建設業

再下請負通知書は誰が出す?下請が間違えやすい提出先と時期

再下請負通知書を出すのは元請ではなく下請

「再下請負通知書って何?」「誰が、いつ、どこに出すの?」

元請からその名前を告げられた。あるいは、施工体制台帳の説明を受けている途中で、この言葉が出てきた。そのまま検索窓に打ち込んだ、という方も多いはずです。

結論から言います。再下請負通知書を出すのは、元請ではありません。下請です。

取り違えが起きるのには理由があります。元請の側にも「再下請負通知を出してください」と下請に知らせ、現場に掲示する義務があるからです(建設業法施行規則14条の3第1項)。そのため、元請が出す書類のように見えてしまいます。けれど出すのは下請です。ここを取り違えると、提出そのものが漏れてしまいます。

漏れたままにすると、元請が作っている施工体制台帳が、現場の実態と合わなくなります。現場の体制を示す書類なので、自社だけの問題では終わりません。

この記事では、2026年8月時点の建設業法・建設業法施行規則、そして公共工事にかかわる入札契約適正化法の条文にもとづいて、「誰が・誰に・いつ・何を出すのか」を、下請の立場から正面から整理します。

※この記事は、神奈川県秦野市の行政書士(登録番号 第12082434号)が、e-Gov法令検索で取得した現行条文にあたって作成しています。

この記事でわかること

  • 再下請負通知書を出すのは誰か(主語の確認)
  • 誰に、いつ出すのか
  • 何を書き、何を添えるのか(添付書類の金額の扱い)
  • 決まった様式があるのか
  • 出さなかったときに何が起きるのか

再下請負通知書とは?出すのは「元請」ではなく「下請」

再下請負通知書を出すのは元請ではなく下請。施工体制台帳を作るのは元請、請け負った工事をさらに他の業者に出した下請が再下請負通知書を出す

再下請負通知書とは、下請負人が、自社の請け負った工事をさらに他の業者に出すときに、元請へ提出する書類です(建設業法24条の8第2項)。

提出先について、建設業法24条の8第2項は「特定建設業者」と書いています。これを建設業法施行規則14条の2第1項1号が「作成建設業者」と呼び、以降の条文はこの呼び方を使います。

作成建設業者とは、施工体制台帳を作る立場の元請のことです。公共工事では入札契約適正化法15条1項によって「建設業者」に読み替えられますが、その場合も作成建設業者に含まれます。

条文を分解すると、次の2つが同時にそろったときに、提出の義務が生まれます。

  1. その工事が、元請に施工体制台帳の作成義務がある工事であること
  2. 自社が請け負った工事を、さらに他の業者に請け負わせたこと

この2つがそろって、はじめて義務が生まれます。自社ですべて施工し、下に出さないのであれば、再下請負通知書は不要です。

1つ目の「台帳の作成義務があるかどうか」は、元請の許可の種類や下請契約の金額によって決まります。詳しくは「施工体制台帳は必要?5,000万円ラインと公共工事の落とし穴」で解説しています。

一次下請だけの話ではない

「下請」と聞くと、一次下請をイメージしがちです。しかし対象はそれだけではありません。

二次下請がさらに三次下請に工事を出せば、二次下請にも同じ義務が生まれます。自社が何次下請であっても、下に出すなら対象になる、と考えてください。

相手に建設業許可があるかどうかは関係ない

条文は「他の建設業を営む者」と書いています(建設業法24条の8第2項)。建設業法は「建設業」を“建設工事の完成を請け負う営業” と定義していて、ここに許可の有無は入っていません(同法2条2項)。許可を受けた者だけを指すのは「建設業」のほうです(同法2条3項)。

つまり、工事を出した相手が建設業許可を持っていなくても、通知の対象になります。

ただし、対象になるのは「建設工事の請負契約」だけです(建設業法2条4項)。資材の購入や機材のリースなど、工事を請け負わせるのではない契約は対象外です。

誰に出す?「直近の注文者」ではなく「作成建設業者」

ここが、もっとも間違えやすいポイントです。

⚠️ よくある勘違い

「自分に発注してきた会社(直近の注文者)に出せばよい」と思われがちですが、正しくは違います。提出先は、台帳を作っている元請(作成建設業者)です(建設業法24条の8第2項)。

一次下請の場合、直近の注文者と作成建設業者は同じ会社(元請)です。迷うことはないでしょう。

問題は、二次下請・三次下請の場合です。

たとえば二次下請にとって、直近の注文者は一次下請です。しかし再下請負通知書の提出先は、一次下請ではありません。台帳を作っている、いちばん上の元請(作成建設業者)です。

提出先がわからないときは、現場の掲示を確認する

自社より上に何社入っているか分からない、というケースもあるはずです。ここで手がかりになるのが、元請側の義務です。

元請(作成建設業者)は、台帳を作る立場になったら、下請に対して次の2つを知らせる義務があります。書面で通知し、あわせて工事現場の見やすい場所に掲示します(建設業法施行規則14条の3第1項)。

  1. 作成建設業者の商号又は名称
  2. 再下請負通知を行うべき旨と、提出すべき場所

※これは元請自身が再下請負通知書を出す、という意味ではありません。元請が下請に対して「台帳を作っています。下に出すときは通知してください」と知らせる義務です。

現場にこの掲示が出ていたら、それが「この現場は再下請負通知が必要な現場だ」という合図です。下に工事を出す前に、通知の準備を始めましょう。

通知は下にも続く(バケツリレー)

再下請負通知書を出す義務がある下請には、もう1つ義務があります。

自社が工事を出した相手(再下請負人)に対して、さきほどの①作成建設業者の商号又は名称、②再下請負通知を行うべき旨と、提出すべき場所を、書面で通知する義務です(建設業法施行規則14条の4第2項。知らせる中身は、元請が下請に知らせるのと同じ同規則14条の3第1項各号です)。

つまり、元請から下りてきた「どこに出せばよいか」という情報は、一次下請から二次下請へ、二次下請から三次下請へと、下へ下へと伝わっていきます。

一方で、再下請負通知書そのものは、それぞれの下請が、いちばん上の作成建設業者に対して通知します。法律上の相手方は作成建設業者です(現場によっては、上の会社が取りまとめて元請へ渡す運用をとることもあります)。

階層再下請負通知書(上へ)通知する情報(下へ)
元請(作成建設業者)①自社の商号 ②再下請負通知を行うべき旨と提出先
一次下請作成建設業者へ①作成建設業者の商号 ②通知を行うべき旨と提出先
二次下請作成建設業者へ(直近の注文者=一次下請ではない)①作成建設業者の商号 ②通知を行うべき旨と提出先
三次下請…作成建設業者へさらに下に出す場合は同様に通知
通知の宛先は全員そろって最上流の元請。書類は下請から作成建設業者へ上へ、提出先の情報は元請から一次下請・二次下請・三次下請へ下へ伝わる

通知の相手方は全員そろって作成建設業者(通常は最上流の元請)、「どこに出すか」の情報は下へバケツリレー——とイメージすると分かりやすいはずです。

提出先や、自社が何次下請にあたるのか判断に迷う場合は、自己判断せずにご相談ください。

お電話:0463-57-8330(平日9:00〜18:00)/お問い合わせフォーム(24時間受付)

いつ出す?「都度、遅滞なく」(日数の定めはない)

提出のタイミングは、下に工事を出す都度、遅滞なくです(建設業法施行規則14条の4第2項)。

「◯日以内」という日数の定めは、条文にありません。まとめて後日提出するのではなく、下に出すたびに、そのつど提出するのが原則です。

「遅滞なく」とは、正当な理由なく先延ばしにしない、という意味の法律用語です。契約が決まったら、できるだけ早く準備にとりかかりましょう。

何を書く?記載事項は3つのかたまり

再下請負通知書の記載事項は、建設業法施行規則14条の4第1項に定められています。3つのかたまりで捉えると分かりやすくなります。

何について書くか主な中身
1号自社(再下請負通知人)のこと商号又は名称・住所、建設業者であれば許可番号
2号自社が受けた工事のこと工事の名称、注文者の商号、注文者と契約した年月日
3号下に出した相手と、その工事のこと相手の商号・住所・許可番号、工事の名称・工期、下請が置く主任技術者(現場の施工管理を担当する技術者)、従事者の氏名・職種・社会保険の加入状況など
再下請負通知書の記載事項3つのかたまり。1号は自社のこと、2号は自社が受けた工事のこと、3号は下に出した相手とその工事のこと

3号は、施工体制台帳の記載事項(建設業法施行規則14条の2第1項)の一部を引用する形になっています。とはいえ、台帳をそのまま書き写す書類ではありません。台帳そのものの詳しい記載事項は「施工体制台帳は必要?5,000万円ラインと公共工事の落とし穴」で解説しています。

下請が置く主任技術者について詳しくは「主任技術者とは?専任技術者との違いと4,500万円の専任ライン」もあわせてご覧ください。

なお3号では、下に出した相手の従事者ひとりずつの氏名・職種・社会保険の加入状況まで書きます。この手の情報をまとめて管理する仕組みが建設キャリアアップシステム(CCUS)です。一人親方に出すときの登録や費用は「建設キャリアアップシステム(CCUS)一人親方の費用は?内訳4つ」で解説しています。

添付書類は?契約書の写しと、金額の扱い

ここは、実際に書類をそろえる段階で迷いやすいところです。

再下請負通知書には、自社が下に出した契約の契約書(建設業法19条1項・2項の書面)の写しを添付します(建設業法施行規則14条の4第3項)。

金額の扱いは、民間工事か公共工事かで変わります。

工事の種類契約書の写しの金額部分
民間工事請負代金の額の部分を除いて添付してよい
公共工事金額も含めて添付する

民間工事であれば、契約書の写しのうち金額が書かれた部分は、隠して(マスキングして)添付できます。一方、公共工事は金額の部分も含めて、そのまま添付します。

通知は電子でもよい(相手の承諾が必要)

相手(作成建設業者、または再下請負人)の承諾を得れば、書面ではなく電磁的方法(データでのやり取り)で通知できます(建設業法施行規則14条の4第4項)。この場合、書面で通知したものとみなされます。

使える方法は、受け取った側が出力して書面を作れるものに限られます(同条5項)。また、いったん承諾を得たあとで「電子では受け取らない」という申し出があったときは、電子で通知してはいけません(同条8項)。

添付する契約書の写しについても、スキャナなどで読み取って記録し、必要なときに画面や紙にはっきり表示できるなら、その記録で代えられます(同条9項)。

記載を省略できるケース

添付書類にすでに同じ事項が書かれている場合は、再下請負通知書のどこがその書類に対応するかを明らかにすれば、記載を省略できます(同施行規則14条の5第1項の準用)。

内容が変わったとき

記載事項に変更があったときは、遅滞なく、変更があった年月日を付記して、書面で作成建設業者に通知しなければなりません(同施行規則14条の5第5項)。出して終わりではなく、変更のたびに直していく書類だと考えてください。

様式は決まっている?

再下請負通知書について、法令が定める全国共通の様式はありません。建設業法施行規則は、書くべき事項を定めているだけです。

ただし、国土交通省が作成例を公開しています(施工体制台帳、施工体系図等|国土交通省)。同じページには「法令上、記載しなければならない事項が網羅されていれば、作成例以外の様式を利用することも可能です」と明記されています。まずこの作成例を見ておくと、書くべき項目の全体像がつかめます。

実際には、発注者や元請が独自の様式を用意していることがあります。提出前に、指定の様式がないかを必ず元請に確認してください。指定があれば、それに従うのがいちばん確実です。

公共工事だとどう変わる?

公共工事は、入札契約適正化法15条1項(公共工事の入札・契約について定めた法律)により、建設業法24条の8の適用が読み替えられます。金額に関係なく、元請が下請と1件でも契約すれば、施工体制台帳の作成義務が生まれます。

その結果、下で働く下請にとっても、再下請負通知書の提出義務が生じる場面が、民間工事より広がります。

ここで誤解しやすい点があります。公共工事でも、台帳を作るのは「発注者から直接工事を請け負った元請」だけです。入札契約適正化法による読み替えのあとも、建設業法24条の8第1項の「発注者から直接請け負った場合」という要件は残っているためです。

一次下請がさらに二次下請に工事を出しても、一次下請自身が施工体制台帳を作ることにはなりません。一次下請の立場で必要になるのは、台帳ではなく、この記事のテーマである再下請負通知書です。

公共工事における施工体制台帳の詳しい要件は「施工体制台帳は必要?5,000万円ラインと公共工事の落とし穴」で解説しています。

そもそも公共工事に元請として参加するための入札参加資格や等級(ランク)については「入札参加資格の等級(ランク)とは?経審点数との関係と上げ方」でまとめています。

守らなかったらどうなる?「罰金」ではなく「指示処分」

「再下請負通知書を出さないと罰金〇〇万円」という説明を見かけることがありますが、正確ではありません。

建設業法が定めているのは、許可行政庁による指示処分(役所からの是正の指示)です。

建設業法28条1項は、「その許可を受けた建設業者」がこの法律の規定に違反した場合に、指示処分ができると定めています。民間工事における再下請負通知の義務(建設業法24条の8第2項)は、この「法律の規定」に当然含まれます。公共工事で読み替えて適用される場合についても、条文の括弧書きで指示処分の対象に含めることが明記されています。つまり建設業許可を受けている会社であれば、民間工事・公共工事のどちらであっても、再下請負通知の義務違反は指示処分の対象となり得ます

なお、再下請負通知そのものの義務は「下請負人」に課されるもので、許可の有無を問いません(建設業法24条の8第2項)。一方で28条1項の指示処分は「許可を受けた建設業者」に向けた仕組みです。義務がかかる範囲と、処分の名宛人になる範囲は、同じではありません。

その指示に従わなかった場合は、1年以内の期間を定めて、営業の全部または一部の停止を命じられることがあります(建設業法28条3項)。条文は「命ずることができる」という書き方です。必ず営業停止になるわけではありません。

まとめ:下請が確認すべき4つのこと

  1. 出すのは自社(下請)。元請ではありません。
  2. 出す先は作成建設業者(台帳を作る元請)。直近の注文者とは限りません。
  3. 時期は都度、遅滞なく。日数の定めはありません。
  4. 添付は自社が結んだ契約書の写し。民間工事は金額の部分を除いてよく、公共工事は金額も含めて添付します。

この4点のうち、判断に迷いやすいのは2番目です。二次下請・三次下請の立場になると、「そもそも誰に出せばよいのか」が現場からは見えにくくなります。そのときは、現場の掲示を確認してください。

再下請負通知書の作成・確認は、やさしい行政書士事務所へ

再下請負通知書の提出先の確認だけでも、やさしい行政書士事務所へご相談ください

再下請負通知書は、提出先を間違えると、元請の施工体制台帳そのものが不完全になってしまいます。自社の立場が何次下請にあたるのか、提出先はどこか、添付書類の金額はどう扱うか——判断に迷ったときは、無料相談でお気軽にご相談ください。

やさしい行政書士事務所は、神奈川県秦野市を拠点に、神奈川県央エリアの建設業者さまの許可・経審・現場書類をサポートしています。再下請負通知書の作成チェックだけでも、お気軽にお電話ください。

建設業許可や経審まで含めた手続き全般のサポートは「建設業のお手続きサポート」でご案内しています。

出典(根拠条文)

本記事の記載は、以下の条文にもとづいています(2026年8月時点の現行法で確認)。

  • 建設業法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100
  • 建設業法施行令(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/331CO0000000273
  • 建設業法施行規則(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/324M50004000014
  • 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000127

法令は改正されることがあります。実際の判断にあたっては、最新の条文と元請の指示をあわせてご確認ください。様式について発注者・元請の指定がある場合は、この記事の内容より発注者・元請の指示を優先してください。

執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(登録番号 第12082434号)

執筆・監修者について

〒257-0003 神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E

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神奈川県央エリア(秦野市を中心に)で、建設業許可・経営事項審査(経審)を専門に取り扱っています。

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宮本 雄介
やさしい行政書士事務所 代表。行政書士(登録番号 第12082434号/神奈川県行政書士会所属)。2011年に行政書士試験に合格し、2012年に開業。以来1,000件以上の相談に対応してきました。建設業許可・経営事項審査(経審)、補助金、会社設立、在留資格、相続を取り扱い、なかでも建設業の許認可を中心にしています。弁護士事務所・社労士事務所での実務経験と、複数企業の社外取締役の経験を持ち、手続きの代行だけでなく経営の視点からも助言します。神奈川県秦野市を拠点に、県内を中心に全国の事業者をサポートしています。