執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(登録番号 第12082434号)|執筆・監修者について
「決算変更届(事業年度終了届)って、行政書士に頼まないと出せないの?」——建設業者さまからよくいただくご質問です。結論からお伝えすると、決算変更届は自分で提出できます。この記事では、神奈川県知事許可の業者さま向けに、期限・必要書類・手順をやさしく整理したうえで、実務でつまずきやすいポイントも正直にお伝えします。
目次
結論:決算変更届は自分で提出できます
決算変更届の提出に、資格や代理人は必要ありません。
- 自分で作成・提出してOK(行政書士への依頼は義務ではありません)
- 様式は神奈川県建設業課のホームページからダウンロードできます
- 提出手数料は不要です
- 窓口・郵送・電子申請(JCIP)など複数の提出方法があります
ただし「自分で出せる」ことと「一度でスムーズに受け付けてもらえる」ことは別の話です。記入漏れや添付書類の不備で形式要件を満たさない場合、届出義務を果たしたことにならないとされている点には注意が必要です。
提出期限と提出先(神奈川県知事許可の場合)
まず大前提となる期限です。
- 期限:毎事業年度終了後4か月以内(例:3月決算なら7月末まで)
- 届出をしない場合や虚偽があった場合、建設業法28条(指示・営業停止)や50条の罰則の対象になることがあります
- 提出遅れは、次回の更新時の不利益や経審減点の要因にもなります(詳しくは決算変更届を出し忘れたときの記事へ)
提出先と受付方法は次のとおりです。
- 提出先:神奈川県県土整備局事業管理部建設業課(横浜市中区日本大通33番地・神奈川県住宅供給公社ビル5階)
- 受付方法:①窓口対面 ②郵送 ③窓口での書類預かり ④電子申請(JCIP)の4通り
- 窓口対面は平日のみで、決算変更届の受付は午前9時〜午後4時
- 提出部数は正副各2部(正本=県提出用、副本=控え。副本はコピーで可)
- 郵送は書留(簡易書留含む)又はレターパックプラス限定。受付日は到達日なので、期限間際は窓口が安心です
決算変更届の必要書類チェックリスト
必ず提出するもの
- 変更届出書(決算報告)——表紙となる届出書
- 工事経歴書(様式第2号)——許可業種ごとに全て作成(実績がなくても「実績なし」と記載)
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)
- 財務諸表——法人は様式第15号〜第17号の3、個人は様式第18号〜第19号
- 事業報告書(任意様式)——特例有限会社を除く株式会社のみ
- 納税証明書——法人は法人事業税(県税事務所で取得)、個人は個人事業税(前々年所得分)
変更があった場合のみ提出するもの
- 使用人数(様式第4号)
- 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第11号)
- 定款の写し(一番後ろに綴じる)
- 健康保険等の加入状況(様式第7号の3)——従業員数に変更があった場合
神奈川県独自の付属書類
- 各種表紙・財務諸表表紙・決算変更届チェックシート
- 郵送の場合は専用の送付票が必須(窓口持参なら不要)
自分で出す手順【5ステップ】

- STEP1 様式の入手と書類集め——県HPから様式をダウンロード。納税証明書は県税事務所で「事業年度が記載された納税証明書」を取得します(「未納がない旨の証明書」ではありません)
- STEP2 財務諸表の組替え——税理士作成の決算書を、建設業法施行規則の様式へ組み替えます。金額は千円単位で統一します
- STEP3 工事経歴書・施工金額の作成——1つの契約ごとに記載し、工事経歴書の業種ごとの合計と様式第3号の数字を一致させます
- STEP4 体裁を整える——正副各2部、左端2か所をステープラ留め。表紙に㊣・㊜を記載し、納税証明書(正本は原本)は「閲覧対象外法定書類」の表紙を付けて正本とは別綴じにします
- STEP5 提出——窓口(平日9時〜16時)・郵送(送付票と返信用レターパック同封)・JCIPのいずれかで提出。受理後、副本が控えとして返却されます
自分で出すときのつまずき3ポイント

①財務諸表の「組替え」が必要
ご相談で特につまずく方が多いポイントです。税理士が作った決算報告書をそのまま出すことはできず、建設業会計の科目体系への組替えが必須とされています。
- 注記表は省略不可。該当がない項目も「該当なし」と記載します
- 貸借対照表・損益計算書は確定申告の数字と整合させます
- 経審を受ける場合は、免税事業者を除き税抜き(千円未満切捨て)で作成します
- 記載方法に迷ったら、決算書を作成した税理士に確認するのが手引きでも推奨されています
②工事経歴書の細かい記載ルール
工事経歴書には、見落としやすい細則がいくつもあります。
- 金額が小さくても1契約につき1行。複数の請負をまとめて書けません
- 記載順は経審の受審有無でルールが変わります(経審ありは「約7割」、なしは「おおむね6割程度」まで大きい順)
- 注文者が個人のときは氏名を「A」「B」に置き換えます(イニシャル不可)
- 工事ごとに配置技術者(主任・監理の別と氏名)を記載します
- 未成工事は小計・合計に含めません
③複数年分たまっている場合
数年分の未提出がある場合は、一般に年度ごとに一式を作成して提出する扱いとなり、年度間の数字の突合も必要になるため負担が大きくなります。
- 更新申請のときに、前回許可以降の決算変更届がすべて提出済みか確認されます
- 期限超過は罰則の対象になり得るほか、経審の減点要因にもなります
- たまってしまった場合の対処は出し忘れたときの記事で詳しく解説しています
自分でやるか、依頼するか——判断の軸
| 自分で出すのに向いているケース | 依頼を検討したいケース |
|---|---|
| 許可業種が少なく、工事件数も少ない | 業種が多い・工事件数が多い |
| 経審を受けない | 経審を受審する(税抜き・7割ルールなど条件が変わる) |
| 平日に書類作成と提出の時間が取れる | 本業が忙しく、期限が迫っている |
| 未提出は直近1期分のみ | 複数年分がたまっている |
特に経審を受ける方は、決算変更届で出した工事経歴書や財務諸表が経審の評点に直結します。経審のP点の上げ方の記事もあわせてご覧ください。依頼した場合の最新の料金は料金表でご確認いただけます。
※決算書の作成や税務申告は税理士、登記は司法書士、労務は社会保険労務士の業務です。必要に応じて提携先をご紹介します。また、本記事の取扱いは神奈川県知事許可の場合のもので、他の行政庁では異なる場合があります。
まずは無料で「提出状況」を確認できます

「うちの決算変更届、ちゃんと出ているかな?」「更新期限はいつだったかな?」という確認は、無料で承っています。費用が発生するのは、税込のお見積りにご納得いただいて依頼された後だけです。
- 決算変更届の提出状況・更新期限の確認:無料
- 初回相談:無料
- 秦野本拠・県西部密着。平塚・厚木・伊勢原・小田原など、すぐ動ける距離です
自分で出すか迷っている段階のご相談も歓迎です。お問い合わせフォームまたはお電話(0463-57-8330・平日9:00〜18:00)からどうぞ。
参考:神奈川県「建設業許可申請の手引き」令和8年度版(神奈川県県土整備局事業管理部建設業課)