許認可/補助金

セーフティネット保証5号 建設業の認定要件と申請の流れ【2026年7月、583業種に拡大】

セーフティネット保証5号 建設業も対象に拡大 583業種

「セーフティネット保証5号」ということば、最近ニュースや取引先から聞いていませんか。

燃料代も、鉄骨も、コンクリートも、値上がりが止まりません。
建設業の現場では、「受注はあるのに、資金繰りが苦しい」という声が増えています。

そんな中、2026年7月、セーフティネット保証5号の対象業種が広がりました。
建設業も、対象に含まれる業種があります(飲食業など、ほかの業種が対象になっている場合もあります)。

この記事では、次の5つを、専門用語をひとつずつ言い換えながらやさしく解説します😊

📋 この記事でわかること

  • セーフティネット保証5号とは何か
  • 2026年7月の拡大で、何が変わったのか
  • 建設業がどうやって認定を受けるのか
  • 神奈川県独自の支援と、あわせてどう考えるか
  • 行政書士に何を頼めて、何は頼めないのか

✍️ この記事を書いた人:やさしい行政書士事務所/代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県秦野市)
建設業・飲食業のお客さまを中心に、許認可や補助金、資金繰りのご相談に対応しています。
記事内の制度内容は、経済産業省・中小企業庁・神奈川県信用保証協会の公式情報にもとづいて執筆・確認しています(2026年7月20日時点)。

💡 先に結論

  • セーフティネット保証5号は、業界全体の景気(業況)が悪化している業種の会社が、信用保証協会の保証を受けやすくなる国の制度
  • 2026年7月1日、中東情勢の影響を受けた臨時の調査にもとづき、指定業種が583業種に拡大(前回4月1日指定は520業種。適用期間は2026年9月30日まで)
  • 建設業も対象に含まれる業種がある。ただし自社の業種が対象かどうかは個別確認が必要
  • 認定の基準は「最近3か月の売上高等が、前年同期比5%以上減少」。建設業は完成工事高または受注残高でも判定できる
  • 神奈川県には、保証料が安くなる独自の上乗せ支援(原油・原材料高騰等対策特別融資)もある
  • 「認定」は「融資の確約」ではない。審査は別にある

セーフティネット保証5号とは?(まず全体像をつかむ)

まず、ことばの意味から確認しましょう。

セーフティネット保証5号とは、業界全体の景気(業況)が悪化している業種に属する中小企業が、資金を借りやすくするための国の制度です。

ポイントは、2段階になっていることです。

セーフティネット保証5号の2段階の流れ:市区町村の認定を受けてから信用保証協会に保証を申し込む
  1. まず、会社が市区町村から「認定」を受ける
  2. その認定書を持って、信用保証協会に保証を申し込む

💡 信用保証協会(しんようほしょうきょうかい)とは、ひとことで言うと、事業資金を借りるときの公的な保証人です。会社が金融機関からお金を借りるとき、信用保証協会が保証してくれると、金融機関は貸しやすくなります。

また、一定の利用要件を満たすと、通常の保証限度額(2.8億円)とは別枠(同じく2.8億円)で保証を受けられます。

出典:経済産業省 報道発表(2026年6月11日)

「認定」と「保証」は別物です

ここが、いちばん間違えやすいところです。

市区町村の「認定」を受けても、それだけで融資や保証が確約されるわけではありません。

認定は、いわば「この会社は、業界全体の不況の影響を受けています」という入り口の証明です。
そのあと、信用保証協会と金融機関が、それぞれ審査を行います。

⚠️ 認定 = 業況悪化のお墨付き(市区町村)
保証・融資 = 別途、審査がある(信用保証協会・金融機関)
この2段階を、最初に押さえておいてください。

出典:中小企業庁 セーフティネット保証5号 制度ページ

「補助金」とはちがいます

念のため、確認しておきましょう。

セーフティネット保証5号は、返済不要の「補助金」ではありません。
あくまで、金融機関からの「借り入れ(融資)」を受けやすくするための、保証の制度です。

借りたお金は、当然、返済する必要があります。
ここを混同すると、あとで「返さなきゃいけないの?」と驚くことになるので、最初に整理しておきましょう。

なお、「返さなくてよいお金(補助金)」をお探しの方は、建設業・飲食業が使える補助金3選もあわせてご覧ください。

2026年7月の拡大で何が変わったか|建設業も対象になった583業種

次に、今回のニュースの中身を見ていきます。

何が起きたのか

経済産業省は2026年6月11日、セーフティネット保証5号について「中東情勢の影響に係る臨時」の業況調査を踏まえた業種指定を発表しました。

セーフティネット保証5号の指定業種が520業種から583業種へ拡大。適用期間は2026年7月1日から9月30日まで

📢 2026年7月の指定(経産省 6月11日発表)

  • 指定業種:細分類583業種(前回・2026年4月1日指定の520業種から拡大
  • 適用期間:2026年7月1日(水)〜2026年9月30日
  • 事前相談:指定に先駆けて6月11日から、全国の信用保証協会(中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口)で受付開始

出典:経済産業省 報道発表(2026年6月11日)、中小企業庁 セーフティネット保証5号 制度ページ

なぜ今、拡大されたのか

背景にあるのは、中東情勢の緊迫化を受けた、臨時の業況調査です。

経済産業省は、定例の業況調査に加えてこの臨時調査を行い、業況が悪化していると判断される業種を指定業種に加えました。

※中東情勢そのものの現況(特定の海域の状況など)について、本記事では断定的な説明はしません。あくまで「臨時の業況調査にもとづく指定」という、公式発表の枠組みに沿って解説しています。

建設業も対象に含まれる業種がある

今回の583業種には、建設業に関連する業種も含まれています。

たとえば、業界団体(JRCA)の告知によれば、防水工事業が今回の指定業種に含まれるとされています。
ただし、これはあくまで一例です。

建設業といっても、業種は細かく分かれています(これを「細分類」と呼びます)。
自社の業種が対象に入っているかどうかは、中小企業庁が公表している指定業種リスト(細分類)で、必ずご確認ください。

💡 細分類(さいぶんるい)とは、ひとことで言うと、業種をさらに細かく分けたグループのことです。「建設業」とひとくくりにせず、「〇〇工事業」というレベル(4桁の番号)まで細かく分類されています。

出典:業界団体(JRCA)告知(2026年6月16日付)、中小企業庁 指定業種リスト

期限は9月30日。でも「9月で終わり」ではありません

もうひとつ、知っておくと安心な点があります。

セーフティネット保証5号の指定業種は、通常、3か月ごとに見直される制度です。

今回の指定は2026年7月1日から9月30日までですが、これは「今回の指定期間」であって、制度そのものが9月で終わるわけではありません。
10月以降は、そのときの業況調査にもとづいて、あらためて指定内容が見直されます。

「今の指定期間のうちに動くかどうか」は、資金繰りを考えるうえでの一つの目安になります。

認定要件と申請の流れ|建設業は「完成工事高」でも判定できる

ここからは、実際の手続きの話です。

認定の基本要件

セーフティネット保証5号(5号イ・基本形)の認定要件は、次のとおりです。

最近3か月間の売上高等が、前年同期と比べて5%以上減少していること

※このほか、指定業種以外の事業と兼業している場合・創業して間もない場合・原油等の仕入価格が大きく上昇している場合などの類型もあります。当てはまりそうなときは、個別にご確認ください。

出典:中小企業庁 セーフティネット保証5号 制度ページ

建設業は「完成工事高」または「受注残高」でも判定できる

建設業には、独自の判定方法が用意されています。

建設業の場合、「完成工事高」または「受注残高」でも判定できます。

建設業の売上減少判定は売上高・完成工事高・受注残高の3つの指標が使える

💡 完成工事高(かんせいこうじだか)=その期間に完成させた工事の売上高
💡 受注残高(じゅちゅうざんだか)=まだ完成していないが、契約はすでに決まっている工事の、残りの金額

売上高そのものが落ちていなくても、工期の関係で完成工事高や受注残高が落ちていれば、対象になる可能性があります。
これは建設業ならではのポイントなので、ぜひ覚えておいてください。

ちなみに「完成工事高」は、公共工事の入札に必要な経審(経営事項審査)でも中心になる数字です。
経審の仕組みは 経営事項審査の点数(P点)計算方法 で解説しています。

出典:尼崎市 公式サイト 制度説明

申請の流れ(3ステップ)

  1. 市区町村へ認定申請(法人は登記上の住所地または事業実体のある事業所の所在地、個人事業主は事業所の所在地の市町村・特別区。商工担当課などが窓口です)
  2. 市区町村から認定書を受け取る
  3. 認定書を持って、信用保証協会・金融機関に保証付き融資を申し込む(ここで審査があります)

⚠️ 窓口・必要書類は自治体ごとに異なります。「秦野市ならここ」と一律には言えません。事業所が所在する市区町村の担当窓口にご確認いただくか、当事務所にご相談ください。

神奈川県の併せ技|原油・原材料高騰等対策特別融資

神奈川県には、これとは別に、独自の融資制度があります。

「原油・原材料高騰等対策特別融資」(神奈川県中小企業制度融資の一般枠)です。
原油や原材料の高騰で、売上や利益が減っている中小企業向けの制度で、次のような内容になっています。

神奈川県の原油・原材料高騰等対策特別融資:保証料率0.225%〜0.95%(県補助後)・運転資金10年以内・設備資金15年以内・信用保証料の2分の1を県が補助
項目内容
対象原油・原材料高騰等の影響で、売上や利益(粗利)が減少している中小企業
目安となる要件直近3か月または6か月の売上高等(売上高または売上総利益)の合計が、直近3年のいずれかの年の同期と比べて減少していること(減少率の基準は要確認)
信用保証料率神奈川県の補助後で 0.225%〜0.95%
保証期間運転資金 10年以内/設備資金 15年以内(いずれも据置1年以内)
返済方法分割返済
県の補助信用保証料の1/2を神奈川県が補助

💡 据置期間(すえおききかん)とは、ひとことで言うと、元金の返済を待ってもらえる期間のことです。この間は利息だけを払えばよいので、資金繰りがラクになります。

出典:神奈川県信用保証協会

セーフティネット保証5号と、どちらを使うべきか

この2つは、制度も要件も別物です。

  • セーフティネット保証5号 = 国の制度。市区町村の認定が入り口
  • 原油・原材料高騰等対策特別融資 = 神奈川県独自の制度融資

どちらか一方しか使えない場合もあれば、状況によって組み合わせを検討できる場合もあります(要確認)。

「うちはどっちが使えるんだろう」と思ったら、それこそが専門家に相談するタイミングです。

行政書士ができる支援・できないこと

最後に、行政書士の役割について、正直にお伝えします。

行政書士ができること

  • 市区町村への認定申請書類(官公署に提出する書類)の作成・提出のお手伝い
  • 決算書や試算表など、経営状況の整理
  • 制度の説明、要件に当てはまりそうかどうかの整理

行政書士ができないこと

  • 融資が受けられるかどうかの判断(これは金融機関・信用保証協会の審査によります)
  • 金融機関のあっせん・紹介
  • 税務相談(これは税理士の業務です)

「認定を受ければ必ず保証・融資が受けられる」というものではありません。
審査は、信用保証協会・金融機関がそれぞれ行います。

私たちにできるのは、その手前の「申請書類をきちんと整える」「状況を整理してお伝えする」という部分です。
必要に応じて、税理士や金融機関とも連携しながら進めます。

よくある質問(FAQ)

Q. 認定を受ければ、必ず融資(保証)を受けられますか?
A. いいえ。認定は、あくまで「業況が悪化している業種に属している」ことの証明です。実際に保証・融資が受けられるかどうかは、信用保証協会・金融機関の審査で決まります。

Q. うちの業種(建設業の中のどれか)が対象かどうか、どこで確認できますか?
A. 中小企業庁が公表している指定業種リスト(細分類)で確認できます。手順は、①日本標準産業分類で自社の業種の「細分類番号(4桁)」を調べる → ②指定業種リストにその番号があるか照合する、の2つです。建設業は業種が細かく分かれているため、「建設業だから対象」とは限りません。判断に迷う場合は、当事務所にご相談いただければ、一緒に確認します。

Q. セーフティネット保証5号と、神奈川県の原油・原材料高騰等対策特別融資は、両方使えますか?
A. 制度が異なるため、一律には言えません(要確認)。まずは状況を整理して、どちらが使えるか、あるいは組み合わせられるかを確認するところから始めましょう。

Q. 行政書士に頼めば、融資を確約してもらえますか?
A. いいえ。行政書士ができるのは、認定申請書類の作成支援や経営状況の整理までです。融資の可否を決めるのは金融機関・信用保証協会であり、行政書士が融資を確約したり、あっせんしたりすることはできません。

Q. 秦野市の場合、申請窓口はどこですか?
A. 認定の申請先は、事業所が所在する市区町村です。窓口の名称や必要書類は自治体ごとに異なるため、本記事では断定を避けています。秦野市で事業をされている方は、当事務所にお問い合わせいただければ、確認のうえご案内します。

まとめ

  • セーフティネット保証5号は、業況が悪化している業種の会社が、信用保証協会の保証を受けやすくなる制度
  • 2026年7月1日、指定業種が520業種から583業種に拡大適用期間は9月30日まで)。建設業も対象に含まれる業種がある
  • 認定要件は「最近3か月の売上高等が前年同期比5%以上減少」。建設業は完成工事高・受注残高でも判定可
  • 申請は市区町村へ認定申請 → 認定 → 信用保証協会・金融機関へ、という流れ
  • 神奈川県には、保証料が安くなる独自の上乗せ支援もある
  • 「認定」は「融資の確約」ではありません。審査は別にあります

燃料や資材の値上がりは、会社の努力だけではどうにもならない部分があります。
だからこそ、使える制度は、きちんと知って、正しく使いたいところです。

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📍 やさしい行政書士事務所 神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E
代表行政書士 宮本 雄介(秦野市・伊勢原・平塚・厚木・小田原ほか、神奈川県央エリアの建設業・飲食業のお客さまを応援しています)

※本記事は、経済産業省・中小企業庁・神奈川県信用保証協会などの公式発表・公式情報をもとに、行政書士が執筆・確認しています(2026年7月20日時点の情報)。
※制度の内容・数値は変更される場合があります。最新の情報は、各制度の公式ページ、または当事務所にご確認ください。
※本記事は融資・保証を確約するものではありません。認定・保証の可否は、それぞれの審査機関の判断によります。

ABOUT ME
やさしい行政書士事務所のマスコット猫
宮本 雄介
やさしい行政書士事務所 代表。行政書士(登録番号 第12082434号/神奈川県行政書士会所属)。2011年に行政書士試験に合格し、2012年に開業。以来1,000件以上の相談に対応してきました。建設業許可・経営事項審査(経審)、補助金、会社設立、在留資格、相続を取り扱い、なかでも神奈川県の建設業者の許認可を得意としています。弁護士事務所・社労士事務所での実務経験と、複数企業の社外取締役の経験を持ち、手続きの代行だけでなく経営の視点からも助言します。神奈川県秦野市を拠点に、県内の事業者をサポートしています。