執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県行政書士会所属/神奈川県秦野市)
決算変更届が終わってひと息ついたと思ったら、経審(けいしん=公共工事の入札に参加するために必要な、会社の実力を点数化する審査)の提出書類一覧に「CPD単位取得数を証する書類」という一文。
「うちの技術者、CPDって取ってたっけ…?」「証明書ってどこでもらうの?」「様式第4号って何を書けばいいの?」
秦野市を拠点に神奈川県央エリアまで対応しているやさしい行政書士事務所には、建設業の社長さんや、経審の準備を任された経理担当の方から、こうしたご相談が寄せられます。
この記事では、経審の「CPD証明書」を実際に集めて提出するまでの手順を、神奈川県の最新の手引き(令和8年7月1日版)に沿って、行政書士がチェックリスト形式で解説します。専門用語は必ず一言で言い換えますので、初めての方でも大丈夫です。
目次
1. そもそも経審の「CPD」って何?
CPDとは、Continuing Professional Development(継続的能力開発)の略です。一言でいうと「技術者が継続して知識や技術を学び、その実績を単位として記録する仕組み」です。
経審では、この「CPD単位取得数」がその他の審査項目(社会性等・W点)の中の1項目として評価されます。神奈川県の申請様式では「その他の審査項目(社会性等)」の項番46にあたります(出典:神奈川県『経営事項審査の手引き 令和8年7月1日版』第2分冊 P39・P80〜81)。
つまり、社員さんが認定団体の研修・講習を受けて単位を積んでいると、それが会社の経審の点数に反映される、という仕組みです。
⚠️ 令和8年7月1日版の手引きは、第1分冊P1「主な変更点」で「1 審査項目の変更(社会保険3項目の削除・自主宣言制度の様式追加・建設機械様式の改正)」「2 配点の変更及び審査点への影響(W1-7・W1-8と最低点)」「3 認定能力評価基準」「4 適用時期」を挙げています。CPD単位取得数の評価項目の変更は、この「主な変更点」には挙げられていません。ただし同ページには文言等の適宜修正がある旨も記載されているため、細部は必ず最新版の手引きでご確認ください。
W点全体の計算の考え方は別記事 「経審のW点の計算方法」、CPDが何点として効くか(配点の目安)は 「経審のW点の目安」 で扱っています。この記事では証明書類の集め方・様式第4号の書き方に絞って解説します。
2. CPD証明書は「4点セット」で準備する

神奈川県の手引きでは、CPD単位取得数を申請する場合の確認書類として、次の4点が求められています。
- 「CPD単位を取得した技術者名簿(技術職員名簿に記載のある者を除く)」(様式第4号)
- 取得したCPD単位数を証する書面の写し(=いわゆる「CPD証明書」本体)
- 常勤確認書類
- 審査基準日から遡って6か月を超える恒常的な雇用関係があることを証する書類
出典:同手引き 第2分冊 P80「確認書類① ⑪ CPD単位取得数を証する書類」
※この記事では便宜上「CPD証明書」と呼んでいますが、正式な書類名は団体によって「学習履歴証明書」「実績証明書」などと異なります。神奈川県の手引きでは「取得したCPD単位数を証する書面」と表現されています。
つまり「証明書1枚だけ出せばOK」ではなく、その人が審査基準日の時点でその会社に常勤していて、審査基準日から遡って6か月を超える恒常的な雇用関係があることも一緒に証明する必要がある、というのがポイントです。基準は「今」ではなく審査基準日(通常は決算日)です。経審の常勤確認書類を一式そろえるタイミングで一緒に集めておくと二度手間になりません。
様式第4号は「技術職員名簿に載っていない人」だけの書類

様式第4号の正式な表題は「CPD単位を取得した技術者名簿(技術職員名簿に記載のある者を除く)」です。記載要領では、審査基準日において、許可を受けた建設業に従事する職員のうち、次のいずれかに該当し、かつ技術職員名簿(別紙二)に記載のない者について作成する、と定められています。
- 建設業法第7条第2号イ・ロ・ハ、または第15条第2号イ・ロ・ハに該当する者
- 一級もしくは二級の第一次検定に合格した者(=一級・二級の技士補)
(出典:同手引き 第2分冊 P81「項番46 CPD単位取得数記載要領」1、および様式第4号の表題)
手引きは具体例として「経営事項審査で申請していない業種についての技術者や2級技士補」を挙げています(同P80「⑪」)。なお、いずれの場合も審査基準日において許可を受けた建設業に従事している職員であることが前提です。
すでに技術職員名簿に名前が載っている技術者は、その名簿の中の「CPD単位取得数」欄に直接記入します。様式第4号は「名簿に記載のある者を除く」書類なので、二重に書く必要はありません。
3. 「CPD証明書」はどこでもらう?──団体を特定する3ステップ
ここが一番聞かれるところです。CPD単位は複数の認定団体が独自に運営しているため、証明書の名称や発行方法は団体ごとに異なります。だから「ここに行けば1枚もらえる」という窓口はありません。答えは「自社の技術者がどの団体で単位を取っているかを特定する」ことから始まります。
ステップ1:技術者本人の受講記録から団体を特定する
- 講習・研修の受講記録、団体の会員IDカード、Webの学習履歴画面などを本人に確認する
- 目安として、土木施工管理技士なら全国土木施工管理技士会連合会(CPDS)、建築施工管理技士なら建設業振興基金・日本建築士会連合会・建築CPD情報提供制度(建築技術教育普及センター)などが候補になります。技術士なら日本技術士会が代表的な候補です。ただしこれは当たりの付け方であって、最終的には技術者本人の登録先・受講履歴で確認してください
ステップ2:その団体が「告示別表第二十一」の認定団体か確認する
経審で加点対象になるのは、告示別表第二十一に掲げられたCPD認定団体だけです。神奈川県の手引き第2分冊P36に、団体名と換算に使う数値(右欄の数値)が一覧で載っています。
| 認定団体(告示別表第二十一) | 右欄の数値 |
|---|---|
| 公益社団法人空気調和・衛生工学会 | 50 |
| 一般財団法人建設業振興基金 | 12 |
| 一般社団法人建設コンサルタンツ協会 | 50 |
| 一般社団法人交通工学研究会 | 50 |
| 公益社団法人地盤工学会 | 50 |
| 公益社団法人森林・自然環境技術教育研究センター | 20 |
| 公益社団法人全国上下水道コンサルタント協会 | 50 |
| 一般社団法人全国測量設計業協会連合会 | 20 |
| 一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会 | 20 |
| 一般社団法人全日本建設技術協会 | 25 |
| 土質・地質技術者生涯学習協議会 | 50 |
| 公益社団法人土木学会 | 50 |
| 一般社団法人日本環境アセスメント協会 | 50 |
| 公益社団法人日本技術士会 | 50 |
| 公益社団法人日本建築士会連合会 | 12 |
| 公益社団法人日本造園学会 | 50 |
| 公益社団法人日本都市計画学会 | 50 |
| 公益社団法人農業農村工学会 | 50 |
| 一般社団法人日本建築士事務所協会連合会 | 12 |
| 公益社団法人日本建築家協会 | 12 |
| 一般社団法人日本建設業連合会 | 12 |
| 一般社団法人日本建築学会 | 12 |
| 一般社団法人建築設備技術者協会 | 12 |
| 一般社団法人電気設備学会 | 12 |
| 一般社団法人日本設備設計事務所協会連合会 | 12 |
| 公益財団法人建築技術教育普及センター | 12 |
| 一般社団法人日本建築構造技術者協会 | 12 |
出典:同手引き 第2分冊 P36「告示別表第21」。認定団体の正式な範囲は告示別表第二十一が正、証明書の名称・発行手順は各団体の最新案内が正です。
ステップ3:その団体の会員サイト・窓口で証明書を申請する
証明書の名称と発行経路は団体ごとに違います。当事務所が公式サイトで確認できた範囲を整理します(確認できない項目は「未確認」としています)。
| 認定団体 | 証明書の名称 | 発行経路・目安 | 確認状況 |
|---|---|---|---|
| 一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会(CPDS) | 学習履歴証明書 | 通常申請は申請受付日の翌営業日16:30〜17:00頃にPDFをメール送付。至急申請の枠もあり。手数料は技士会会員か無所属かで異なる(金額はCPDSガイドラインに定めあり・2026年度改定予定と公式に記載) | 同会公式サイト(https://www.ejcm.or.jp/cpds/ ・2026年9月4日閲覧) |
| 一般財団法人建設業振興基金(建築・設備施工管理CPD制度) | 実績証明書 | 参加者がマイページから発行申請。手数料は500円(税込)/件。発行までの日数は公式に記載なし(未確認) | 同基金公式サイト「実績証明書とは」(https://cpd.kensetsu-kikin.or.jp/certificate-overview/ ・2026年9月4日閲覧) |
| その他の認定団体 | 団体ごとに異なる | 団体ごとに異なる | 各団体の会員サイト・窓口でご確認ください |
※本人が複数団体に加入している場合でも、経審で使えるのは1団体分だけです(次章チェック4)。どの団体の証明書を使うかを決めてから申請すると、無駄な手数料が出ません。
4. 様式第4号の書き方チェックリスト
神奈川県の手引きに載っている記載例(第2分冊P81)をもとに、チェックすべきポイントを整理します。
✅ チェック1:対象者を正しく仕分ける(3段ゲート)
- 前提:審査基準日の時点で、許可を受けた建設業に従事している職員か → 該当しない人(審査基準日時点の退職者、許可業種の建設業に従事していない有資格者など)は対象外
- 技術職員名簿(別紙二)に載っている人 → 名簿側のCPD欄に記入(様式第4号には書かない)
- 名簿に載っていない人のうち、法7条2号イロハ・15条2号イロハ該当者、または一級・二級第一次検定合格者(=技士補) → 様式第4号に記入。ここまでのどれにも当てはまらない人は対象外
(出典:同手引き 第2分冊 P81「項番46 CPD単位取得数記載要領」1)
✅ チェック2:単位の集計期間を確認する
- 対象は審査基準日以前1年間に取得したCPD単位のみ(同手引き P80「⑪」・P81 様式第4号の注記)
- 審査基準日より後に取得した単位は加点対象外です
✅ チェック3:単位の換算計算をする

計算式はこうです(同手引き P81 記載要領2)。
CPD取得単位数 = 認定団体から認定された単位数 ÷ 告示別表第二十一の右欄の数値 × 30
(小数点以下は切り捨て。計算結果が30を超えたら30とする)
手引きの記載例で確認してみましょう。
一般財団法人建設業振興基金から「6」単位の認定を受けている場合
6(認定単位)÷ 12(右欄の数値)× 30 = 15
このように、団体ごとに定められた数値で割ってから30を掛ける、という手順を踏みます。1人当たりの上限は30です。
✅ チェック4:1人1団体だけを記載する
1人の技術者が複数の団体でCPD単位を取得していても、加点対象にできるのはそのうちの1団体分だけです。合算はできません。もっとも有利な団体分を選んで記載しましょう(出典:同手引き 第2分冊 P80「⑪」、P35 技術職員名簿の記入方法)。
✅ チェック5:項番46は「単位数」と「技術者数」の2欄
項番46には、CPD単位取得数だけでなく技術者数の欄もあります。単位数は「技術職員名簿に記載したCPD単位取得数」と「様式第4号に記載したCPD単位取得数」の合計、技術者数は両方の人数の合計を記入します(出典:同手引き 第2分冊 P39「項番46 CPD単位取得数/技術者数」)。単位数欄だけ埋めて人数欄を書き漏らすミスに注意してください。
✅ チェック6:常勤確認書類・雇用関係書類も一緒に綴じる
様式第4号・証明書の写しだけでなく、③常勤確認書類、④6か月超の雇用関係を証する書類もセットで準備します(同手引き P80「⑪」)。
5. 実務でつまずきやすいポイント
- 取得したCPD単位数を証する書面は添付されていたが、技術者の単位取得が審査基準日より後だった → 対象は「審査基準日以前1年間」なので加点対象外(出典:神奈川県『経審Q&A集』㉔、同手引き 第2分冊 P80「⑪」)
- 1人の技術者が複数団体でCPD単位を取得しているにもかかわらず、両方を合算して記載してしまう → 加点対象になるのはいずれか1団体分のみで、合算は認められません(出典:同手引き 第2分冊 P80「⑪」)
- 様式第4号に、技術職員名簿にすでに載っている人まで書いてしまう → 様式第4号は「技術職員名簿に記載のある者を除く」書類です(同P81 記載要領1)
いずれも「日付」「団体を1つに絞る」「名簿との仕分け」という基本を押さえていれば防げるミスです。決算日(審査基準日)が近づいてから慌てて集めるのではなく、社員のCPD受講状況は年間を通じて経理・総務側で把握しておくのが安全です。
6. もっと詳しく知りたい方へ(関連記事)
- 経審そのものを自分で申請できるか迷っている方は → 「経審は自分でできる?」
- W点全体の計算の考え方を知りたい方は → 「経審のW点の計算方法」
- CPDが何点として効くか(配点の目安)を知りたい方は → 「経審のW点の目安」
- 経審の点数とランク(等級)の関係から知りたい方は → 「入札参加資格の等級(ランク)とは?」
- 技術職員名簿と合わせて提出する工事経歴書の作り方は → 「工事経歴書をエクセルで作る手順」
- 建設業許可・経審・補助金のご相談窓口は → やさしい行政書士事務所 トップページ
この記事の執筆・監修
やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介
神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E
建設業許可・経営事項審査(経審)を中心に、秦野市を拠点に神奈川県央エリアの建設業者様の申請実務を行っています。
※本記事の内容は、神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』第1分冊・第2分冊、および同県『経審Q&A集』に基づいています。最新の様式・数値は申請時点の最新版手引きで必ずご確認ください。制度の細部で確証が取れない点は「未確認」と明記しています。
CPD証明書集め、ひとりで悩まなくて大丈夫です
「様式第4号、これで合ってるか不安…」「そもそもうちの技術者、CPD取ってるかどうかも分からない」
そんな状態で経審の申請期限が迫っていると、かなり焦ります。
やさしい行政書士事務所では、CPD証明書の集め方の整理から、様式第4号の記載、経審申請全体の書類作成まで、秦野市を拠点に神奈川県央エリアの建設業者様のお手伝いをしています。ご相談の際は、①経審の審査基準日、②技術者の保有資格、③これまでのCPD受講歴の有無、の3点をお伺いした上で、その場で次に何をすべきかをご案内します。
まずは今の状況をお電話でお聞かせください。無料相談を承っています。
📞 CPD証明書・様式第4号のご相談(無料)
「様式第4号だけ見てほしい」という部分的なご相談も歓迎です。まずは今の状況をお聞かせください。
電話:0463-57-8330(やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介)
神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E
※本記事は執筆時点(2026年9月)の神奈川県『経営事項審査の手引き 令和8年7月1日版』に基づく一般的な解説です。個別の申請については、最新の手引き・所管窓口の取扱いをご確認のうえ、必要に応じて行政書士にご相談ください。