建設業

工事経歴書をエクセルで作る手順|公式様式の無料ダウンロード先と、差し戻されやすい3つの落とし穴

工事経歴書はエクセルで無料で作れる。ただし合計欄はSUMで出してはいけない

「前の担当者が使っていたファイルが、どこにも見当たらない」

「市販のテンプレートを買ったほうがいいのだろうか」

「去年のエクセルを上書きして使い回して、本当に大丈夫なのか」

決算変更届の時期に「工事経歴書 エクセル」で検索する方の多くが、この3つのどれかで止まっています。

先に結論からお伝えします。

工事経歴書のエクセル様式は、県のホームページから無料でダウンロードできます。買う必要はありません。

ただ、様式が手に入ってからが本番です。とくに「合計」欄は、エクセルの合計関数(SUM)で出してはいけない欄です。

この記事でわかること

  • エクセル様式の入手先(神奈川県・他県の探し方)
  • 自作したときに差し戻されやすい3つの落とし穴
  • 「書く順番」をエクセルに判定させる方法(式はコピペで使えます)

執筆・監修

やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県行政書士会所属/登録番号 第12082434号)

建設業許可・経営事項審査を専門に、神奈川県央エリアの建設会社を支援しています。

本記事の内容は、神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』/神奈川県『経営事項審査の手引き 令和8年7月1日版』第2分冊/様式第二号「記載要領」の記載に沿って確認しています。

1. 工事経歴書のエクセル様式は、県のサイトで無料配布されている

神奈川県知事許可の場合

神奈川県のホームページ「許可申請書等ダウンロード」に、様式がそのまま置かれています。

  • 工事経歴書は「第二号(エクセル)」というリンク名で掲載
  • 同じ場所に「記載要領(PDF)」も用意されている

出典:神奈川県県土整備局事業管理部建設業課「許可申請書等ダウンロード」(本記事執筆時点=2026年8月17日確認。同ページの更新日は2026年7月9日と表示)

落とすのは、エクセル様式と記載要領PDFの2つです。記載要領は、後で出てくる「書く順番」の根拠そのものなので、必ずセットで手元に置いてください。

大臣許可・他県に許可がある場合

2つ以上の都道府県に営業所を設けて建設業を営もうとする場合は、国土交通大臣許可になります。提出先も窓口も変わります(神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』第1章)。

営業所の数ではなく、都道府県をまたぐかどうかで決まります。神奈川県内に営業所が2つ3つあっても、それだけで大臣許可にはなりません。

様式そのものは国が定めた様式第二号ですが、記載範囲の細かい案内は行政庁ごとに違う部分があります。この記事の後半で出てくる「経審を受けないならおおむね6割程度まで」は、まさに神奈川県の手引きに書かれた案内です。

他県の許可をお持ちの方は、「〇〇県 建設業 様式 ダウンロード」で検索して、ご自身の許可行政庁が配布している様式・手引きを使ってください。この記事の入手先と、後半の「おおむね6割程度まで」は神奈川県のものです。

去年のファイルを使い回す前に、1分だけ見比べる

「毎年同じだから」と、前年のファイルを上書きして提出する会社は少なくありません。

ですが様式や手引きの案内は改正されます。押印欄の廃止(令和3年1月1日)のように何年も前の改正が残っているファイルもあれば、記載範囲や確認資料の案内が年度ごとに変わることもあります。

⚠️ 前年のファイルを開いたら、まず県の最新様式と欄の構成を見比べる。違いがあれば、迷わず最新版に入れ直してください。1分の作業で、1往復の差し戻しが消えます。

エクセルに数字を入れる前に、3点だけ決める

「業種ごとに作る」「どの期の工事を書くか」「税込か税抜か」——この3点は、入力を始める前に決めます。判断の基準は柱記事にまとめてあります。

【記入例つき】工事経歴書の書き方|決算変更届・経審で迷わない7つのルール(ルール1〜3)

ここでは、この先の話の前提になる2つだけ補足します。

ひとつめ。経審を受ける会社は、請負代金を「税抜」で書きます(免税事業者=消費税を納める義務がない小規模な事業者を除く)。

・請負代金の額は消費税抜きで記載します(免税事業者を除く)。
(神奈川県『経営事項審査の手引き 令和8年7月1日版』第2分冊「工事経歴書(様式第2号)記入上の注意点及び記入方法(経営事項審査受審者用)」)

※経審=公共工事を発注者から直接請け負おうとするときに必要な、会社の評価を受ける手続きのことです。

ふたつめ。「直前」の決算期の判定は、法人と個人で違います。

※「直前」決算とは、税務署に確定申告済みの決算期で直近のもの。決算期終了後、法人の場合は2か月を経過した場合、個人の場合は、3月15日を経過した場合は、当該期を「直前」と考えます。
(神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』第1章)

決算期の直後に届け出るときは、ここで1期ずれます。個人事業の方はとくにご注意ください。

2. 自作したときに差し戻されやすい、3つの落とし穴

エクセルは自動計算してくれます。ところが工事経歴書には、自動計算してはいけない欄があります。

落とし穴1:合計欄をSUMで出してしまう【当所でいちばん多い】

当事務所でご相談を受けるなかで、いちばん多いのがこれです。

表を作れば、当然いちばん下でSUMを取りたくなります。ですが工事経歴書の「合計」欄は、書いた工事の足し算ではありません

右のすべての項目について、当該業種の直前決算の事業年度における合計を記入する。(工事経歴書に記載したものと合計ではない。)
(神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』工事経歴書 記載例の注記)

合計欄に入るのは、その業種のその年の完成工事高の全額です。後で説明する7割・10件のルールで一部の工事を省略して書いた場合、記載した行のSUMは全額より小さくなり、様式第三号と一致しません。

工事経歴書の「合計」欄の正体。工事経歴書に書くのは請負代金の大きい順に7割ぶんだが、合計欄にはその業種のその年の完成工事高の全額を入れる。記載した行をSUMしても合計欄にはならない。

💡 検算のしかた

合計欄の金額は、様式第三号の額と一致します。様式第三号とは「直前3年の各事業年度における工事施工金額」のこと。見るのは、その業種の直前決算の欄です(同手引き)。ここが合っていなければ、どちらかが間違っています。

※小計はページごと、合計は最終ページのみに記入します(様式第二号 記載要領11・12)。この考え方は柱記事のルール6で図解しています。→ 小計・合計と「数字の一致」を必ずチェック

落とし穴2:「軽微な工事」の判定を税抜でやってしまう

工事経歴書には、軽微な工事について「10件を超える部分は書かなくてよい」というルールがあります(10件までしか書いてはいけない、という意味ではありません)。

問題は、その軽微かどうかの判定が「税込」基準だということです。

軽微な建設工事の金額基準(消費税込み)。建築一式工事は1件1,500万円未満または木造住宅で延べ面積150平方メートル未満、建築一式以外は1件500万円未満。経審を受ける会社は請負代金を税抜で記載するのに、軽微かどうかの判定は税込で行う二重基準。
業種軽微な建設工事にあたる金額
建築一式工事1件の請負代金が1,500万円未満(消費税込み)、または請負代金の額にかかわらず木造住宅で延べ面積150㎡未満の工事
建築一式以外1件の請負代金が500万円未満(消費税込み)

出典:神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』第1章「許可が不要な軽微な建設工事」(建設業法施行令第1条の2に規定する工事)。木造住宅とは、主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住用とするものです(同 第1章 ※2)。

ここで何が起きるか。

⚠️ 経審を受ける会社は、請負代金そのものは「税抜」で書きます。ところが軽微かどうかの判定は「税込」で行います。

同じ表の中で、基準が2つ動くわけです。エクセルで一列だけ作って判定すると、ここを間違えます。

たとえば税抜480万円の工事。税込にすると528万円です。税抜だけを見て「500万円未満だから軽微」と数えると、件数の数え方がずれます。

対策はシンプルです。作業用シートに「税込」と「税抜」の2列を持つ。判定は税込列、様式に転記するのは税抜列。これだけで防げます。

落とし穴3:未成工事を小計・合計に足してしまう

工事経歴書には、完成した工事のあとに「主な未成工事」も書きます(様式第二号 記載要領3(1)③)。

このとき、未成工事は小計にも合計にも含めません

※未成工事は、小計、合計とも含めない。
(神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』工事経歴書 記載例の注記)

エクセルで下から上まで一気にSUMを引っ張ると、未成工事まで巻き込んでしまいます。

ただし例外があります。工事進行基準を採用している場合は、その完成工事高を括弧書きで記入したうえで、括弧書きにした完成工事高は小計・合計に計上します(同手引き/様式第二号 記載要領9)。ここは自社の会計処理によって変わるので、顧問税理士に確認してください。

3. 7割・10件の判定を、エクセルに計算させる

工事経歴書でいちばん質問が多いのが「何件書けばいいのか」です。

答えは「何件」ではなく、条件で決まります。

工事経歴書に書く順番。①元請工事を請負代金の大きい順に、元請の合計の7割を超えるまで。②続けて残りの元請と下請を、すべての完成工事の合計の7割を超えるまで。③続けて主な未成工事。軽微な工事は①②を通算して10件まで書けば足りる。

書く順番と範囲のルール自体(①元請の7割 → ②全体の7割 → ③主な未成工事、軽微な工事は①②を通算して10件まで、神奈川県で経審を受けないならおおむね6割程度まで)は、柱記事で解説しています。

ルール4:書く「順番と範囲」を守る ― 経審あり/なしで変わる

※この「おおむね6割程度まで」は神奈川県の手引きの案内です。国の記載要領(3(2))は「主な完成工事について、請負代金の額の大きい順に記載し、続けて主な未成工事を記載する」と定めるだけで、割合を示していません。他県では案内が異なることがあります。

ここでは、そのルールをエクセルに機械的に判定させる方法だけを扱います。

※元請=発注者(施主)から直接請け負った工事。下請=他の建設業者が請け負った工事の一部を請け負ったもの(神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』)。

前提:作業用シートには「全件」入れる

提出する様式に直接打ち込む前に、別ファイルで作業用シートを1枚作ります。

⚠️ 当期に完成した工事を、元請・下請・軽微を問わず全件入れてください(未成工事は別のシートに分けます)。7割の分母は「書いた工事の合計」ではなく、その年の完成工事高の全額だからです。ここを入力漏れすると判定が甘くなり、記載件数が足りずに差し戻されます。

入力が終わったら、E列(税抜)の合計が、様式第三号のその業種・直前決算の額と一致するかを先に確認してください。一致すれば、この後の判定はすべて正しい分母で動きます。

列はこう並べます。

工事経歴書の作業用シートの列設計。A列に工事名、B列に注文者、C列に元請下請の別、D列に請負代金の税込(円)、E列に請負代金の税抜(円)、F列に軽微の判定、G列に累計、H列に累計比率、I列に軽微の累計件数。判定はD列の税込、様式へ転記するのはE列の税抜。
見出し入れるもの
A工事名「A邸○○工事」など
B注文者個人なら「A」「B」
C元請下請「元請」または「下請」
D請負代金(税込・軽微の判定に使う
E請負代金(税抜・様式に転記する金額のもと
F軽微判定式(下記)
G累計判定式(下記)
H累計比率判定式(下記)
I軽微の累計件数判定式(下記)

D列・E列は「円」単位で入れてください。千円単位で入力すると、次の軽微判定が全件「軽微」になります(様式へ転記するときに千円へ直します。後述)。

ステップA:①元請の7割を判定する

まず並べ替えます。最優先キーを「C列(元請下請)」、次に優先されるキーを「E列(税抜)の大きい順」にすると、元請が上にまとまり、その中が金額の降順になります。

⚠️ 並べ替えは、必ず表全体(A〜I列)を選んでから。1列だけ選んで並べ替えると、工事名と金額の対応が崩れます。フィルターで隠すのではなく、実際に行を並べ替えるのがポイントです。

そのうえで2行目から次の式を入れます(データは200行目までを想定。件数が多い会社は200を広げてください)。

F2:軽微かどうか(建築一式以外=税込500万円未満で判定)

=IF(D2="","",IF(D2<5000000,"軽微",""))

建築一式工事なら 500000015000000 に変えます。
なお木造住宅で延べ面積150㎡未満は、金額にかかわらず軽微です。この分岐は式では拾えないので、延べ面積の列を別に立てて手で判定してください。

※とくに建築一式工事で木造住宅の新築・増築を請け負う工務店は、金額だけで判定すると軽微な工事を取りこぼします。

G2:ここまでの累計(税抜)

=SUM($E$2:E2)

上の行から自分の行までを足し上げます。ステップBでそのまま使います。

H2:元請合計に対する累計比率

=SUMIF($C$2:C2,"元請",$E$2:E2)/SUMIF($C$2:$C$200,"元請",$E$2:$E$200)

分子・分母とも「元請」に限定しているのがポイントです。分子を単純なSUMにすると、後で下請を足したときに比率が過大になり、記載が足りなくなります。

I2:ここまでに出てきた軽微な工事の件数

=COUNTIF($F$2:F2,"軽微")

H列が初めて70%を超えた行——その行を含めて——が①で書く範囲です。「おおむね7割」なので、70.0%ちょうどに合わせる必要はありません。軽微な工事は、I列が10に達したらそこで打ち切ります。

ステップB:②全体の7割を判定する

①で採用した行はそのまま動かさず、その下の行だけを選んで、E列の大きい順に並べ直します。

⚠️ ステップAの並べ替えのままでは②は作れません。②で並べるのは「①で書かなかった元請 + すべての下請」を混ぜて金額の大きい順にしたもの。元請が先・下請が後の並びのままだと、下請の大口が後ろに回ってしまい、順番が狂います。

この並びで、H列を次の式に切り替えます。

=G2/SUM($E$2:$E$200)

分母が「すべての完成工事の合計」に変わりました。ここでも、H列が初めて70%を超えた行までが記載範囲です。

軽微な工事の10件は、①で数えたぶんと通算します。②で新たに10件ではありません(I列の式はそのまま使えます)。

出典:神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』「工事経歴書作成方法」=「①、②で合わせて10件を超えて記載する事を要しない」/神奈川県『経営事項審査の手引き 令和8年7月1日版』第2分冊=「①、②合わせて10件を超えて記載することを要しません」。なお様式第二号の記載要領3(1)は、①と②のそれぞれに「10件を超えて記載することを要しない」と書く形で、「通算」と明示しているのは県の手引きです

(このほか、請負代金の額の合計が1,000億円を超える部分は記載不要とされています。出典:様式第二号 記載要領3(1)①②ただし書)

ステップC:千円単位に直して転記する

様式の請負代金の額は、千円単位で記入します

請負代金の額を千円単位で記入する。なお、変更契約がある場合は、変更後の金額を記入する。
(神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』工事経歴書 記載例の注記)

作業用シートは円で持っておき、様式へ移すときに千円へ直します。

⚠️ 「表示形式」で千円に見せるだけでは足りません。

セルの表示形式を変えても、中に入っている値は円のままです。すると画面に並んだ千円の数字を足した額と、SUMが返す額がズレます=E2/1000 のように、値そのものを千円にしてから転記してください。

このとき、端数の扱いを全行でそろえてください。行ごとにバラバラだと、小計・合計と様式第三号の突き合わせで数千円のズレが出ます。

※工事経歴書の記載要領に、端数を切り上げるか切り捨てるかの定めは見当たりません。参考までに、同じ手引きの財務諸表の作成要領では「千円未満の端数処理は統一して表示してください」とされ、経審を受ける場合は「千円未満の端数は切り捨てて表示してください」と明記されています(神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』第2章 財務諸表 作成要領(3)(4))。そろえるなら切り捨てが自然です。

用紙が足りなくなったら2枚目以降を使います。小計はページごと、合計は最終ページだけです(様式第二号 記載要領11・12)。

なお、神奈川県では令和5年1月から電子申請システム(JCIP)による受付も行われています(神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』)。電子申請での提出方法や、作成したエクセルの取扱いについては、県のご案内をご確認いただくか、当事務所へお問い合わせください。

4. エクセル入力で、よく聞かれること

個人のお客様の名前はどう置き換える?

注文者や工事名から個人の氏名が特定されないようにします(様式第二号 記載要領6)。神奈川県の手引きは書き方まで指定しています。

注文者が個人の場合は、氏名が特定されないように、「A」、「B」・・とし、工事名は、「A邸○○工事」・・・とする。※イニシャルではなくABCに置き換えてください。
(神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』)

イニシャル(S様→S邸)ではなく、登場順にA・B・Cと振ります。エクセルなら、元の名前を別列に残したまま置換すると、後から自社で照合できます。

現場の担当者が途中で代わったときは?

配置技術者の欄には、氏名と「主任技術者か監理技術者か」の別を書きます。工事の途中で交代があった場合は、交代前の人も含めて全員書きます(様式第二号 記載要領8)。

監理技術者補佐(=監理技術者を補佐する技術者)を置いた場合や、特定専門工事(=一定の要件を満たす下請工事で、元請の技術者が下請分をまとめて管理できる仕組み)に該当して主任技術者を配置しなかった場合は、その旨も記載します(同)。

1つのセルに複数名を入れたいときは「Alt+Enter」でセル内改行できます。

「うち、PC、法面処理、鋼橋上部」の欄がある業種は?

土木一式工事・とび・土工・コンクリート工事・鋼構造物工事の3業種だけが使う内数欄です(様式第二号 記載要領10)。該当する工事がなければ記入は不要です。

作業用シートでは、内数用の列を1本立てておくと転記が楽になります。詳しい対応表は柱記事のルール5にあります。

各欄は「契約1件ずつ・個人名は伏せて具体的に」【記入例つき】

なお、JV(共同企業体)の工事や、下請工事の「注文者」に誰を書くかも、柱記事の同じ節で解説しています。

5. 決算変更届の段階で「経審仕様」にしておくと、作り直さずに済む

最後に、毎年の手間が減る話をひとつ。

神奈川県の経営事項審査の手引きには、こう書かれています。

決算変更届に様式第2号を添付し、かつ経営事項審査受審用記載要領を満たしている場合、提出を省略できます。
(神奈川県『経営事項審査の手引き 令和8年7月1日版』第2分冊)

つまり神奈川県では、決算変更届のときに「経審を受ける会社向けの書き方」で作って添付しておけば、経審の場面で工事経歴書の提出を省略できるということです(上の2つの条件を満たしている場合)。

具体的に変えるのは、この3点です。

  • 税抜で入力する(免税事業者を除く)
  • 元請工事だけを先に7割まで書き、そのあとに全体の7割まで書く(この記事のステップA・B)
  • 確認書類のコピーに、業種と通し番号を振っておく

3点目は見落とされがちですが、手引きに明記されています。

経営事項審査の受審の際、確認書類として提出する工事請負契約書等のコピーには、必ず業種・番号(請負金額順の通し番号)を記入して、工事経歴書と確認書類との対応関係を明確にしてください。
(神奈川県『経営事項審査の手引き 令和8年7月1日版』第2分冊)

1年前の工事を思い出しながら並べ替えるのは、かなりの負担です。経審を受ける予定があるなら、決算変更届の段階から経審仕様で作る。これが結果的にいちばん早い方法です。

なお、決算変更届は毎年必要な届出です。出していない年があると、更新や業種追加のときにまとめて求められます。

まとめ:エクセルは「並べ替え」に使い、「合計」には使わない

  • 工事経歴書のエクセル様式は、神奈川県の「許可申請書等ダウンロード」から無料で入手できる。記載要領PDFもセットで落とす
  • 前年ファイルを開いたら、県の最新様式と欄の構成を見比べる
  • 経審を受けるなら税抜で記載。ただし軽微かどうかの判定は税込(500万円/建築一式1,500万円)
  • 合計欄はSUMで出さない。合計はその業種のその年の全額。様式第三号と一致するかで検算する
  • 未成工事は小計・合計に含めない(工事進行基準の括弧書きは除く)
  • 作業用シートには全件を円単位で入れ、7割はステップA(元請限定)→ステップB(全体)で判定。様式へは千円単位で転記する
  • 決算変更届の段階で経審仕様に整えておけば、経審での提出を省略できる

書く順番そのもの(7つのルールと記入例)は、柱記事にまとめてあります。

【記入例つき】工事経歴書の書き方|決算変更届・経審で迷わない7つのルール

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やさしい行政書士事務所
代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県行政書士会所属/登録番号 第12082434号)
〒257-0003 神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E

この記事の出典

  • 神奈川県県土整備局事業管理部建設業課「許可申請書等ダウンロード」(2026年8月17日確認)
  • 神奈川県『建設業許可申請の手引き 令和8年度版』(第1章 許可が不要な軽微な建設工事・「直前」決算の判定/第2章 工事経歴書 作成方法・記載例の注記/様式第三号)
  • 神奈川県『経営事項審査の手引き 令和8年7月1日版』第2分冊(「工事経歴書(様式第2号)記入上の注意点及び記入方法(経営事項審査受審者用)」ほか)
  • 様式第二号(第二条、第十三条の二、第十三条の三、第十九条の八関係)「記載要領」1〜12
  • 建設業法施行令第1条の2(軽微な建設工事)

※本記事は2026年8月時点の情報をもとに、一般的な解説としてまとめたものです。様式・記載要領・軽微な建設工事の金額基準は、法令改正や行政庁によって取扱いが変わる場合があります。実際の申請・届出にあたっては、申請先の行政庁が配布する最新の手引き・様式をご確認いただくか、当事務所までご相談ください。

(執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介/登録番号 第12082434号)

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宮本 雄介
やさしい行政書士事務所 代表。行政書士(登録番号 第12082434号/神奈川県行政書士会所属)。2011年に行政書士試験に合格し、2012年に開業。以来1,000件以上の相談に対応してきました。建設業許可・経営事項審査(経審)、補助金、会社設立、在留資格、相続を取り扱い、なかでも建設業の許認可を中心にしています。弁護士事務所・社労士事務所での実務経験と、複数企業の社外取締役の経験を持ち、手続きの代行だけでなく経営の視点からも助言します。神奈川県秦野市を拠点に、県内を中心に全国の事業者をサポートしています。