「解体の仕事を請けたいんだけど、何か資格がいるの?」
「元請から『技術管理者は誰?』と聞かれた。うちの1級とびじゃダメなのか?」
解体工事の資格の話は、実は2つの制度が混ざりやすいところです。
500万円未満の「解体工事業登録」と、500万円以上の「建設業許可(解体工事業)」。この2つで、必要な技術者も、なれる資格も違います。
今日はこの2つを1枚に整理して、「自分(自社の職人)はどのルートで要件を満たせるのか」が分かるようにやさしく解説します。😊
- 解体工事が「登録」と「許可」の2制度に分かれるしくみ(500万円の壁)
- 登録の「技術管理者」・許可の「専任技術者」になれる資格の一覧
- 資格がなくても実務経験でなれるルート(8年・学歴短縮・講習短縮)
- 建築士・建設機械施工管理技士など「登録はOKでも許可はNG」の落とし穴
秦野市で建設業のお客様を多く担当している行政書士が解説します。
目次
解体工事は「金額」で2つの制度に分かれる
まず全体像から。解体工事を請け負うために必要な手続きは、請負金額で分かれます。

- 請負金額500万円未満(建築一式工事に含まれる解体工事は1,500万円未満) → 解体工事業登録(建設リサイクル法。工事をする都道府県ごとに登録)
- 請負金額500万円以上(建築一式工事に含まれる解体工事は原則として1,500万円以上) → 建設業許可が必要(解体工事だけを請け負うなら、原則として解体工事業の許可)
なお、登録・許可のどちらで請ける場合も、コンクリートや木材などの特定建設資材を使った建物で、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上の解体工事は、工事1件ごとに「建設リサイクル法の届出」(着工の7日前まで)が別途必要です。届け出るのは工事を請け負う業者ではなく発注者(施主)で、請負契約によらず自ら施工する場合はその本人です(建設リサイクル法第10条。元請業者などが委任を受けて代理で提出することもあります)。書き方は「建設リサイクル法 届出の書き方|7日前までに出す手順と様式」で解説しています。
そして、どちらの制度にも「技術のわかる責任者を置きなさい」という要件があります。
登録なら技術管理者、許可なら営業所の専任技術者(現在の法律上の呼び名は「営業所技術者」)。この2つの資格要件が、それぞれ違うのです。
【500万円未満】解体工事業登録の「技術管理者」になれる資格
解体工事業登録では、技術管理者の選任が必須です。神奈川県が公表している基準では、次のいずれかに当てはまる人が技術管理者になれます。

資格でなれる人
- 1級 建設機械施工管理技士/2級 建設機械施工管理技士(種別:第1種・第2種。旧称:建設機械施工技士)
- 1級 土木施工管理技士/2級 土木施工管理技士(種別:土木)
- 1級 建築施工管理技士/2級 建築施工管理技士(種別:建築・躯体)
- 1級・2級 建築士
- 技術士(建設部門)
- 1級 とび・とび工(技能検定)
- 2級 とび(技能検定)+合格後の解体工事実務1年以上
- 解体工事施工技士(国土交通大臣登録試験の合格者)
実務経験でなれる人(資格なしルート)
| 学歴 | 必要な実務経験 | 解体工事施工技術講習を受講した場合 |
|---|---|---|
| 大学等で土木工学等の指定学科を修了 | 2年以上 | 1年以上 |
| 高校で土木工学等の指定学科を修了 | 4年以上 | 3年以上 |
| 上記以外(学歴不問) | 8年以上 | 7年以上 |
ここでいう実務経験は、解体工事の施工を指揮・監督した経験や、実際に施工に携わった経験のこと。現場の雑務や事務作業の年数は含まれません。
2つの講習の違いと、実務経験を1年短縮できる条件は、「解体工事の許可・登録は講習だけで足りる?似た名前の2講習と1年短縮の条件」でくわしく整理しています。
登録の要件や、神奈川県での申請先・手数料・有効期間は、別記事「解体工事業の登録は必要?神奈川県の手続き・要件を解説」でまとめています。
【500万円以上】建設業許可(解体工事業)の「専任技術者(営業所技術者)」になれる資格
500万円以上の解体工事を請けるなら、建設業許可(解体工事業)。その要件の柱が、営業所に常勤する専任技術者(営業所技術者)です。一般建設業の場合の主なものは次のとおりです(神奈川県 令和8年度版手引きに基づく。このほか、施工管理技士の第一次検定などに合格した後の解体工事の実務経験や、登録基幹技能者講習の修了などのルートもあります)。

資格でなれる人
- 1級 土木施工管理技士 ※
- 2級 土木施工管理技士(種別:土木) ※
- 1級 建築施工管理技士 ※
- 2級 建築施工管理技士(種別:建築・躯体) ※
- 技術士(建設部門等)※当面の間、合格後の解体実務1年以上または登録解体工事講習の受講が必要
- 1級 とび・とび工(技能検定)
- 2級 とび(技能検定)+合格後の解体工事の実務経験3年以上
- 解体工事施工技士(登録解体工事試験の合格者)
実務経験でなれる人(資格なしルート)
- 解体工事の実務経験10年以上
- 指定学科(土木工学または建築学に関する学科)卒業なら短縮:大学卒3年以上/高校卒5年以上
- とび・土工・コンクリート工事や土木一式・建築一式工事の経験と通算するルート:解体工事の経験が8年を超え(神奈川県の手引きの表では「8年以上」)、とび・土工・コンクリート工事、土木一式工事、建築一式工事のいずれか1つの工事の経験と合わせて12年以上ある場合に認められる振替の仕組みがあります(組み合わせごとに数えます。期間の数え方に細かいルールがあるため、該当しそうな方は個別にご確認ください)
専任技術者は「営業所に常勤していること」も要件です。名義だけ借りてくることはできません。なお、この営業所の専任技術者(現在の法律上の呼び名は営業所技術者)と、工事現場に置く主任技術者は別の役割です。
許可全体の要件(経営業務の管理能力・財産要件など)は「建設業許可の取り方 完全ガイド」をどうぞ。
間違えやすい3つの落とし穴——「登録はOK、許可はNG」の資格がある
2つの一覧を見比べて、気づいた方もいるかもしれません。
実は、登録の技術管理者にはなれるのに、許可の専任技術者にはなれない資格があります。ここが解体工事の資格でいちばん間違えやすいところです。

- 落とし穴①:建築士(1級・2級) — 登録の技術管理者は○。しかしその資格だけでは解体工事業の専任技術者にはなれません(解体工事の実務経験10年、指定学科卒なら大卒3年・高卒5年などの別ルートは残ります)。
- 落とし穴②:建設機械施工管理技士(1級/2級は第1種・第2種) — こちらも登録は○、資格としては解体の専任技術者の対象外です。重機で解体するイメージが強い資格ですが、許可側の資格一覧には入っていません(実務経験のルートは①と同じく残ります)。
- 落とし穴③:2級とびの実務経験年数 — 登録の技術管理者は合格後の解体工事の実務1年、許可の専任技術者は合格後の解体工事の実務3年。同じ資格でも要求年数が違います。
どっちを目指す?——登録から許可へのステップアップ
「まずは小さな解体から始めたい」なら解体工事業登録(有効期間5年・工事をする都道府県ごと)。
「元請の仕事も、500万円以上の案件も取りたい」なら建設業許可(解体工事業)です。
500万円の壁と無許可工事のリスクについては「建設業許可は500万円から必要?無許可工事の罰則」で解説しています。
また、許可を取って公共工事の解体(学校・庁舎の解体など)まで視野に入れるなら、その先にあるのが経審です。段取りは「経審のやり方を最初から全部」をご覧ください。
まとめ——資格の一覧より先に「金額」で制度を見極める
- 解体工事は500万円未満=登録/500万円以上=許可の2制度。500万円未満でも登録なしでは請け負えない(土木・建築・解体の建設業許可があれば登録は不要)
- 登録の技術管理者:土木・建築施工管理技士・建設機械施工管理技士(いずれも2級は種別に限りあり)・建築士・とび技能士・解体工事施工技士など+実務経験ルート(8年・学歴と講習で短縮)
- 許可の専任技術者:土木・建築施工管理技士(2級は土木/建築・躯体に限る。平成27年度以前合格は+解体実務1年or登録解体工事講習)・技術士(当面の間は同じ追加要件)・1級とび・2級とび+解体実務3年・解体工事施工技士など+実務10年
- 建築士・建設機械施工管理技士は登録○/許可は資格としては×(実務経験10年などの別ルートは残ります)。ステップアップを見据えるなら最初から許可基準で体制づくりを
- とび・土工の許可では解体工事は請け負えない(経過措置は終了済み)
「うちの職人の経歴で、技術管理者(専任技術者)になれるか見てほしい」
「とび・土工の許可に解体を業種追加したい」
そんなときは、まずは一度お話を聞かせてください。📢

解体工事業登録・建設業許可(解体の業種追加)をサポートしています。
やさしい行政書士事務所では、職人さんの資格・経歴の棚卸しと、登録/許可どちらのルートが合うかの見立ては無料相談で承ります。申請書類の作成までまとめてサポートしています(費用が発生するのは、お見積りにご納得いただき、ご依頼いただいた後だけです)。「うちの場合はどうなる?」の確認だけでも大丈夫です。「ブログを見た」とお伝えいただくとスムーズです。😊
やさしい行政書士事務所(代表行政書士 宮本 雄介)
📞 電話:0463-57-8330
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・神奈川県「解体工事業登録」:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/u2h/cnt/f531856/p870134.html
・神奈川県「登録の要件」(技術管理者の基準):https://www.pref.kanagawa.jp/docs/u2h/cnt/f531856/p449151.html
・神奈川県「建設業許可申請の手引き」(令和8年度版・解体工事業の技術者要件/実務経験の振替・重複の取扱い)
※本記事は2026年7月時点で確認できる公開情報をもとに、代表行政書士 宮本 雄介が執筆・監修しています(2026年10月に法令〔e-Gov〕と県の資料を確認して一部を修正しました)。資格・実務経験の認定は、経歴の証明資料の内容によって個別に判断されます。実務経験の振替・重複の数え方、種別の取扱い等の細部は行政庁の運用によるため、申請前に管轄の行政庁(神奈川県知事許可は神奈川県建設業課)または当事務所へご確認ください。