建設業

経審のやり方を最初から全部。決算変更届から入札参加までの一気通貫ロードマップ【神奈川県央・建設業向け】

経審やり方ロードマップ

「経審 やり方」で検索して、この記事にたどり着いた方へ。

「経審を受けろと言われたけど、何から手をつければいいのか分からない」 「手引きを読んでも、役所の言葉ばかりで頭に入ってこない」 「今の時期に何をすればいいのか、逆算できていない」

そんなモヤモヤを、この記事で一つずつ解消します。

経営事項審査(けいえいじこうしんさ)=略して経審(けいしん)。 ひとことで言うと、公共工事の入札に参加するために必要な、会社の通信簿です。

多くの解説記事は、「経審の申請書はこう書きます」という申請当日の話から始まります。 でも実際の経審の準備は、決算のタイミングからもう始まっています。

この記事では、決算変更届から経審の申請、結果を受け取って入札参加資格を得るまでを、時系列で一気通貫で説明します。神奈川県知事許可の建設業者さまを想定し、神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』に沿った、神奈川県ならではの手順もあわせて解説します。

この記事を書いた人:やさしい行政書士事務所/代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県秦野市)。

建設業許可・経審・入札を専門にしています。事務所は秦野市にあり、伊勢原・平塚・厚木・小田原など神奈川県央エリアの建設会社さまを中心にサポートしています。

この記事でわかること(先に結論)

  • 経審のやり方は、「決算→決算変更届→経営状況分析→経営規模等評価・総合評定値請求→結果通知→入札参加資格申請」という一本の流れでできている
  • 神奈川県は対面窓口の受付日が曜日で決まっており、行政書士による代理申請は金曜日が受付日
  • 経審の審査過程で決算変更届の内容の修正が必要になるケースが多い(神奈川県の手引きも冒頭で注意している)
  • 令和8年7月1日から手引きの中身が一部改正されており、申請日によって適用ルールが変わる
  • 結果通知の有効期間は1年7か月。毎年のスケジュール管理が受注を止めないカギになる

経審とは?(1行でおさらい)

経審=経営事項審査。国や県、市町村の公共工事に入札するために、会社の経営状況・規模・技術力・社会的な取り組みを役所が客観的に評価する制度です。

公共工事を受けるには、次の3つが必要です。

  1. 建設業許可を持っていること
  2. 経審を受けて、点数(P点=総合評定値)をもらっていること
  3. 発注機関ごとの「入札参加資格」に登録していること

この記事のテーマは2番目、経審のやり方(手順)です。P点の計算式そのものを詳しく知りたい方は、別記事「経審の点数(P点)計算方法をやさしく解説」をご覧ください。

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』

経審のやり方は「決算」から始まっている(一気通貫の全体像)

経審までの一気通貫ロードマップ

ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。

経審のやり方を検索すると、多くの情報は「申請書の書き方」から始まります。 でも実際には、決算日の時点で、すでに経審の点数の土台は決まり始めています。

まずは、決算からゴールの入札参加までの流れを、丸ごと押さえましょう。

順番やること相手先目安のタイミング
決算(事業年度終了)自社毎年の決算日
決算変更届の提出建設業許可行政庁(神奈川県知事許可なら神奈川県)事業年度終了後4か月以内
経営状況分析の申請(Y点)登録経営状況分析機関(民間の登録機関)決算変更届の後、早めに
経営規模等評価・総合評定値請求の申請(X1・X2・Z・W・P点)神奈川県知事③の結果通知書を添えて
結果通知書(総合評定値通知書)の受領申請から一定期間後
入札参加資格審査の申請各発注機関(国・県・市町村等)発注機関ごとの受付時期

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』全体の流れ、建設業法第27条の23

ステップ①②:決算変更届は「経審の前提条件」

まず大前提として、決算変更届(工事経歴書・財務諸表など)を提出していなければ、経審の申請そのものができません。

決算変更届は、毎事業年度終了後4か月以内に提出する義務があります(建設業許可の制度そのものの義務です)。

ここで注意したいのが、決算変更届と経審の内容は、数字がぴったり一致していないといけないという点です。神奈川県の手引きも「経審の審査過程で決算変更届の修正が必要になるケースが多発している」と冒頭で警告しています。

具体的には、次のような一致が必要です。

  • 完成工事高が税抜処理で作成されているか(免税事業者のみ税込)
  • 工事経歴書の数値と、経審の完成工事高が一致しているか
  • 許可業種と、完工高の業種区分が整合しているか

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』実務上のハマりポイント/神奈川県『建設業許可申請の手引き(令和8年度版)』第3章

ステップ③:経営状況分析(Y点)は「県庁」ではなく「登録機関」へ

ここは、初めて経審を受ける方がつまずきやすいポイントです。

経営状況分析(Y点)の申請先は、神奈川県庁ではありません。 国土交通大臣に登録された、民間の「登録経営状況分析機関」に申請します。

決算書をもとに、8つの指標(純支払利息比率・負債回転期間・総資本売上総利益率・自己資本比率など)から財務の健康状態を分析してもらい、結果通知書を受け取ります。この通知書は、次のステップで神奈川県への申請に添付します。

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』2段階の申請フロー

ステップ④:経営規模等評価・総合評定値請求(神奈川県へ)

ステップ③の結果通知書を添えて、いよいよ神奈川県知事に申請します。ここで審査されるのが、X1(完成工事高)・X2(自己資本額等)・Z(技術職員数・元請完成工事高)・W(社会性等)と、これらとYを合算したP点(総合評定値)です。

申請方法は、対面(窓口)または電子申請のどちらかです。神奈川県ならではの窓口ルールは、次の章でくわしく説明します。

ステップ⑤⑥:結果通知の受領と、入札参加資格申請

審査が終わると、総合評定値通知書が届きます。この通知書があって、初めて各発注機関の入札参加資格審査に進めます。

ここで絶対に押さえておきたいのが、有効期間です。

総合評定値通知書の有効期間は、審査基準日(決算日)から1年7か月。

毎年きちんと経審を受け続けないと、この期間に切れ目ができてしまい、その間は公共工事の入札に参加できません。 「毎年、決算が終わったらすぐに次の経審の準備に入る」というサイクルを作ることが、経審のやり方の一番の基本です。

出典:建設業法施行規則第18条の2

神奈川県ならではの手順(窓口・受付日・電子申請)

経審のやり方は全国共通の部分が多いのですが、申請の窓口・受付日は都道府県ごとに違います。 ここが、神奈川県の手引きを読み込む理由です。

対面申請の窓口と受付日

神奈川県の対面申請の会場は、次の場所です。

  • 会場:神奈川県住宅供給公社ビル 6階(経審審査会場)
  • 住所:横浜市中区日本大通33

受付日は、曜日で役割が分かれているのが神奈川県の特徴です。

  • 火曜日:申請者本人による申請
  • 金曜日申請者の代理人(行政書士)による申請の受付日

つまり、行政書士に依頼して代理申請してもらう場合は、金曜日の受付枠を使うことになります。ご自身で申請される場合は、火曜日の受付日カレンダーを事前に確認しておく必要があります。

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』申請方法・受付窓口

なお、郵送申請はすでに廃止されています(令和6年7月31日収受分まで)。窓口対面か、電子申請のどちらかを選ぶ必要があります。

電子申請という選択肢

令和5年1月10日から、「建設業許可・経営事項審査電子申請システム」による電子申請が可能になっています。必要書類は紙申請とほぼ同じですが、一部の扱い(収受印が不要になる等)が異なります。

窓口に行く時間が取りにくい会社は、電子申請も検討する価値があります。

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』電子申請、神奈川県HP

手数料と支払いのタイミング

神奈川県知事許可の審査手数料は、次のとおりです。

条件1業種追加1業種ごと
総合評定値(P点)を希望する場合11,000円+2,500円
総合評定値を希望しない場合10,400円+2,300円

大事なポイントが2つあります。

  • 審査手数料は、申請時ではなく審査終了後に支払います。
  • 支払いはキャッシュレス決済または納付書払いです。収入証紙は令和8年3月31日で完全廃止され、令和8年4月1日以降は使用できません(未使用分の還付申請期限は令和12年9月末日)。

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』審査手数料

経審のやり方に必要な提出書類(本体+確認書類)

経審のやり方の最後の壁が、書類の量の多さです。神奈川県の経審申請では、主に次の書類をそろえます。

提出書類(本体)

  • 経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
  • 工事種類別完成工事高/元請完成工事高
  • 技術職員名簿
  • その他の審査項目(社会性等)
  • 建設機械の保有状況一覧表(保有台数がある場合のみ)
  • 経営状況分析結果通知書(原本)
  • 審査手数料貼付書
  • 委任状(代理申請の場合のみ)

確認書類(写し)

  • 確認書類①:許可通知書・工事請負契約書・常勤確認書類・各種保険関係書類など、27項目
  • 確認書類②:建設業許可申請書の写し・決算変更届出書の写しなど、5項目

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』提出書類一覧

常勤性の証明でも注意点があります。紙の健康保険証は、令和7年12月1日以降は証明書類として使えません。 原則として、社会保険の標準報酬決定通知書で証明します。

書類をひとつずつ自分でそろえられるか不安な方は、別記事「経審は自分でできる?神奈川の建設業者が申請前に知る手順とつまずき所」で、自分で申請する場合の判断ポイントをまとめています。

令和8年7月1日改正で、やり方はどう変わったか

令和8年7月1日改正のポイント

経審のやり方を今まさに調べている方にとって、一番大事なのが「いつ申請するか」で適用ルールが変わるという点です。

神奈川県の手引きは、令和8年7月1日に改正されています。この改正は申請日(受付日)基準で適用されます。審査基準日(決算日)ではありません。

主な改正点は次のとおりです。

  • 社会保険3項目(雇用・健康・厚生年金の加入状況)が、審査項目から削除されました
  • 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」への宣言(W1-8)が新設され、宣言書+誓約書(様式第7号)の提出で加点対象になります
  • CCUS(建設キャリアアップシステム)の就業履歴の配点が見直しされました(建設キャリアアップシステム協議会=CIACの解説によると、全建設工事で15→10点、全公共工事で10→5点の方向・要確認)
  • W点・P点の最低点が変わりました(W点:-1,837点→-788点、P点:6点→163点)
  • 加点対象の建設機械が拡大(不整地運搬車・アスファルトフィニッシャが追加)されました

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』改正点、令和8年国土交通省告示第262号

つまり、令和8年6月30日までの申請は改正前のルール、7月1日以降の申請は改正後のルールが適用されます。今どちらのルールで動くべきか迷う場合は、無料相談でご確認ください。

点数の中身をさらに詳しく知りたい方は、「経審の点数(P点)計算方法をやさしく解説」もあわせてご覧ください。

経審のやり方で、いちばんつまずきやすい所

ここまでの流れを踏まえて、実務でよくつまずくポイントを整理します。

  • 決算変更届と経審の数字が食い違っている:税抜処理のミス、工事経歴書との不一致などで、経審の途中で決算変更届の修正を求められることがあります
  • 申請の受付日を間違える:神奈川県は曜日で受付の役割が分かれているため、行政書士への代理申請を予定しているのに本人受付の曜日に行ってしまう、といったケースがあります
  • 有効期間の切れ目に気づかない:1年7か月の有効期間ぎりぎりまで動かず、公共工事を受けられない空白期間ができてしまう

これらは、「経審だけ」を単発で見ていると気づきにくく、決算変更届から入札参加までを一気通貫で管理して初めて防げるものです。

まとめ:経審のやり方は「決算前から」のスケジュール管理

  • 経審のやり方は、決算→決算変更届→経営状況分析→経営規模等評価・総合評定値請求→結果通知→入札参加資格申請の一本の流れ
  • 神奈川県は対面申請の受付日が曜日で決まっており、代理人(行政書士)申請は金曜日
  • 決算変更届との数字の整合が、経審のやり方でいちばんつまずきやすい所
  • 令和8年7月1日から手引きが改正されており、申請日基準でルールが変わる
  • 有効期間は決算日から1年7か月。毎年のサイクルを止めないことが重要

「うちの場合、今どのタイミングで何をすればいいのか」——それを一緒に整理するところから、お手伝いできます。

もっと深く知りたい方へ(関連記事・関連業務)

  • P点の計算のしくみを詳しく知りたい方

→ 関連記事「経審の点数(P点)計算方法をやさしく解説

  • 自分で申請できるか迷っている方

→ 関連記事「経審は自分でできる?神奈川の建設業者が申請前に知る手順とつまずき所

  • そもそも建設業許可がまだの方

→ 関連記事「神奈川で建設業許可に必要な書類まとめ

  • 資材高・燃料高の「価格転嫁」に悩んでいる方

→ 関連記事「値上げを言い出せない建設業者へ|資材高を「価格転嫁」する武器=改正建設業法

  • 決算変更届・経審をまるごと相談したい方

→ 関連サービス「建設業許可・経営事項審査サポート

【無料相談】経審のやり方、まずは今の状況から一緒に整理しませんか

経審のやり方は、決算のタイミングから逆算して考えるほど、選べる対策が増えます。

「決算変更届はもう出したけれど、次に何をすればいいか分からない」 「うちは令和8年7月1日の改正の前と後、どちらのルールになるのか知りたい」

そんな段階でのご相談で構いません。無理な営業はしません。気になることを一つ聞くだけでも大歓迎です。

  • お電話:0463-57-8330(受付時間内におかけください)
  • LINE・お問い合わせフォームからのご相談も受け付けています

📍 やさしい行政書士事務所 神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E 代表行政書士 宮本 雄介 (秦野市・伊勢原・平塚・厚木・小田原ほか、神奈川県央エリアの建設会社さまを応援しています)

※本記事は、神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』『神奈川県建設業許可申請の手引き(令和8年度版)』および関連書籍をもとに、行政書士が執筆・監修しています。

※経審の制度・数値・様式は改正されることがあります。最新の要件は、神奈川県建設業課の公表資料、または当事務所にご確認ください。

※記事内で「(要確認)」と付した箇所は、一次資料での最終確認をおすすめする点です。

ABOUT ME
やさしい行政書士事務所のマスコット猫
宮本 雄介
やさしい行政書士事務所 代表。行政書士(登録番号 第12082434号/神奈川県行政書士会所属)。2011年に行政書士試験に合格し、2012年に開業。以来1,000件以上の相談に対応してきました。建設業許可・経営事項審査(経審)、補助金、会社設立、在留資格、相続を取り扱い、なかでも神奈川県の建設業者の許認可を得意としています。弁護士事務所・社労士事務所での実務経験と、複数企業の社外取締役の経験を持ち、手続きの代行だけでなく経営の視点からも助言します。神奈川県秦野市を拠点に、県内の事業者をサポートしています。