建設業

附帯工事とは?許可のない業種の工事はどこまで請け負える|建設業法4条の判断基準

その工事、ついでで済む?附帯工事の判断基準と建設業法4条

内装仕上工事の許可で店舗を改装するとき、別の業種の工事も一緒に頼まれることがあります。
このような工事は、自社で請け負ってよいのでしょうか。
付帯工事(附帯工事)とは、許可を受けた業種の工事に附帯する、別の業種の工事のことです。建設業法4条により、その業種の許可がなくても一緒に請け負うことができます。

先に、この記事の結論を3つお伝えします。

💡 この記事の結論3点

  • 許可を受けた業種の工事に附帯する他の業種の工事は、その業種の許可がなくても一緒に請け負える(建設業法4条)。
  • 附帯工事にあたるかは、ガイドラインの基準で総合的に判断する。金額の割合の決まりはない。
  • 附帯工事を自社で施工するなら専門技術者を置く。置けなければその業種の許可業者に施工させる(軽微な建設工事は除く)。

この記事では、附帯工事にあたるかの判断基準、よくある誤解、専門技術者の置き方、業種追加を考える目安までを、建設業法と国土交通省の資料の言葉で整理します。

この記事を書いた人:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介
神奈川県秦野市で、建設業許可・決算変更届・経営事項審査(経審)を中心に、建設業者さまの手続きをお手伝いしています。(執筆・監修者について)

目次

附帯工事とは?建設業法4条の定め

条文:許可を受けた業種の工事に附帯する他の業種の工事は請け負える

建設業者は、許可を受けた業種の工事を請け負うとき、その工事に附帯する他の業種の工事も請け負うことができます(建設業法4条)。
ここでいう「建設業者」は、建設業許可を受けて建設業を営む者のことです(建設業法2条3項)。この一緒に請け負える別の業種の工事を「附帯工事」と呼びます。

本来、工事1件の請負代金が500万円以上(消費税込み。建築一式工事は別の基準)の工事を請け負うには、その業種の建設業許可が必要です(建設業法3条1項・建設業法施行令1条の2)。
しかし、許可を受けた業種の工事に附帯する工事であれば、その業種の許可を持っていなくても一緒に請け負うことができます。

ガイドラインの定義と、国土交通省の資料にある例

国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」は、附帯工事を次のように定めています。

「主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事又は主たる建設工事を施工するために生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないもの」(建設業許可事務ガイドライン【第4条関係】)

国土交通省 近畿地方整備局の技術者制度の資料は、この2つのパターンの例として、次の4つを挙げています。

📋 附帯工事の2つのパターンと具体例

  • 主たる工事の施工により必要を生じた工事
    例:管工事の施工に伴って必要を生じた熱絶縁工事
    例:屋根工事の施工に伴って必要を生じた塗装工事
  • 主たる工事を施工するために生じた工事
    例:屋内電気工事の施工に伴って必要を生じた内装仕上工事
    例:建具工事の施工に伴って必要を生じたコンクリート工事

住宅の「付帯工事費」とは別の話

なお、住宅の建築費の見積りに出てくる「付帯工事費」は、施主向けの費用の呼び名で、この記事の附帯工事とは別の話です。
建設業法の附帯工事は、建設業者が許可を受けていない業種の工事をどこまで請け負えるか、というルールです。

附帯工事にあたるかの判断基準

附帯工事にあたるかの判断の3つの問い。主たる工事との関係、独立した使い道の有無、一連・一体の工事として必要か

附帯工事にあたるかは、建設業許可事務ガイドライン【第4条関係】の定義と判断の基準から、次の3つの点を見て総合的に判断します。

①主たる工事と従たる工事の関係があるか

まず、許可を受けた業種のメインの工事(主たる工事)と、それに付随する工事(従たる工事)という関係が必要です。
ガイドラインは、主たる工事の施工によって必要になった工事と、主たる工事を施工するために生じた工事の2つを挙げています。もともと関係のない別々の工事であれば、附帯工事とは言えません。

②それ自体が独立した使い道を持たないか

その従たる工事が、単独で機能したり使われたりするものではないことが重要です。
ガイドラインの言葉では「それ自体が独立の使用目的に供されるものではないもの」と表現されています。

③注文者の利便や請負契約の慣行から、一連・一体の工事として施工するのが必要・相当か

判断の基準になるのは、注文者の利便と、請負契約の慣行などです。
ガイドラインは、工事の準備、実施、仕上げなどに当たり「一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かを総合的に検討する」としています。

⚠️ 迷ったら着工前に許可行政庁へ

附帯工事にあたるかどうかは、個別の工事ごとに、上の基準で総合的に判断されます。
迷う場合は、着工前に許可行政庁(神奈川県知事の許可なら神奈川県)に確認しましょう。

金額の割合は?

「主たる工事の金額の〇割まで」といった金額や割合の基準は、ガイドラインには書かれていません。
裁判例では、秋田地裁平成2年11月15日判決が、水道施設の工事の中の計装設備の工事について、工事の内容や、工事全体に占める比重(見積金額が工事費総額の2割に満たない)などから、附帯工事にあたると判断しています。

ただし、この判決は「2割未満なら附帯工事」という基準を示したものではありません。
金額は判断材料の一つで、金額だけで決まるわけではありません。

附帯工事でよくある3つの誤解

附帯工事は便利な決まりですが、誤解されやすい点もあります。
よくある3つの誤解を整理します。

誤解① 許可がなくても、附帯工事なら500万円以上を請け負える

附帯工事の決まり(建設業法4条)を使えるのは、建設業許可を受けている「建設業者」だけです(建設業法2条3項)。
許可を持たずに軽微な建設工事だけを請け負っている業者は、一緒に頼まれた別の業種の工事も含めた工事1件の請負代金が500万円(消費税込み。建築一式工事は別の基準)以上になれば、許可が必要です。

工事を2つ以上の契約に分けても、正当な理由に基づいて分けたときを除き、各契約の請負代金の合計額で判断されます(建設業法施行令1条の2第2項)。
また、許可業者が附帯工事を請け負う場合も、自社で施工するには専門技術者を置く必要があります(次の誤解②)。

誤解② 附帯工事なら、誰が施工してもよい

附帯工事であっても、誰が施工してもよいわけではありません。
附帯工事が軽微な建設工事にあたる場合を除き、自社で施工するなら、その業種の要件を満たす専門技術者を工事現場に置くか、その業種の許可を受けた建設業者に施工させる必要があります(建設業法26条の2第2項)。

誤解③ 独立した工事を抱き合わせても、附帯工事として扱える

注文者から別々に頼まれた工事や、それだけで独立した使い道のある工事を、一つの契約にまとめても附帯工事にはなりません。
ガイドラインの定義は「それ自体が独立の使用目的に供されるものではないもの」だからです。実態として別々の工事であれば、軽微な建設工事を除き、それぞれの業種の許可が必要になります。

附帯工事にあたらない工事を、その業種の許可なく請け負うと(軽微な建設工事を除く)、無許可営業となるおそれがあります。
許可を受けないで建設業を営んだ者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金の対象で、情状により両方を科されることもあります(建設業法47条1項1号・2項)。法人の代表者や従業者が業務に関して違反したときは、法人にも1億円以下の罰金刑が科されます(建設業法53条1号)。

専門技術者とは?営業所技術者・主任技術者との違い

専門技術者・主任技術者・営業所技術者の違い。専門技術者は附帯工事を自ら施工するときに現場に置く技術者

名前の似た3つの技術者は、置く場所と根拠の条文が違います。

呼び名 置く場所・場面 根拠
営業所技術者 営業所ごとに専任で置く(令和6年12月13日からの呼び名。それまでは専任技術者) 建設業法7条2号
主任技術者 請け負った工事の現場に置く 建設業法26条1項
専門技術者 附帯工事(や一式工事の中の専門工事)を自ら施工するとき、その工事の現場に置く 建設業法26条の2

専門技術者を置いて自ら施工するか、その業種の許可業者に施工させる

附帯工事を施工するときの決まりは、建設業法26条の2第2項にあります。
自社で施工する場合は、その附帯工事について建設業法7条2号イ・ロ・ハのいずれかに該当し、工事現場で施工の技術上の管理をつかさどる「専門技術者」を置かなければなりません。置けない場合は、その業種の許可を受けた建設業者に施工させます。

国土交通省の「建設業フォローアップ相談ダイヤル」の公表事例でも、機械器具設置工事の許可業者が附帯工事として500万円を超える電気工事を行う場合、主任技術者又は主任技術者相当の技術者を専門技術者として配置できれば施工でき、配置できなければ電気工事の許可を持った建設業者と下請契約を結んで施工させる、と回答されています。
電気工事を伴う場合は、建設業法とは別に、電気工事業法の届出が必要になることがあります(建設業者は電気工事業の登録を受ける必要はなく、電気工事業を始めたときに届け出ます。自家用電気工事だけなら通知です)。詳しくは「電気工事業の登録が「不要」なケースとは?必要になる境界を行政書士が解説【神奈川・秦野】」で解説しています。

なお、土木一式工事・建築一式工事を施工する業者が、一式工事の中の専門工事(軽微な建設工事を除く)を自ら施工するときも、同じように専門技術者を置くか、その業種の許可を受けた建設業者に施工させます(建設業法26条の2第1項)。

💡 軽微な建設工事なら専門技術者は不要

附帯工事が「軽微な建設工事」(工事1件の請負代金が500万円未満〔消費税込み〕など)であれば、26条の2の決まりの対象外です。建設業法の上では、専門技術者を置かなくても自社で施工できます。

専門技術者になれる人は、主任技術者と同じ要件

専門技術者の資格要件は、主任技術者と同じです(どちらも建設業法7条2号イ・ロ・ハ)。
その業種に対応する国家資格を持つ人や、その業種の実務経験を一定の年数積んだ人などが当たります。主任技術者の要件は「主任技術者とは?営業所技術者(旧・専任技術者)との違いと4,500万円の専任ライン」で詳しく解説しています。

主任技術者・監理技術者が兼ねることもできる

資格要件が備わっていれば、その現場の監理技術者又は主任技術者が、専門技術者を兼任できます(国土交通省 近畿地方整備局の資料)。
一方、営業所技術者は営業所ごとに専任で置く技術者で、工事現場に置く専門技術者・主任技術者とは役割が別です。なお、営業所技術者でも、一定の要件を満たせば現場の主任技術者を兼ねられる場合があります(建設業法26条の5など)。要件は、上で紹介した主任技術者の記事で解説しています。

施工体制台帳・施工体系図にも専門技術者の欄がある

現場の主任技術者・監理技術者・監理技術者補佐とは別の人を専門技術者として置いたときは、施工体制台帳と再下請負通知書にその人の氏名・管理をつかさどる建設工事の内容・主任技術者資格を、施工体系図に氏名と管理をつかさどる建設工事の内容を書きます(建設業法施行規則14条の2・14条の4・14条の6)。
施工体系図の書き方は「施工体系図の書き方|記入例つき・どの下請まで書く?掲示と差し替えのルール」で解説しています。

附帯工事が多いなら「業種追加」も考える

単独で頼まれる工事や、それだけで独立した使い道のある工事が増えてきたら、その業種の許可を追加で受ける(業種追加)ことを検討しましょう。
神奈川県の経営事項審査の手引きも、一式工事の許可を受けた業者が他の専門工事を単独で請け負う場合は、その専門工事の許可を受けなければならない、としています。神奈川県の許可の窓口や手引きは「神奈川県の建設業許可|窓口・手引き・必要書類・更新の受付期間まで【令和8年度版】」でまとめています。

なお、工事経歴書や経営事項審査(経審)の業種の区分では、屋根工事における塗装作業などの附帯工事が含まれていても、主たる工事の業種で判断されます(神奈川県『経営事項審査の手引き』第2分冊)。

😊 許可の追加や手続きで迷ったら

見積書や注文書をお持ちいただければ、附帯工事として扱えるか・専門技術者の配置や業種追加が要るかを一緒に整理します(相談は無料・0463-57-8330)。附帯工事にあたるかは個別の工事ごとに総合的に判断されるため、着工前にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

附帯工事の金額に上限はありますか?

金額の上限や割合の決まりは、建設業許可事務ガイドラインにはありません。
主たる工事との関係や、一連・一体の工事として施工するのが必要・相当かなどを総合的に見て判断されます。工事全体に占める比重が判断材料の一つになった裁判例はありますが、「〇割まで」という基準ではありません。

許可を持っていない業者でも、附帯工事なら請け負えますか?

附帯工事の決まり(建設業法4条)は、建設業許可を受けている「建設業者」についての規定です。
許可を一つも持っていない業者は使えません。許可がない場合に請け負えるのは軽微な建設工事だけで、一緒に頼まれた工事も含めた工事1件の請負代金で判断します。

附帯工事を下請に出すとき、相手に許可は要りますか?

下請に出す附帯工事が軽微な建設工事にあたるなら、相手は許可を持っていなくても構いません。
軽微な建設工事にあたらない場合は、その業種の許可を受けた建設業者に施工させる必要があります(建設業法26条の2第2項)。下請契約の書き方は「工事請負契約書の書き方|建設業法19条の記載事項と注文書・請書・押印のルール」で解説しています。

附帯工事は工事経歴書にどう書きますか?

神奈川県の経営事項審査の手引きでは、附帯工事が含まれていても、主たる工事の業種で判断するとされています。附帯工事の分を別の業種に分けず、主たる工事の業種の工事として記載するのが基本です。
どの業種にあたるか分からない工事の問合せ先として、手引きには神奈川県建設業課 建設業審査グループ(経営事項審査担当・045-285-3218)が載っています。工事経歴書の書き方のルールは「【記入例つき】工事経歴書の書き方|決算変更届・経審で迷わない7つのルール【建設業】」、エクセルでの作り方は「工事経歴書をエクセルで作る手順|公式様式の無料ダウンロード先と、差し戻されやすい3つの落とし穴」で解説しています。

まとめ

附帯工事とは、許可を受けた業種の工事に附帯する、別の業種の工事のことです。
最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 許可業種に附帯する工事は、その業種の許可がなくても請け負える。
  • 附帯工事にあたるかどうかは、ガイドラインに基づき総合的に判断される。
  • 自社で施工する際は専門技術者を置くか、許可業者に施工させる(軽微な建設工事を除く)。

独立した工事を抱き合わせて附帯工事として扱うと、無許可営業となるおそれがあります。
迷ったときは、着工前に許可行政庁に確認することをおすすめします。

📋 参考にした資料

※本記事は法令の解説を目的としたものであり、個別の事案への適用を保証するものではありません。最新の要件については管轄の行政庁にご確認ください。

📢 その工事、いまの許可業種で請けられますか

附帯工事にあたるかどうかは、工事ごとに総合的に判断されます。迷ったまま着工する前に、一度整理しておくのがおすすめです。

見積書・注文書・図面をお持ちいただければ、主たる工事と附帯工事の切り分けと、専門技術者の配置や業種追加が要るかを一緒に確認します。迷う工事は、許可行政庁(神奈川県知事の許可なら神奈川県)にも確かめながら進めます。

ご相談は無料です。まずは「附帯工事のことで」とだけお伝えください。😊

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宮本 雄介
やさしい行政書士事務所 代表。行政書士(登録番号 第12082434号/神奈川県行政書士会所属)。2011年に行政書士試験に合格し、2012年に開業。以来1,000件以上の相談に対応してきました。建設業許可・経営事項審査(経審)、補助金、会社設立、在留資格、相続を取り扱い、なかでも建設業の許認可を中心にしています。弁護士事務所・社労士事務所での実務経験と、複数企業の社外取締役の経験を持ち、手続きの代行だけでなく経営の視点からも助言します。神奈川県秦野市を拠点に、県内を中心に全国の事業者をサポートしています。