない下請)は、会社の欄が商号・代表者氏名だけ、工事の欄が内容・工期だけでよい、という決まりです。一般・特定の別や許可番号、主任技術者の欄まで無理に埋める必要はありません。
記入するときに間違えやすい点は次のとおりです。
- 工事の内容は、何の工事か具体的に分かる工種の名称等で書きます(国土交通省通知(8)③)。工期は契約書に書かれた工期のことで、この工期が「現に施工中」かどうかの判定基準にもなります(同通知(8)①)。
- 特定専門工事の該当の有無は、その型枠・鉄筋工事を下請に出す者(元請に限らず、上位下請の場合もあります)が、その工事のために結んだ下請契約の総額が4,500万円以上なら「該当なし」になります(施行令31条2項)。このほか、元請の下請総額が大きい工事を除く「ただし書」もあります。詳しくは次の「特定専門工事の「該当の有無」の判断」をご覧ください。

特定専門工事の「該当の有無」の判断
「特定専門工事」に当たるかどうかは、次の条件で確かめます。
- ①工種:型枠工事(大工工事またはとび・土工・コンクリート工事のうち、コンクリート打設用の型枠を組み立てる工事)または鉄筋工事であること(建設業法26条の3第2項、施行令31条1項)
- ②金額:その型枠・鉄筋工事を下請に出す者(元請に限らず、上位下請が出す場合も含みます)が、その工事のために結んだ下請契約の総額が4,500万円未満であること(施行令31条2項)
- ③ただし書:元請が発注者から直接請け負った建設工事で、その施工のために結んだ下請契約の総額が、監理技術者を置くべき金額(建設業法26条2項に規定する金額=5,000万円、建築一式工事は8,000万円)以上になるものは除かれます(建設業法26条の3第2項ただし書)。このただし書が、上位下請がさらに下請に出す場面でどう当てはまるかは、現場ごとの確認をおすすめします。迷う場合は、発注者または当事務所にご確認ください。
つまり、工種と金額(あわせて③のただし書)を確かめてから、下請欄の「特定専門工事の該当の有無」欄を埋めます。この特例の概要は「主任技術者とは」の記事でも触れています。
どの下請まで書くか(現に施工しているものに限る)
施工体系図に書くのは、「現にその請け負った建設工事を施工しているもの」に限られます(施行規則14条の6第3号)。
施工中かどうかは、請負契約で定めた工期を基準に判断します(国土交通省通知『施工体制台帳の作成等について』(8)①)。つまり、
- 契約上の工期がすでに終わった下請
- まだ工期が始まっていない下請
は、その時点の体系図に表示しなくてよいということです。
一方で、施工体制台帳には全ての下請負人を記載します。台帳側にはこの「現に施工中」という限定はありません。ここが台帳と体系図の違いです。台帳を見ながら体系図を作るときは、この違いを意識してください。
なお、記載の対象は一次下請だけではありません。二次下請・三次下請も対象で、無許可の業者も含まれます。「うちは孫請けだから関係ない」と省略しないよう注意してください。

法定事項と「作成例にあるが法定ではない欄」の違い
関東地方整備局の作成例(令和8.2版)には、ここまでに説明した法定事項に加えて、事業者ID(建設キャリアアップシステム用)・安全衛生責任者・統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者といった欄も入っています。
これらは建設業法施行規則14条の6が定める法定記載事項には含まれていません。発注者の管理や、労働安全衛生の目的で使われている欄です。作成例をそのまま流用する場合、「法律で決まっている欄」と「あると便利だが任意の欄」が混ざっていることを知っておくと、どこを優先して正確に埋めるべきかで迷わずにすみます。なお、表示が複雑にならない範囲であれば、施工体系図を労働安全衛生の目的で作る図面と兼ねて作成してもかまいません(国土交通省通知(8)④)。
警備会社の扱いは、断定しにくいところです。建設工事の完成を請け負っていない警備会社・資材業者は、建設業法上は記載の義務がなく、様式への押印も不要とされています(国土交通省)。ただし、発注者が仕様書などで記載を求めている場合は、記載が必要になります。実際、国の発注工事では、警備会社との契約について共通仕様書で記載を求めている例があります(関東地方整備局の解説。ただしこれは施工体制台帳の記載対象についての説明で、体系図への記載を直接求めたものではありません)。体系図に書くかどうかも含め、「必ず書く」「絶対に書かない」のどちらでもなく、発注者の仕様書や監督職員への確認が確実です。
下請が変わった・増えたときの直し方
施工体制台帳には、記載事項に変更があったとき、変更があった年月日を付記するというルールがあります(施行規則14条の5第4項)。
しかし、施工体系図には、この変更方法を定めた明文の規定がありません。14条の5第4項が対象にしているのは台帳の記載事項・添付書類であって、14条の6の施工体系図は対象に入っていないためです。
とはいえ、直さなくていいわけではありません。国土交通省の通知は、「工期の進行により表示すべき下請負人に変更があったときには、速やかに施工体系図を変更して表示しておかなければならない」としています(同通知(8)②)。関東地方整備局の解説も同じ趣旨です。
実務上の注意として、体系図の隅に作成日・更新日を書き添えておくと、「今の現場の状態と一致しているか」を現場で確認しやすくなります。これは義務ではなく、混乱を防ぐための工夫として知っておくとよいでしょう。
掲示のしかた(民間・公共・期間・デジタル掲示)
掲示する場所は、民間工事と公共工事で異なります。
| 工事の種類 | 掲示場所 | 根拠 |
|---|---|---|
| 民間工事 | 当該工事現場の見やすい場所 | 建設業法24条の8第4項 |
| 公共工事 | 工事関係者が見やすい場所 及び 公衆が見やすい場所(両方) | 入札契約適正化法15条1項による読み替え |
公共工事は「工事関係者向け」と「公衆向け」の両方を満たす必要がある、という点が民間工事との違いです。

掲示する期間は、元請の請け負った工事の目的物を引き渡すまでです(施行規則14条の7)。引渡しの前に、契約解除などで請負契約に基づく債権債務が消滅した場合は、その消滅するまで掲示を続けます。
デジタルサイネージでの掲示についても触れておきます。施工体系図の掲示は、国土交通省の通達(『施工体系図及び標識の掲示におけるデジタルサイネージ等の活用について』令和4年1月27日 国不建第446号)が定める要件を満たせば、デジタルサイネージなどのICT機器で行うことも認められています。要件の具体的な内容は通達本文に定められているため、導入を検討する場合は、事前に発注者や所管の行政窓口にご確認ください。
公共工事で提出を求められたら
入札契約適正化法15条2項が発注者への写しの提出を義務づけているのは、施工体制台帳です(発注者がICTで施工体制を確認できる措置を講じている場合を除く)。条文上、施工体系図そのものの提出義務は定められていません。
ただし、実際には発注者の運用として体系図の提出を求められることがあります。たとえば横浜市は、公共工事の受注者に対して「樹状図形式または表形式のいずれかを提出」するよう案内しています。
神奈川県の「様式集」ページにも、施工体系図の作成例(Excel形式)が公開されています。ただし、この様式集ページでは、施工体系図の提出・掲示の具体的な運用までは案内されていません(2026年9月23日閲覧)。県発注工事での扱いは、発注事務所・監督職員に確認することをおすすめします。
まとめると、「体系図を提出しなければならない」かどうかは法律だけでは決まらず、発注者ごとの運用によるということです。神奈川県内の公共工事を受注したら、発注機関の様式集・監督職員への確認を早めに行ってください。発注者の様式どおりに埋められているか不安なときは、お電話(0463-57-8330)での無料相談でご確認いただけます。
保存と違反時の扱い(詳しくは関連記事へ)
施工体系図は、作成建設業者(体系図を作成した元請)が、工事の目的物を引き渡したときから10年間保存する「営業に関する図書」の1つです(建設業法40条の3、施行規則26条5項3号、28条2項)。作成建設業者以外の元請・下請には、施工体系図の保存義務はありません。保存を怠ると、10万円以下の過料の対象になります(建設業法55条5号)。
作成・掲示そのものを怠った場合、建設業法に罰金などの刑事罰の定めはありませんが、監督処分(指示処分・営業停止処分)の対象になります(建設業法28条)。とくに国土交通省の「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」(国土交通省)と、神奈川県の「神奈川県における建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」(神奈川県)は、いずれも施工体制台帳や施工体系図の作成を怠ったとき、または虚偽の内容で作成したときを「請負契約に関する不誠実な行為」の一つとし、「7日以上の営業停止処分」を目安にしています。建設業法では、請負契約に関し不誠実な行為をした建設業者に対して、指示処分を経ずに営業停止を命じることもできます(同法28条1項2号・3項)。ただし同じ基準は、故意または重過失によらない場合は原則として指示処分とし、情状によって処分を重くも軽くもできるとしています。実際の処分の有無・内容・期間は、違反の内容や情状を踏まえて、処分を行う行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)が判断します。
保存期間の細かい考え方は「安全書類の保管期間」の記事、作成義務が生じる金額の判定は冒頭でご紹介した「施工体制台帳が必要な金額はいくら?」の記事をあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
樹状図と表、どちらの形式で作ればいいですか?
法律は様式を決めていません。国土交通省の作成例には樹状図形式と表形式の2種類があります。横浜市のように発注者側が「樹状図形式または表形式のいずれかを提出」と案内している場合はそれに従い、指定がなければ自社で使いやすい方を選んで構いません。
下請は全部書かないといけませんか?
いいえ。施工体系図に書くのは「現にその工事を施工している」下請だけです。契約上の工期がすでに終わった下請、まだ工期が始まっていない下請は書かなくてよいとされています。一方、施工体制台帳のほうは全ての下請負人を記載します。ここは台帳と体系図で扱いが異なる部分です。
二次下請・三次下請も書きますか?
はい。記載の対象は、元請と直接契約した一次下請だけに限られません。二次下請・三次下請、そして無許可の業者も対象です。
下請が途中で増えた・入れ替わったら、どう直せばいいですか?
施工体系図の変更方法を直接定めた条文はありません。ただし国の通知は、工期の進行で表示すべき下請に変更があったら、速やかに体系図を直すよう求めています。変更に気づいた時点で放置せず、その都度直しておく必要があります。
現場代理人や監督員、警備会社も書かないといけませんか?
現場代理人・監督員は、施工体系図の法定記載事項には含まれていません(施工体制台帳側の事項です)。警備会社についても建設業法上の記載義務はありませんが、発注者が仕様書などで記載を求めている場合があります。判断に迷うときは発注者の指示を確認してください。
施工体系図はデジタルサイネージで掲示してもいいですか?
国土交通省の通達(令和4年1月27日 国不建第446号)が定める要件を満たせば、デジタルサイネージなどのICT機器を使った掲示も認められています。要件は通達本文に定められているため、導入前に発注者や行政窓口にご確認ください。
公共工事では施工体系図を発注者に提出しないといけませんか?
法律上、発注者への写しの提出が原則として義務づけられているのは施工体制台帳です(発注者がICTで施工体制を確認できる措置を講じている場合は、この提出は不要とされています)。施工体系図の提出は、法令ではなく発注者の運用によります。横浜市のように提出を求める発注者もあるため、受注した工事の発注機関に事前に確認しておくと安心です。
まとめ
- 施工体系図は「誰がどこを施工しているか」を、現に施工している下請ごとに示す図。様式は法定されていない
- 元請欄・下請欄それぞれに書く事項は施行規則14条の6で決まっている。無許可下請は簡略化してよい
- 体系図に書く下請は「現に施工しているもの」だけ。台帳は全下請を記載する点と混同しない
- 作成例にある欄の中には、建設業法の法定事項ではないものも混ざっている
- 下請の変更に明文の規定はないが、通知にもとづき速やかに直す
- 掲示は、民間なら現場の見やすい場所、公共なら工事関係者と公衆の両方が見やすい場所に、引渡しまで掲げる。発注者への提出が法律で義務づけられているのは原則として台帳で(ICTによる施工体制確認の措置がある場合は提出不要)、体系図の提出は発注者の運用による
金額の判定や施工体制台帳との関係は、姉妹記事「施工体制台帳が必要な金額はいくら?5,000万円ラインと公共工事の落とし穴」もあわせてご確認ください。関連書類の「再下請負通知書」「作業員名簿」の書き方も、それぞれの記事で解説しています。
施工体系図の作成・見直しでお困りの方へ
「自社の現場が対象か分からない」「作成例のどこまで埋めればいいか判断がつかない」——こうしたご相談にも対応しています。施工体系図・施工体制台帳まわりの整備は、やさしい行政書士事務所にお気軽にご相談ください。
建設業許可・経審まで含めた手続き全般のサポート内容は、料金ページでもご案内しています。
出典(根拠条文)
本記事の記載は、以下の条文・資料にもとづいています(2026年9月23日、e-Gov法令検索で現行条文を取得して確認)。
- 建設業法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100
- 建設業法施行令(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/331CO0000000273
- 建設業法施行規則(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/324M50004000014
- 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000127
- 国土交通省『施工体制台帳の作成等について(通知)』平成7年6月20日 建設省経建発第147号、最終改正 令和4年12月28日 国不建第466~467号 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001581333.pdf (本文中の下請代金基準額は改正前の4,500万円・建築一式7,000万円のまま。現行の基準額は施行令7条の4による5,000万円・建築一式8,000万円)
- 国土交通省『施工体系図及び標識の掲示におけるデジタルサイネージ等の活用について』令和4年1月27日 国不建第446号
- 国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000191.html (2026年9月23日閲覧)
- 国土交通省 関東地方整備局『建設工事の適正な施工を確保するための建設業法(令和8.2版)』https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000699485.pdf (2026年9月23日閲覧)
- 神奈川県「様式集」https://www.pref.kanagawa.jp/docs/m2t/cnt/f490113/yousikisyuu.html (2026年9月23日閲覧)
- 国土交通省「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」(掲載ページの表記は最終改正 令和7年12月12日 国不建第121号)https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000179.html (2026年9月23日閲覧)
- 神奈川県「神奈川県における建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」(令和8年3月19日改正)https://www.pref.kanagawa.jp/docs/u2h/cnt/f531856/p870268.html (2026年9月23日閲覧)
- 横浜市「施工体制台帳・施工体系図・標識の掲示等について」https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/zaisei/kokyo/sekkei-sekoh/sekoutaisei.html (2026年9月23日閲覧)
法令は改正されることがあります。実際の判断にあたっては、最新の条文と発注者の指示をあわせてご確認ください。
執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(登録番号 第12082434号)
〒257-0003 神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E 電話:0463-57-8330
神奈川県央エリア(秦野市を中心に)で、建設業許可・経営事項審査(経審)を専門に取り扱っています。