「うちはバーだけど、深夜にお酒を出すのに何か届出っているの?」
「届出を出していないけど、今さら出して大丈夫…?」
飲食店の経営者さんから、こうしたご相談をよくいただきます。😊
結論からお伝えします。
深夜0時以降にお酒を出す飲食店(バー・ダイニングバー・接待のないスナックなど)は、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」が必須です。お酒の量は問いません(ただし、営業時間中いつも主食を出している店は対象外。くわしくは下で説明します)。
これを出さずに営業すると、50万円以下の罰金(風営法55条6号。この罰則は2025年の改正でも変わっていません)。
さらに、うっかり「接待」をしてしまうと、それは“無許可の風俗営業”として扱われ、2025年(令和7年)の法改正で厳罰化された罰則(個人は5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、法人は最大3億円)の対象になりかねません。
この記事では、神奈川・秦野の行政書士が、「届出をしないとどうなるのか(罰則と摘発リスク)」と「どうすれば回避できるのか(届出のやり方)」を、できるだけやさしく解説します。
目次
そもそも「深夜酒類提供飲食店営業」とは?
むずかしい名前ですが、ポイントはシンプルです。
「深夜(午前0時〜午前6時)に、お酒を出して営む飲食店」のことを指します。出すお酒の量は問いません。ただし、営業の常態として、通常主食と認められる食事(ご飯・パン・めん類など)を提供している店は除かれます(風営法2条13項4号)。
✅ 必要:バー、ダイニングバー、ガールズバー(接待なし)、接待のないスナック、コンカフェ(接待なし)など
=深夜にお酒を出す店(出す量は問いません)
🚫 不要:ラーメン店・定食屋など、深夜も含めて営業時間中いつも主食(ご飯・パン・めん類など)を出している店
=居酒屋でも、深夜は主食を出さずにお酒とおつまみが中心になる店は届出が必要です
対象外になるかどうかは、出すお酒の量や売上の割合ではなく、営業時間中いつも主食を出しているかで判断されます。平日だけ・昼だけ主食を出す店や、大半の時間はお酒を出して最後にお茶漬けを出すだけの店は、対象外になりません(警察庁「解釈運用基準」)。店名に「バー」とついているかどうかでは決まりません。
「許可」ではなく「届出」。でも“簡単”ではありません
深夜酒類提供は、警察の「許可」をもらう手続きではなく、「届出」です。手数料もかかりません。
ただし、ここが落とし穴です。
「届出だから簡単」というのは、大きな誤解です。⚠️
添付書類の種類は風俗営業の“許可申請”より少ないものの、営業所の平面図は、客室の面積などが基準に合っているかが分かるように正確に作る必要があります。深夜の営業を始める日の10日前までに、管轄の警察署を経由して公安委員会へ提出する必要があります(風営法施行規則1条1項・103条3項)。準備不足だと、開業予定に間に合わないこともあります。
届出をしないとどうなる? — 違反の罰則
ここが本題です。届出を怠ると、どんなリスクがあるのでしょうか。
① 無届・ウソの届出 → 50万円以下の罰金
風営法の規定により、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
届出の内容にウソがあった場合も同様です。
さらに、法令に違反すると、公安委員会から指示を受けたり、6か月以内の営業停止を命じられたりすることがあります(行政処分・風営法34条)。
②【最重要】「接待」をすると“無許可営業”になる → 2025年改正で厳罰化
実は、もっと怖いのがこちらです。
深夜酒類提供のお店で「接待」(特定少数のお客さまの近くに付いて、継続して談笑やお酌の相手をする、一緒にカラオケを歌う・ゲームをする等)をしてしまうと、その時点で“深夜酒類提供の届出”では足りません。隣に座っているかどうかでは決まりません。カウンターの中で注文に応じてお酒を出し、あいさつや少し世間話をする程度なら、接待には当たりません(警察庁「解釈運用基準」)。
それは「風俗営業(1号・社交飲食店)」にあたり、別途「許可」が必要になります。
なお、風俗営業の許可を受けても、深夜(午前0時〜午前6時)は原則として営業できません(風営法13条1項。神奈川県では、12月15日〜翌年1月10日と、横浜市中区・川崎市川崎区の一部の地域に限り午前1時まで)。深夜0時以降も営業するなら、接待をしないことが前提です。
また、深夜に、不特定のお客さまにショーやバンドの生演奏を見せる・聴かせる、ゲーム大会に参加させるなど、店の側から積極的にお客さまを遊び興じさせる場合は、届出ではなく「特定遊興飲食店営業」の許可が必要です(風営法2条11項・31条の22。無許可で営むと2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、またはその両方=50条4号)。
許可を取らずに接待をしてしまえば、「無許可営業」です。そして——
・個人:5年以下の拘禁刑、または1,000万円以下の罰金(その両方が科されることも)
・法人:3億円以下の罰金
改正前(2年以下・200万円以下)から大きく引き上げられています。
詳しくは関連記事もご覧ください。
👉 【2025年改正版】風俗営業許可の取得方法と罰則強化について
👉 風営法改正2026|あなたの店は関係ある?いつから何が変わったか一気に確認
「接待のつもりはなかった」という認識のズレが、重い罰則につながることもあります。接待にあたるかどうかの線引きは、開業前に必ず確認しておくべきポイントです。
③ そのほかの違反にも注意
このほかにも、午後10時から翌朝6時までの間に18歳未満の人を客に接する業務に就かせる、客引きをする、騒音・振動の基準を守らないなど、風営法や条例のルールに違反すると、罰則や指示・営業停止の対象になります。
摘発は、どんなきっかけで起きる?
「小さな店だからバレないだろう」——これは通用しません。
摘発は、近隣からの騒音・トラブルの通報、客同士のもめごと、警察職員の立入り(届出をしていない店も対象=風営法37条2項)などがきっかけになります。一度問題が表面化すると、罰金や指示・営業停止などで、営業の継続に影響が出ることがあります。
だからこそ、「最初にきちんと届出を出しておく」ことが、いちばんのリスク対策なのです。
📖 あわせて読みたい:はじめて深夜酒類提供飲食店届出(BAR)の依頼をご検討中のお客様へ
「届出だから簡単」は誤解 — 必要な主な要件
深夜にお酒を出して営業するには、次のような要件を満たし、営業中も守り続ける必要があります。主なものを挙げます。
・飲食店営業許可(保健所)が前提:まずはこちらが必要です
・客室の広さ:複数の客室があるときは各室それぞれ9.5㎡以上(客室が1室のみの場合は面積制限なし)
・見通し:店内の見通しを妨げる高い仕切り・設備はNG
・明るさ(照度):20ルクスを超える明るさ
・場所(用途地域):営業できる地域かどうかの確認
※客室の広さ・見通し・明るさは全国共通の基準です(風営法施行規則99条)。営業できる地域と騒音・振動の基準は、都道府県の条例で決まります。最新の要件は必ず管轄の警察署にご確認ください。
神奈川県・秦野で深夜営業を始めるなら
風営法は全国共通ですが、細かい運用は都道府県の条例と所轄警察署ごとに違います。神奈川県内であれば、お店の場所によって秦野警察署・平塚警察署などが窓口になります。
「自分の店は届出が必要なのか」「接待にあたらないか」など、迷ったら開業前の事前相談が確実です。当事務所では、神奈川県内の深夜酒類提供の届出・風俗営業許可をサポートしています。
まとめ
・深夜0時以降にお酒を出す飲食店は「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」が必須(営業時間中いつも主食を出す店は対象外)
・無届・虚偽届出は50万円以下の罰金
・「接待」をすると無許可の風俗営業に。2025年改正で5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金(法人最大3億円)と厳罰化
・「届出だから簡単」は誤解。平面図は正確さが必要。深夜の営業を始める日の10日前までに提出
・迷ったら開業前の事前相談がいちばんのリスク対策
「うちは届出が必要?」「接待にあたらない?」——そんな段階のご相談でも大丈夫です。
ご相談は無料です。神奈川・秦野の行政書士が、開業スケジュールに間に合うようサポートします。
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監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介
(神奈川県行政書士会所属・登録番号 第12082434号)
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※本記事は2026年10月時点の情報をもとに、一般的な解説を目的として作成したものです。風営法・条例の要件や罰則の内容、運用は改正・地域により異なる場合があります。実際の手続き・判断にあたっては、必ず管轄の警察署やe-Gov法令検索等で最新の情報をご確認いただくか、当事務所までご相談ください。