「うちは管工事業の建設業許可を持っているから、浄化槽の工事もそのままできるはず」
秦野市や神奈川県央エリアの建設業者さんから、こういうご相談をよくいただきます。浄化槽の設置工事の話が来て、契約の直前になって急に不安になった、というケースも少なくありません。
先に結論からお伝えします。
土木工事業・建築工事業・管工事業のいずれかの建設業許可があれば、浄化槽工事業の「登録」は不要です。これは浄化槽法33条1項にはっきり書かれています。
ただ、ここで安心してはいけません。「登録」の代わりに必要な「届出」を出し忘れると、20万円以下の過料という行政上のペナルティがあります。
しかも、免除されるのは登録の手続きだけです。浄化槽設備士の配置、標識の掲示、帳簿の管理といった義務は、登録業者とまったく同じように残ります。
この記事でわかること
- 登録は不要でも「届出」は必要な理由(怠れば過料)
- 免除される義務と、されない義務の境目
- 特例の対象になるのは3業種の許可だけ、という落とし穴
読み終える頃には、自社が「登録」「届出」どちらの立場か、そして何をいつまでにやればいいかがはっきりします。
執筆・監修
やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県行政書士会所属/登録番号 第12082434号)
建設業許可・経営事項審査を専門に、神奈川県央エリアの建設会社を支援しています。
本記事の法令の内容は、e-Gov法令検索で浄化槽法(施行日2026年7月1日版)・浄化槽工事業に係る登録等に関する省令・浄化槽法施行令の現行条文を確認し、手続きの実務は神奈川県公式サイト(2026年8月18日閲覧)および神奈川県「浄化槽工事業登録 特例浄化槽工事業者の届出の手引き」(令和7年10月版)に沿って記載しています。
目次
- 結論:許可があれば「登録」は不要。でも「届出」は必須です
- そもそも「浄化槽工事業の登録」とは?原則のルールを確認します
- 「建設業許可があれば全部OK」は誤解。特例が効くのは3業種だけ
- 登録が不要でも、これだけは免除されない3つの義務
- 唯一変わるのは「登録→届出」。でも油断すると20万円以下の過料
- 届出の様式は2種類。開始と変更で書類が違います
- 神奈川県での手続き:窓口・手数料・かかる日数
- 忘れがちな「設置届」。工事のたびに、登録・届出とは別に必要です
- 浄化槽法の罰則一覧|どの義務を落とすと何が科されるか
- 浄化槽設備士がいない場合はどうする?
- よくある質問
- まとめ:迷ったら、まずこの8項目をチェック
- あわせて読みたい:「許可があれば登録不要」になる、他の業種は?
- 浄化槽工事業の届出のご相談は、やさしい行政書士事務所へ
- この記事の出典
結論:許可があれば「登録」は不要。でも「届出」は必須です
先に全体像を一覧にします。

| 手続き・義務 | 土木・建築・管のいずれかの許可がある場合 | 許可がない、または他業種の許可だけの場合 |
|---|---|---|
| 都道府県知事の登録 | 不要(浄化槽法33条1項) | 必要(浄化槽法21条) |
| 開始・変更・廃止の届出 | 必要(浄化槽法33条3項) | 登録制度側の規定による(変更は変更の日から30日以内=法25条/廃業等も30日以内=法26条) |
| 浄化槽設備士の配置 | 必要(免除なし) | 必要 |
| 標識の掲示 | 必要(様式が異なる) | 必要 |
| 帳簿の備付け | 必要(免除なし) | 必要 |
つまり、「登録」という手続きだけが不要になるのであって、「何もしなくていい」という意味ではありません。ここから、条文の根拠つきで一つずつ確認していきます。
そもそも「浄化槽工事業の登録」とは?原則のルールを確認します
まず言葉の整理です。浄化槽法2条では、次のように定義されています。
- 浄化槽工事=浄化槽を設置する、またはその構造・規模を変更する工事
- 浄化槽工事業=浄化槽工事を行う事業
- 浄化槽設備士=浄化槽工事を実地に監督する(=現場で施工を直接監督する)国家資格者
浄化槽工事業を営むなら、原則は「都道府県知事の登録」(浄化槽法21条)
浄化槽法21条は、こう定めています。
浄化槽工事業を営もうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
登録の有効期間は5年です。引き続き営業するなら更新登録が必要になります。申請期限は有効期間満了の日前30日まで(浄化槽工事業に係る登録等に関する省令1条)です。
登録に金額の下限はなし。建設業許可の「500万円未満」と混同しない
ここが誤解されやすいポイントです。
建設業許可には、「軽微な建設工事」なら許可が不要というルールがあります。請負代金500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅。いずれも消費税込み)の工事です。
⚠️ 浄化槽工事業の登録には、こうした金額の下限がありません。1件だけ、どれだけ小さい金額の工事でも、浄化槽工事業を営むなら登録(またはこの後で説明する届出)が必要です。
行政書士向けの実務書でも「軽微な工事でも、電気工事業・浄化槽工事業・解体工事業は別途登録・届出が必要」と整理されています(『建設業法と建設業許可』日本行政書士会連合会)。
500万円のラインについては、こちらもあわせてご覧ください。
「建設業許可があれば全部OK」は誤解。特例が効くのは3業種だけ
対象は土木工事業・建築工事業・管工事業の3つだけ(浄化槽法33条1項)
浄化槽法33条1項は、次の建設業者について、登録に関する規定(21条から28条まで、および32条)を適用しないと定めています。
建設業法第2条第3項に規定する建設業者であつて同法別表第一下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は管工事業の許可を受けているもの
つまり、土木工事業・建築工事業・管工事業のいずれかの建設業許可を持っていれば、浄化槽工事業の登録は不要になります。
すでに登録を受けている業者が、あとから3業種のいずれかの許可を取得した場合は、その登録は効力を失います(浄化槽法33条4項)。以後は届出の世界に切り替わる、ということです。
とび・土工工事業や水道施設工事業だけの許可では、登録が必要
ここで一番多い勘違いが、「建設業許可さえあれば大丈夫」という思い込みです。
特例の対象になるのは、土木工事業・建築工事業・管工事業の3業種だけ。とび・土工工事業や水道施設工事業など、ほかの業種の許可しか持っていない場合、この特例は使えません。
神奈川県も、登録が必要な対象者を次のように明記しています。
建設業許可を受けていない者、あるいは、土木工事業、建築工事業または管工事業以外の建設業許可しか受けていない者
神奈川県ホームページ「浄化槽工事業の登録・届出」
複数業種の許可を持っている会社でも、その中に土木・建築・管のいずれかが入っているかどうかがポイントです。自社の許可業種を、あらためて確認してみてください。
まだ建設業許可そのものを取得していない、という方は、先にこちらの記事もご参考にしてください。
登録が不要でも、これだけは免除されない3つの義務
浄化槽法33条2項は、こう定めています。
前項に規定する者であつて浄化槽工事業を営むものについては、同項に掲げる規定を除き、第二十一条第一項の登録を受けた浄化槽工事業者とみなしてこの法律の規定を適用する。
平たく言うと、「登録の手続きは免除するけれど、それ以外の義務は登録業者と同じですよ」という意味です。適用除外になるのは21条から28条・32条だけ。29条・30条・31条は、そのまま生きています。

①浄化槽設備士を営業所ごとに置く(浄化槽法29条)
浄化槽工事業者は、営業所ごとに浄化槽設備士を置かなければなりません。設備士が欠けた営業所ができたときは、2週間以内に補充などの措置が必要です。
浄化槽工事をするときは、浄化槽設備士に実地監督させなければなりません。資格を持つ浄化槽工事業者自身が実地監督してもかまいません(自分で施工する場合を除く)。
また、浄化槽設備士は仕事中、設備士証を携帯する義務があります。
💡 「営業所」の範囲は、意外とせまい
神奈川県の手引きでは、ここでいう営業所を「常時浄化槽工事の施工に関する業務を行う事務所」としています。したがって、浄化槽工事の請負契約の締結などだけを行い、施工に関する業務をしていない事務所は、浄化槽法の「営業所」に当たりません。支店や営業拠点が複数あっても、設備士を全拠点に置かなければならないとは限らない、ということです。
②標識を掲げる。ただし様式は登録業者と違う(浄化槽法30条)
営業所ごと、そして浄化槽工事の現場ごとに、見やすい場所へ標識を掲げる義務があります。
記載する内容は、氏名または名称(法人なら代表者氏名も)、届出番号および届出年月日(登録業者の場合は「登録番号および登録年月日」)、浄化槽設備士の氏名です。
様式にも違いがあります。特例浄化槽工事業者(届出で営業する事業者)は別記様式第9号、登録業者は様式第8号です(省令9条)。
看板を発注するときに間違えやすいので、名前とサイズも書いておきます。
| 届出業者(特例) | 登録業者 | |
|---|---|---|
| 標識の名称 | 浄化槽工事業者届出済票 | 浄化槽工事業者登録票 |
| 様式 | 様式第9号 | 様式第8号 |
| 大きさ | 35cm以上 × 25cm以上 | |
| 番号欄 | 届出番号「神奈川県知事(届 )第 号」 | 登録番号「神奈川県知事(登 )第 号」 |
届出番号は、県から返ってくる届出書の副本に記載されています(後述)。
⚠️ これは建設業許可を取得したときに掲げる「建設業の許可標識」とは別の標識です。両方を掲げる必要があります。
③帳簿を備えて5年間保存する(浄化槽法31条)
浄化槽工事ごとに帳簿を作成します。記載事項は次の5点です。
- 注文者の氏名または名称・住所
- 施工場所
- 着工年月日・竣工年月日
- 工事請負金額
- 浄化槽設備士の氏名
あわせて、処理方式・処理能力を記載した書面、構造図、仕様書、処理工程図の添付も必要です(省令10条)。
帳簿は各事業年度の末日で閉鎖し、閉鎖後5年間の保存が義務付けられています。
唯一変わるのは「登録→届出」。でも油断すると20万円以下の過料
届出は「開始したとき」に「遅滞なく」。事前ではありません
浄化槽法33条3項は、こう定めています。
第一項に規定する者は、浄化槽工事業を開始したときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
ポイントは、「開始する前」ではなく「開始したときに、遅滞なく」という順番です。
建設業許可を取得したからといって、工事を始める前に事前届出をする必要はありません。浄化槽工事業を実際に始めたら、速やかに届け出る、というルールです。
変更・廃止のときも、そのつど届出が必要
同じ33条3項には、こう続きます。
その届出に係る事項について変更があつたとき又は浄化槽工事業を廃止したときも同様とする。
開始のときだけでなく、届出内容に変更があったとき、浄化槽工事業をやめたときも、そのつど届出が必要です。営業所を増やした、浄化槽設備士が変わった、といった場合も対象になります。
届け出ないと20万円以下の過料。登録違反の罰金とは重さが違う
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
浄化槽法67条1号は、33条3項の届出をしない、または虚偽の届出をした場合、20万円以下の過料と定めています。
「過料(かりょう)」は、罰金とは違って前科がつかない行政上のペナルティです。それでも、正式に科される金銭的な負担であることに変わりはありません。
「登録は不要」という言葉だけを覚えて届出をうっかり忘れると、この過料の対象になります。

参考までに、無登録で浄化槽工事業を営んだ場合は、1年以下の拘禁刑(刑務所などに収容される刑罰)または150万円以下の罰金と、こちらは重い刑事罰です(浄化槽法59条3号)。
「登録違反は重い刑事罰、届出違反は軽い過料」という違いはあります。ただ、過料だから出さなくていい、という話にはなりません。
💡 「うちは対象になるのか」「この届出で合っているのか」——判断に迷ったら、無料相談でご確認いただけます(電話 0463-57-8330/やさしい行政書士事務所)。
届出の様式は2種類。開始と変更で書類が違います
開始の届出=様式第11号
浄化槽工事業を開始したときの届出は、様式第11号(浄化槽工事業に係る登録等に関する省令11条)です。神奈川県の手引きによると、添付書類は次のとおりです。
| 書類 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 様式第11号 特例浄化槽工事業者届出書 | 裏面も記入します |
| 建設業許可通知書の写し | 建設業許可証明書の原本でも可 |
| 浄化槽設備士免状の写し | 浄化槽設備士証の写しでも可 |
| 様式第4号 浄化槽設備士の調書 | ― |
| 浄化槽設備士の住民票抄本 | 3か月以内発行の原本/マイナンバーの記載がないもの(記載があると受け取ってもらえません) |
💡 誓約書は要りません。登録申請の場合は欠格要件に当たらないことの誓約書が必要ですが、特例の届出では法33条1項によって欠格要件の規定(24条)が適用除外になるためです。
変更の届出=様式第12号
届出内容に変更があったときは、様式第12号(同省令12条)です。対象になる変更は次の4つです。
- 氏名または名称・住所(法人は代表者氏名も)
- 建設業法3条1項の許可を受けた建設業、許可番号および許可年月日
- 浄化槽工事業を営む営業所の名称・所在地
- その営業所ごとに置かれる浄化槽設備士の氏名・免状交付番号
添付書類は、2号の変更なら許可を証する書面、4号の変更なら設備士の免状関係の書面です。
建設業許可を更新したら、変更の届出が必要です
ここが、実務でいちばん見落とされるポイントです。
神奈川県の手引きは、この点をはっきり書いています。
特例浄化槽工事業者の届出については有効期間はありませんが、建設業の許可の更新により許可番号が変更されますので(例 神奈川県知事許可(特‐30)第○○号→神奈川県知事許可(特‐5)第○○号)、建設業許可更新に併せて変更の届出が必要です。
神奈川県「浄化槽工事業登録 特例浄化槽工事業者の届出の手引き」(令和7年10月版)
届出そのものに有効期間はありません。ただし、5年ごとの建設業許可の更新で許可番号のカッコ内の数字(許可の回数)が変わります。そのたびに、様式第12号で変更の届出をする必要があります。
⚠️ 「届出は一度出せば終わり」と思っていると、ここで抜けます。建設業許可の更新作業とセットで覚えてください。
廃業したとき・建設業許可を失ったとき
浄化槽工事業をやめたときも、その旨を県に届け出ます(法33条3項)。神奈川県の手引きによると、この廃業の届出に指定の様式はありません(書面で提出)。
注意が要るのは、建設業許可のほうを失ったときです。
土木・建築・管のうち持っていた許可をすべて失った後も浄化槽工事業を続けるなら、まず様式第12号で「建設業の許可を有しなくなったこと」を届け出て、そのうえで浄化槽工事業の新規登録を受ける必要があります。特例の前提が消えるため、原則どおりの登録制度に戻る、ということです。
これまで届出をしていなかった場合は?
「もう何年も浄化槽工事をやっているが、届出をした記憶がない」というご相談もあります。
条文が定めているのは「開始したときに遅滞なく」という点までで、過去にさかのぼった扱いがどうなるかは、条文だけでは決まりません。ここを推測でお伝えすることはできません。
放置するほど説明が難しくなる性質の手続きですので、気づいた時点で県の窓口、または当事務所のような行政書士にご相談ください。
提出は原則郵送。返ってくる「副本」が唯一の証拠です
神奈川県への提出は原則として郵送です。手引きでは、次のように案内されています。
- 提出部数:2部(正本1部・副本1部)。副本分の添付書類は写しで可
- 返信用レターパックを1部同封する(届出書の副本を返送してもらうため。プラス/ライトどちらでも可)
- 提出先:神奈川県県土整備局 事業管理部 建設業課 建設業審査グループ(浄化槽工事業登録・届出窓口宛)
⚠️ ここが見落とされがちです。
特例浄化槽工事業者の場合、届出書の副本に届出年月日・届出番号を記載し、受付印を押して返却されます。しかし届出受理書や「届出済みの証明書」は発行されません。つまり、返ってきた副本が、届出をした唯一の証拠です。紛失しないよう保管してください(標識に書く届出番号も、この副本で確認します)。
神奈川県での手続き:窓口・手数料・かかる日数
神奈川県公式サイト「浄化槽工事業の登録・届出」(2026年8月18日閲覧)の情報を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録が必要な人 | 建設業許可を受けていない、または土木・建築・管以外の許可しかない事業者 |
| 届出が必要な人 | 土木工事業・建築工事業・管工事業のいずれかの許可がある事業者 |
| 登録手数料(新規) | 33,000円 |
| 登録手数料(更新) | 26,000円 |
| 届出の手数料 | かからない(無料) |
| 登録謄本の交付 | 用紙1枚につき700円 |
| 登録簿の閲覧 | 480円 |
| 標準処理期間(新規登録) | 申請書受付後おおむね30日 |
| 標準処理期間(更新登録) | 申請書受付後おおむね14日 |
| 窓口 | 神奈川県 県土整備局 事業管理部 建設業課 建設業審査グループ(電話 045-285-3218) |
| 提出方法・部数 | 原則郵送/2部(正本1部・副本1部)+返信用レターパック1部 |
提出先は、営業しようとする区域を管轄する知事です。神奈川県内で営業するなら、横浜市・川崎市・相模原市などで窓口が分かれることはありません。県の建設業課への届出1本で、県内全域の工事に対応できます。
💡 窓口が市町村に分かれるのは、次の章で説明する「工事1件ごとの設置届」のほうです。「事業者としての届出=県に1本」「工事ごとの設置届=市町村を含む窓口へ」。ここを混同しないでください。
※添付する住民票(浄化槽設備士のもの)は、3か月以内に発行された原本で、マイナンバーの記載がないものを用意します。記載があるものは受け取ってもらえません。住民基本台帳ネットワークシステムの利用を希望する場合は、住民票コード番号を提示します。
忘れがちな「設置届」。工事のたびに、登録・届出とは別に必要です
ここまでは「浄化槽工事業を営むための」登録・届出の話でした。ここからは、工事1件ごとに必要な、別枠の手続きです。
浄化槽を設置するとき、またはその構造・規模を変更するときは、設置届を出さなければなりません(浄化槽法5条1項)。※国土交通省令・環境省令で定める「軽微な変更」は除きます。
提出先は、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)です。あわせて、知事を経由して特定行政庁(建築確認などを担当する行政の窓口)にも届け出ます。
ただし、建築基準法6条1項の確認を申請すべきとき(同法18条2項の通知を含む)は、この設置届は不要です。
原則、受理から21日間は着工できません

都道府県知事は、届出が受理された日から21日以内に限り、必要な勧告をすることができます。型式認定(国が構造を事前に認めた製品)を受けた浄化槽の場合は10日以内です。
そして、この期間を経過するまでは、届出をした浄化槽工事に着手してはいけません(浄化槽法5条2項・4項)。届出の内容が相当だと認める通知を受け取った後であれば、期間内でも着工できます。
この着工制限に違反すると、30万円以下の罰金です(浄化槽法64条1号)。設置届自体をしなかった、または虚偽の届出をした場合は、3月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金になります(浄化槽法63条1号)。
⚠️ 工程を組むときは、この21日間(型式認定品は10日間)を必ず見込んでおいてください。ここを詰めすぎると、着工が法令違反になります。
浄化槽法の罰則一覧|どの義務を落とすと何が科されるか
ここまで出てきた義務について、浄化槽法の罰則を根拠条文つきで整理しました。
| 違反内容 | 罰則 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 登録を受けずに浄化槽工事業を営んだ | 1年以下の拘禁刑又は150万円以下の罰金 | 59条3号 |
| 不正の手段で登録を受けた | 同上 | 59条4号 |
| 33条3項の届出をしない・虚偽の届出をした | 20万円以下の過料 | 67条1号 |
| 標識を掲げない | 20万円以下の過料 | 67条3号 |
| 設備士が欠けた営業所を2週間以内に是正しない | 30万円以下の罰金 | 64条10号 |
| 設備士の実地監督なしで浄化槽工事をした | 30万円以下の罰金 | 64条11号 |
| 帳簿を備えない・記載しない・虚偽記載・保存しない | 30万円以下の罰金 | 64条12号 |
| 設置届(5条1項)をしない・虚偽の届出をした | 3月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | 63条1号 |
| 5条4項の着工制限に違反した | 30万円以下の罰金 | 64条1号 |
なお、法人の従業者などが違反した場合は、その法人にも罰金刑が科されます(両罰規定=従業員の違反で会社も一緒に罰せられる規定・浄化槽法66条)。
浄化槽設備士がいない場合はどうする?
営業所に配置する浄化槽設備士がいない、というケースもあると思います。浄化槽法42条1項によると、免状の交付を受けられるのは次の2ルートです。
- 浄化槽設備士試験に合格した者
- 管工事施工管理の技術検定(建設業法27条に基づく第二次検定に限る)に合格した後、指定講習機関の講習課程を修了した者
「第二次検定」は、技術検定の後半にあたる試験です。合格すると管工事施工管理技士になれます。
つまり、管工事施工管理の第二次検定に合格している技術者がいれば、浄化槽設備士試験を受けずに、指定講習の修了で免状の交付を受けられるということです。
⚠️ 対象は第二次検定の合格者です。第一次検定に合格しただけの「技士補」は、このルートには当たりません。
手数料は、浄化槽設備士試験が31,700円、免状の交付・再交付・書換えが2,300円(浄化槽法施行令3条)。免状は国土交通大臣が交付します。
社内に資格者がいない場合は、まずこの2ルートのどちらが現実的か、技術者の経歴を確認するところから始めるとスムーズです。
よくある質問
Q. 建設業許可があれば、浄化槽工事業の登録はいっさい不要ですか?
A. 土木工事業・建築工事業・管工事業のいずれかの許可があれば、「登録」は不要です。ただし「届出」は必要です(浄化槽法33条)。
Q. とび・土工工事業の許可だけでも大丈夫ですか?
A. いいえ。特例の対象は土木工事業・建築工事業・管工事業の3つだけです。とび・土工工事業や水道施設工事業だけの許可では、登録が必要になります。
Q. 届出はいつまでに出せばいいですか?
A. 「浄化槽工事業を開始したとき」に「遅滞なく」届け出ます。事前に出す必要はありません。
Q. 届出を忘れるとどうなりますか?
A. 浄化槽法67条1号により、20万円以下の過料の対象になります。標識・帳簿・浄化槽設備士の義務にも、それぞれ別の罰則があります。
Q. 建設業許可を更新したら、何かする必要はありますか?
A. あります。許可の更新で許可番号が変わるため、様式第12号で変更の届出をします(神奈川県の手引きに明記されています)。届出そのものに有効期間はありませんが、許可更新のたびにこの手続きが必要です。
Q. 届出をすると「届出済証」はもらえますか?
A. 神奈川県では、届出受理書や届出済みの証明書は発行されません。届出年月日・届出番号を記載し受付印を押した副本が返却され、それが唯一の証拠になります。大切に保管してください。
まとめ:迷ったら、まずこの8項目をチェック
- 自社の建設業許可に、土木工事業・建築工事業・管工事業のいずれかが入っているか
- 入っている → 登録は不要。ただし浄化槽工事業を開始したら、遅滞なく届出(様式第11号・2部・原則郵送)
- 入っていない、またはとび・土工工事業や水道施設工事業だけ → 登録が必要(浄化槽法21条・有効期間5年)
- 建設業許可を更新したら、様式第12号で変更の届出(許可番号が変わるため。ここが一番抜けやすい)
- 届出をしても、浄化槽設備士は営業所ごとに必要(欠けたら2週間以内に是正)
- 標識は「浄化槽工事業者届出済票」(様式第9号・35cm×25cm以上)。営業所と工事現場の両方に掲げる
- 帳簿は工事ごとに作成し、閉鎖後5年保存
- 工事1件ごとの設置届を忘れない。受理から原則21日は着工できない
この8つのうち、ひとつでも「分からない」があれば、そこが今、確認すべきポイントです。
あわせて読みたい:「許可があれば登録不要」になる、他の業種は?
浄化槽工事業と同じように、軽微な工事だけを請け負う場合でも、建設業許可とは別に事業者登録が必要な業種が、ほかにもあります。解体工事業と電気工事業です。どちらも「一定の建設業許可があれば登録が不要になる」という、よく似た構造を持っています。
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やさしい行政書士事務所
代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県行政書士会所属/登録番号 第12082434号)
〒257-0003 神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E
この記事の出典
- 浄化槽法(昭和58年法律第43号)2条・5条・21条・25条・26条・29条・30条・31条・33条・42条・59条・63条・64条・66条・67条/e-Gov法令検索(施行日2026年7月1日版・2026年8月18日取得)
- 浄化槽工事業に係る登録等に関する省令(昭和60年建設省令第6号)1条・9条・10条・11条・12条(e-Gov法令検索・2026年8月18日取得)
- 浄化槽法施行令(平成13年政令第310号)3条(e-Gov法令検索・2026年8月18日取得)
- 神奈川県県土整備局事業管理部建設業課「浄化槽工事業の登録・届出」(2026年8月18日確認)
- 神奈川県「浄化槽工事業登録 特例浄化槽工事業者の届出の手引き」(令和7年10月版・2026年8月18日取得)=提出部数・添付書類・許可更新時の変更届・標識の様式・営業所の考え方の出典
- 建設業法施行令第1条の2(軽微な建設工事)/『建設業法と建設業許可 第3版 - 行政書士による実務と解説』日本行政書士会連合会
※本記事は2026年8月時点の情報をもとに、一般的な解説としてまとめたものです。様式・手数料・窓口の取扱いは、法令改正や行政庁の運用によって変わる場合があります。実際の届出・申請にあたっては、神奈川県が配布する最新の様式・手引きをご確認いただくか、当事務所までご相談ください。
(執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介/登録番号 第12082434号 最終更新日:2026年8月18日)