経審の結果通知を開いた瞬間、「あれ、この数字おかしい」と血の気が引いた——そんな経験、ありませんか。
あるいは、提出する直前になって、書類の数字を打ち間違えていたことに気づいた。「経審のやり直しなんて、できないのでは」——そう不安になる気持ち、よくわかります。
実はこの答え、半分は正解で、半分は正確ではありません。😊
この記事は、神奈川県央エリア(秦野市・伊勢原市・平塚市・厚木市など)の建設業の経営者・担当者に向けて書いています。経審を申請した方も、これから申請する方も対象です。神奈川県の実際の窓口運用にもとづいて、「経審のやり直し」ができるケースとできないケースを、5つに整理してお伝えします。
この記事は神奈川県知事許可の業者を対象にしています。国土交通大臣許可の場合は関東地方整備局の運用になり、窓口が異なります(要確認)。
秦野市で建設業のお客様を多く担当している行政書士が、やさしく解説します。
執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本雄介
目次
- 経審(経営事項審査)とは、一言でいえば「会社の通信簿」
- 結論から。「経審のやり直し」は5つのケースに分かれます
- ① 提出前に間違いに気づいた場合 → 落ち着いて書き直せば大丈夫です
- ② 受理された後に自分のミスに気づいた場合 → 正直にお伝えすると、その場では直せません
- ③ 結果通知の内容が「申請したのと違う」場合 → 「再審査の申立て」で直せます(30日以内)
- ④【令和8年10月28日まで】W点改正にあわせた「新基準での再審査」は今ならできます
- ⑤ 業種を追加したくなった場合 → 「受け直し」という別の制度があります
- 神奈川県央の事業者が経審で損しないための「提出前」チェックリスト
- まとめ:気づいたら、まず「どのケースか」を切り分けましょう
- 経審のミス、ひとりで抱え込まず「やさしい行政書士事務所」にご相談ください
経審(経営事項審査)とは、一言でいえば「会社の通信簿」
経審とは、正式には「経営事項審査」といいます。一言でいうと、公共工事の入札に参加するために必ず受けなければならない、会社の通信簿のような制度です。
売上の規模や技術者の数、会社の財務状況などを国のルールで点数化します。それを「総合評定値(P点)」という一つの数字にまとめます。
この点数が、入札に参加できる工事の規模や、発注者ごとの「格付け(ランク)」に直結します。だからこそ、経審の内容にミスがあると気づいたとき、事業者の方は強い焦りを感じるのではないでしょうか。
結論から。「経審のやり直し」は5つのケースに分かれます
まず全体像を先にお伝えします。「経審のやり直し」とひとくちに言っても、状況によってできる・できないがはっきり分かれます。
| ケース | やり直せるか | 理由 |
|---|---|---|
| ① 提出前に気づいたミス | ○ できる | まだ受理されていないので書き直せる |
| ② 受理後に気づいた自分のミス | × できない | 受理後の内容変更・追加提出は不可 |
| ③ 結果通知の内容が申請と違う(県側の誤り) | ○ できる | 「再審査の申立て」(30日以内) |
| ④ 令和8年7月のW点改正にあわせた再審査 | ○ できる(期間限定) | 令和8年7月1日〜10月28日のみ |
| ⑤ 業種追加で内容を増やしたい | ○ できる | 「受け直し」という別の手続き |

次の章から、一つずつ神奈川県の運用に沿ってご説明します。
① 提出前に間違いに気づいた場合 → 落ち着いて書き直せば大丈夫です
申請書を書いている最中、あるいは提出する直前に間違いに気づいたなら、話はシンプルです。神奈川県に受理される前であれば、書き直して問題ありません。
ただし、ここに大きな落とし穴があります。
経審の数字は、決算変更届の工事経歴書や財務諸表と一致していなければなりません。提出前に、決算変更届の内容を一度見直しておくことが、結局いちばんの近道になります。
決算変更届でありがちな出し忘れ・記入ミスは、別記事「決算変更届、出し忘れていませんか」でも詳しく解説しています。
② 受理された後に自分のミスに気づいた場合 → 正直にお伝えすると、その場では直せません
一番つらいのがこのケースです。
神奈川県の運用では、申請書が受理されたあとは、内容の変更も追加資料の提出も認められません。審査が始まってから「やっぱりこの数字が違いました」は通用しない、ということです。
入札参加資格への影響が心配な場合は、早めに行政書士へご相談ください。次回までにどこを直すべきかを整理しておくだけでも、被害を最小限にとどめやすくなります。
③ 結果通知の内容が「申請したのと違う」場合 → 「再審査の申立て」で直せます(30日以内)
②とよく混同されますが、まったく別のケースがあります。それは、神奈川県側の処理の誤りなどによって、結果通知書の内容が、申請した内容と食い違っている場合です。
この場合は、建設業法第27条の28・同法施行規則第20条第1項が根拠になります。結果通知書を受け取った日から30日以内であれば、「再審査の申立て」ができます。所定の申立書に、求める再審査の内容と理由を書いて神奈川県に提出します。
対面での申立ては、通常の経審と同じ窓口(横浜市中区日本大通33、神奈川県住宅供給公社ビル6階)で受け付けています。行政書士などの代理人が申請する場合は、金曜日が受付日になります。
ここでの境界線は明確です。記入漏れや記入ミス、確認資料の不足によって内容が認められなかった場合など、申請者自身の落ち度によるものは、この再審査の対象外とされています。
なお、この再審査自体の手数料については、後述する令和8年7月改正分の再審査は無料と明記されていますが、通常の再審査の手数料は個別に窓口へご確認いただくのが確実です(要確認)。

④【令和8年10月28日まで】W点改正にあわせた「新基準での再審査」は今ならできます
実は今、神奈川県の経審には、期間限定で使えるもう一つの「やり直し」の道があります。経審の再審査を考えている方は、ぜひこの章もチェックしてください。
令和8年7月1日(2026年7月1日)、経審の評価基準が改正されました。自主宣言制度の新設、CCUS(建設キャリアアップシステム。技能者の就業履歴を記録する仕組み)の配点見直し、加点対象になる建設機械の拡大などが柱です。
この改正にともない、建設業法施行規則第20条第2項が根拠になります(施行規則=法律の細かい運用ルールを定めた省令)。対象は、改正前の基準で経審を受けた業者です。令和8年7月1日から同年10月28日までの120日間に限り、神奈川県に再審査を申し立てることができます。

対象になるのは、次の項目に関わる部分だけです。
- 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」への参加(新設された加点項目)
- 建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するための措置(CCUS関連)の加点部分の見直し
- 建設機械の保有状況のうち、新たに評価対象になったアスファルト・フィニッシャ、不整地運搬車
- 技術職員名簿のうち、新たに加点対象になった一部の技能者区分
これ以外の項目を変更しての再審査はできません。対象は、令和8年7月1日より前の基準で経審を受けていて、申立て時点で審査基準日から1年7か月以内の業者に限られます。
自社がいま有効期間内かどうか分からない——公表サイトで検索しても出てこない、という場合は、別記事「「経審 出てこない」3つの原因と確認手順」で確認手順を解説しています。
対面(通常の経審会場と同じ受付曜日)または電子申請で行い、手数料は無料です。郵送は受け付けていません。
W点(社会性等の評価点)の配点そのものをもっと詳しく知りたい方は、「経審のW点、目安はどのくらい?」も参考にしてください。
10月28日を過ぎると、この期間限定の再審査は使えなくなります。対象になりそうな項目に心当たりがあるなら、早めに動いたほうがいいでしょう。自社が対象に当てはまるかどうかの見極めは実務上いちばん難しい部分でもあるので、個別にご確認いただくことを強くおすすめします。
⑤ 業種を追加したくなった場合 → 「受け直し」という別の制度があります
経審を受けたあとに、建設業許可の業種を追加した場合はどうなるでしょうか。この場合は、追加した業種も含めて経審を「受け直す」ことができる、という神奈川県の運用があります。
ポイントは次のとおりです。
- 前回の結果通知を受け取ったあとでないと申請できません(審査の真っ最中に追加はできません)
- どうしても審査中に追加業種を含めたい場合は、今の申請をいったん取り下げたうえで、県の建設業課に相談する必要があります
- 技術職員名簿・その他の審査項目(社会性等)・建設機械の保有状況一覧表は、前回すでに審査を受けた内容と同じにする必要があります
これは「ミスの是正」というより「範囲の追加」に近い制度です。「やり直し」というより「上乗せ」のイメージで捉えると、理解しやすいかもしれません。

神奈川県央の事業者が経審で損しないための「提出前」チェックリスト
ここまで見てきたとおり、経審は一度受理されると、自分のミスは基本的に直せません。だからこそ、提出前のひと手間が何より効いてきます。
神奈川県の手引きをもとに、県央エリアの事業者がつまずきやすいポイントをまとめました。
- ☐ 決算変更届の数字(工事経歴書・財務諸表)と、経審の申請内容が一致しているか
- ☐ 完成工事高は消費税抜きで記載しているか(免税事業者は税込み)
- ☐ 常勤性を証明する書類は、紙の健康保険証ではなく、標準報酬決定通知書などになっているか(令和7年12月1日以降、紙の保険証は使えません)
- ☐ 工事の業種区分(どの工事をどの業種として計上するか)を、自己判断だけで決めていないか
- ☐ 正本・副本ともに、指定どおりステープラ止めしているか(鉛筆・シャープペンシル・消せるボールペンは不可)
- ☐ 確認書類は決められた順番に並べているか
- ☐ 電子申請の場合、前回提出した建設機械保有状況一覧表を、別ファイルで用意しているか
- ☐ 審査基準日から1年7か月の有効期間を逆算し、決算のたびに間をあけず申請できているか
- ☐ 工事経歴書の書き方に不安がないか(別記事「工事経歴書の書き方」も参考に)
チェックの数が多いほど、「受理後には直せない」というリスクを事前に減らせます。📋
まとめ:気づいたら、まず「どのケースか」を切り分けましょう
経審のミスに気づいたときにまずやるべきことは、慌てて動くことではありません。自分の状況が、①〜⑤のどのケースにあたるかを冷静に切り分けることです。
- 提出前なら、落ち着いて直せば大丈夫
- 受理後の自分のミスなら、次回に向けて仕切り直す
- 県側の誤りなら、30日以内に再審査を申し立てる
- 令和8年7月の改正に関わる項目なら、10月28日までなら再審査の道がある
- 業種追加なら、受け直しという制度を使う
経審の申請そのものの流れを最初から知りたい場合は、「経審のやり方を最初から全部」にまとめてあります。そもそも自分で申請すべきか迷っている場合は、「経審は自分でできる?」も参考にしてください。
※本記事の内容は2026年7月時点の神奈川県の運用にもとづきます。最新の要件は、必ず神奈川県のホームページまたは建設業課の窓口でご確認ください。

経審のミス、ひとりで抱え込まず「やさしい行政書士事務所」にご相談ください
「これはどのケースにあたるんだろう」「対象になるか自分では判断がつかない」——そう感じたら、無理に一人で結論を出す必要はありません。
やさしい行政書士事務所は、秦野市を拠点に神奈川県央エリア(伊勢原市・平塚市・厚木市など)で活動しています。建設業の経審・建設業許可を専門にサポートする事務所です。代表行政書士の宮本雄介が、神奈川県の実際の窓口運用にもとづいて、状況の切り分けから対応方針まで整理します。
まずは無料相談で、今の状況を聞かせてください。「これはケースか分からない」という段階でまったく問題ありません。😊
経審のやり直し・再審査のご相談を承っています。
やさしい行政書士事務所では、経審の内容確認から、再審査の申立て・W点改正への対応・業種追加の受け直しまで、無料相談で対応しています。「これはどのケースか分からない」という段階でも大丈夫です。😊
やさしい行政書士事務所(代表行政書士 宮本 雄介)
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