建設業

経審のW点、目安はどのくらい?最新配点一覧とセルフ診断チェックシートでわかる自社の立ち位置

経審W点の目安

経審(経営事項審査=公共工事を発注者から直接請け負うために受けなければならない、会社の通信簿のような審査)の結果通知書を受け取って、W点の数字だけをじっと見つめていませんか。

「この点数、高いのか低いのか分からない」
「他の会社と比べてどうなんだろう」
「もっと上げたいけど、何から手をつければいいのか分からない」

そう感じている神奈川県央(秦野市・伊勢原市・厚木市など)の建設業の社長・担当者は少なくありません。

W点は、経審の中でも計画的に準備すれば加点につなげられる項目が多いという特徴があります。だからこそ「今の自社がどのあたりにいるのか」という目安を知ることが、次の一手を決める第一歩になります。

🐱 この記事を書いた人
やさしい行政書士事務所/代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県秦野市)
建設業許可・経審を専門分野の一つとして、神奈川県央エリアの建設業者さまの決算変更届・経審をご支援しています。
💡 この記事でわかること(先に結論)

  • 国土交通省の改正通知(令和8年国不建第177号による『経営事項審査の事務取扱いについて』改正)と神奈川県の手引き(令和8年7月1日版)に基づく、W点(W1〜W8)の現行配点一覧
  • 自社が加点を取れているかを確認するセルフ診断チェックシート
  • 「業界平均」ではなく、目標ランクから逆算して考える目安の使い方
  • 令和8年7月1日改正のうちW点に関わる主な3点の要点(神奈川県手引きの「主な変更点」は実質6件・詳しい解説は別記事へリンク)

なお、W点の計算のしくみそのもの(P点との関係や計算式)は、別記事「経審W点の計算方法」で詳しく解説しています。この記事では、最新の配点一覧・セルフ診断・目標からの逆算の3つに絞ってお伝えします。

1. そもそも経審のW点とは?(一言でいうと)

まず用語を整理します。

  • 経審(経営事項審査)=公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受ける審査で、会社の経営規模・経営状況・技術力・社会性等を国のルールで数値化するもの(建設業法第27条の23)
  • W点(社会性等)=社員を大事にしているか、法令を守っているか、防災に協力しているかなど、会社の「社会的な取り組み」を点数にしたもの

経審の最終的な点数は「P点(総合評定値)」と呼ばれ、W点を含む5つの要素を、決められた割合(ウェイト)で合計して決まります。

P = 0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.20×Y + 0.25×Z + 0.15×W

この計算式の詳しい成り立ちは、別記事「経審の点数の計算方法」で図解しています。この記事では、W点はこの5要素のうちの1つにすぎないという大前提だけ押さえておいてください。「W点だけを見ても、会社全体の実力は分からない」のです。

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』第1分冊P3の表

2. W点の配点レンジ(現行・全国共通)

経審の算式は全国共通で、各要素の点数のレンジ(最高点・最低点)は次のとおりです(神奈川県の手引きにも同じ表が掲載されています)。

項目 ウェイト 最高点 最低点
X1(完成工事高) 0.25 2,309 397
X2(自己資本額・利益額) 0.15 2,280 454
Y(経営状況) 0.20 1,595 0
Z(技術力) 0.25 2,441 456
W(社会性等) 0.15 2,073 -788
P(総合評定値) — 2,159 163

W点・P点の最低点は、令和8年7月1日以降の申請からこの数値になりました(改正前はW点-1,837点・P点6点)。W点の最高点2,073点は改正の前後で変わっていません。W点は最低点がマイナスになる項目なので、「加点を取りにいく」以前に、まず該当する減点がないかを確認することがスタートラインです。

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』第1分冊P3の表

3.【最新版】W点の配点一覧(W1〜W8・令和8年7月1日以降の申請)

W点は、W1〜W8の区分でできています。以下は令和8年7月1日以降の申請に適用される、現行の配点一覧です。

区分 評価項目 配点(素点)
W1 建設業退職金共済制度(建退共)の加入 15点
W1 退職一時金制度・企業年金制度の導入 15点
W1 法定外労働災害補償制度の加入 15点
W1 若年技術者・技能労働者の育成確保(技術職員名簿に載る技術職員のうち35歳未満15%以上) 1点
W1 新規若年技術者・技能労働者の確保(審査基準日以前1年以内に新たに技術職員になった35歳未満の者が技術職員数の1%以上) 1点
W1 CPD単位取得・技能レベル向上者数 最大10点
W1 ワーク・ライフ・バランス認定(WLB) 最大5点
W1 CCUS(建設キャリアアップシステム)就業履歴蓄積措置 全工事10点/全公共工事5点
W1 建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度 5点
W2 営業年数 0〜60点
W2 民事再生・会社更生(平成23年4月1日以降の申立てに係る再生/更生手続開始の決定を受け、かつ審査基準日以前に手続終結の決定を受けていない場合) ▲60点
W3 防災協定の締結 20点
W4 法令遵守の状況(審査対象年=審査基準日以前1年に受けた処分が対象) 指示処分▲15点/営業停止処分▲30点
W5 建設業の経理(監査の受審状況。会計監査人は無限定適正意見または限定付適正意見を表明している場合のみ対象) 会計監査人20点/会計参与10点/経理処理の適正を確認した旨の書類2点
W5 公認会計士等の数(①公認会計士=公認会計士法28条の研修受講者、②税理士=所属税理士会認定研修の受講者、③1級建設業経理士=合格または登録経理講習受講の日の属する年度の翌年度開始日から起算して5年以内の者。①②に5年の期限はない。2級建設業経理士等は別項目で0.4人分として算入(2級も1級と同じく合格または登録経理講習受講の日の属する年度の翌年度開始日から起算して5年以内の者に限る)) 最大10点(点数は年間平均完成工事高に応じた区分(告示別表第十七)で決まるため、同じ人数でも完工高によって点数が変わります)
W6 研究開発費(会計監査人設置会社で、会計監査人が無限定適正意見または限定付適正意見を表明している場合のみ対象) 最大25点
W7 建設機械の保有状況(現行11機種) 1台目5点・最大15点
W8 ISO9001認証(認証・登録の範囲に建設業が含まれ、かつ会社単位であること。一部の支店・営業所のみの認証、建設業以外の業種での認証は加点対象外。JABまたはJABと相互認証を行う国際ISO認定機関の認定を受けた審査登録機関の認証に限る) 5点
W8 ISO14001認証(ISO9001と同じ除外規定=JABまたはJABと相互認証を行う国際ISO認定機関の認定を受けた審査登録機関の認証に限り、認証範囲に建設業が含まれ、かつ会社単位であること。一部の支店・営業所のみの認証、建設業以外の業種での認証は加点対象外) 5点
W8 エコアクション21認証(一般財団法人持続性推進機構の認証であること。JAB認定は要件ではない。原則として全組織・全活動が認証範囲であること。「段階的認証」「サイト認証」と記載がある場合であって、認証範囲に建設業が含まれない、または一部の支店等に限られる場合は加点対象外) 3点

※この一覧の点数は、W点(評点)の元になる素点です。素点1点はW評点で8.75点、P点換算では約1.3点に相当します(W1〜W8の素点合計237点=W評点2,073点)。姉妹記事「経審の点数の上げ方|P点が低い原因と加点策」等で見る「+20点」等の表記はP点換算の目安であり、本表の素点とは単位が異なります。
※雇用保険・健康保険・厚生年金の「加入状況」は、令和8年7月1日の改正で審査項目そのものから削除されたため、この一覧には含まれていません。
※W8のISO14001とエコアクション21は、どちらか一方のみが加点対象で、重複して加点されることはありません。
※CCUSの配点は、国土交通省『経営事項審査の主な改正事項(令和8年7月1日施行)』および「経営事項審査の事務取扱いについて」(平成20年1月31日付け国総建第269号)の改正によるものです。告示第262号(令和8年2月6日公布・同年7月1日施行)は審査項目(自主宣言の有無の評価項目の追加・建設機械の対象拡大・社会保険項目の削除)を定めています。
※W5(建設業の経理)は、監査の受審状況(会計監査人20点/会計参与10点/経理処理の適正確認書類2点)と、公認会計士等の数(最大10点)の合計で、W5全体の最高点は30点です。

出典:国土交通省『経営事項審査の主な改正事項(令和8年7月1日施行)』(令和8年2月6日公表)/神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』(審査項目・確認書類)

4. 令和8年7月1日改正で何が変わったのか(主な変更点)

令和8年2月6日公布・同年7月1日施行の国土交通省告示第262号および同日付通知(国不建第177号)により、W点の中身が変わりました。申請日(受付日)基準で適用されるため、令和8年6月30日までの申請は改正前の基準のままです。神奈川県手引きの「主な変更点」に即すと、改正の柱は実質6件((1)社会保険3項目の削除 (2)自主宣言の有無(W1-8)を評価項目に追加 (3)CCUS配点の見直し (4)建設機械の対象拡大 (5)W・P最低点の変更 (6)認定能力評価基準の追加)です。本記事ではこのうち3点に絞って解説します(建設機械の対象拡大・最低点の変更は本記事でも要点に触れています。改正全体の整理は下記の姉妹記事(国土交通省の改正概要に基づく5つ)をご覧ください。(6)認定能力評価基準の追加は技術職員数値(Z点)側の改正のため、本記事では扱いません)。詳しい実務対応は、それぞれ別記事にまとめています。

① CCUS就業履歴蓄積措置の配点引き下げ

民間工事を含む全工事での実施は15点→10点、公共工事のみでの実施は10点→5点に引き下げられました。くわしい要件は「経審のCCUS加点とは」で解説しています。

② 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無を評価項目に追加(+5点)

CCUSで下がった分の受け皿として、①審査基準日において宣言している②様式第7号の誓約書を提出している③宣言した取り組みを取組開始日以降に実際に行う(行っていないと虚偽申請として建設業法違反のおそれがあります)、の3点を満たすことで、あわせて5点が加点される評価項目(W1-8)が加わりました。宣言日が審査基準日以前であることが条件です(審査基準日当日の宣言も可)。制度の詳細は「職人いきいき宣言(自主宣言)で経審5点加点」で解説しています。

③ 社会保険3項目(雇用・健康・厚生年金)の審査項目からの削除

これまで未加入だと各▲40点(最大▲120点)の減点対象だった雇用保険・健康保険・厚生年金の加入状況は、審査項目そのものから削除されました。適法に加入している会社には、影響はほぼ中立です。

なお、改正前の基準で経審を受けた会社のうち、申立て時点で審査基準日から1年7か月以内の会社は、令和8年7月1日〜10月28日の120日間に限り再審査を申し立てられます(手数料無料・郵送不可)。再審査できるのは改正に係る項目(自主宣言・CCUS配点・新たに対象となった建設機械2機種・技術職員の追加業種等)に限られ、それ以外の項目を入れ替えての再審査はできません。詳しくは別記事「経審はやり直しできる?」をご覧ください。

出典:神奈川県『経営事項審査の事務取扱いについての改正に伴う再審査について』(https://www.pref.kanagawa.jp/documents/22084/keishin_saishinsa.pdf)、建設業法施行規則第20条第2項

💬 一言でいうと
社会保険は、加入していれば加点されるものではありませんでした。未加入だと減点される仕組みで、しかも令和8年7月1日の改正でこの審査項目自体がなくなりました。「社会保険に入るとW点が積み上がる」という理解は誤りです。(適用事業所に該当する営業所について)社会保険の加入・届出は建設業許可の要件として引き続き必要ですが、W点の加点源ではありません。

あわせて、建設機械の対象機種にも不整地運搬車・アスファルトフィニッシャが加わり、現行は11機種(従来9機種)が対象です。改正全体の背景・影響は「経審W点改正(2026年7月施行)の変更点と影響」でまとめて解説しています。

出典:神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』、令和8年国土交通省告示第262号

5. 自社のW点、どれだけ取れている?セルフ診断チェックシート

「業界平均のW点は〇〇点」という公式な統計は公表されていません。W点は加入している制度・認定の取得状況・防災活動への関与・建設機械の保有状況などの組み合わせで決まるため、そもそも平均値に実務上の意味は薄いといえます。

そこで実践的なのは、「自社が取れるはずの加点項目を、どれだけ取れているか」を1つずつ確認する方法です。以下のチェックシートで、今の自社の状況を確認してみてください。

区分 加点項目(自社は取れているか) 配点(素点) チェック
W1 建退共に加入し、掛金の納付(証紙貼付方式または電子申請方式)まで適切に履行している(=加入・履行証明書が出る状態) 15点 □
W1 退職一時金制度または企業年金制度がある 15点 □
W1 法定外労働災害補償制度(上乗せ労災)に加入し、かつ①全工事現場(JV・海外を除く)②下請負人の職員まで③通勤災害も④死亡・障害1〜7級までを補償している(記名式・現場単位の制度は対象外) 15点 □
W1 技術職員名簿に載る技術職員のうち35歳未満が15%以上いる 1点 □
W1 審査基準日以前1年以内に新たに技術職員になった35歳未満の者が技術職員数の1%以上いる 1点 □
W1 CPD単位取得・技能レベル向上者がいる 最大10点 □
W1 WLB(ワーク・ライフ・バランス)認定を受けている 最大5点 □
W1 審査基準日以前1年に発注者から直接請け負った工事(海外工事・軽微な工事・災害応急対策を除く)の全件/公共工事の全件でCCUSの現場・契約情報登録と就業履歴蓄積の体制を整え、様式第6号の誓約書を出している(元請工事が1件もない年は対象外) 全工事10点・全公共5点 □
W1 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」を審査基準日以前に行っている(審査基準日当日を含む) 5点 □
W3 防災協定を締結している(自社または加盟団体経由) 20点 □
W5 会計監査人を設置し無限定適正意見/限定付適正意見を受けている、会計参与を設置し会計参与報告書が作成されている、または経理処理の適正確認書類がある 20点/10点/2点 □
W5 公認会計士・税理士(所定の研修を受講)または1級・2級建設業経理士(いずれも合格/登録経理講習受講から翌年度開始日起算5年以内)が常勤している(2級建設業経理士等は0.4人分として加算) 最大10点(年間平均完成工事高で変動) □
W7 対象の建設機械(現行11機種)を保有・リース(リースはリース期間に経審の有効期間(審査基準日から1年7か月)が含まれていることが必要。契約書に期間の自動更新の定めがある場合も対象。自動更新の定めがない場合でも、神奈川県では更新契約を確実に行う予定である旨の県知事宛申立書を提出すれば加点対象。レンタル契約は対象外)している 1台目5点・最大15点 □
W8 ISO9001/ISO14001/エコアクション21の認証を取得している(いずれも認証・登録の範囲に建設業が含まれ、会社単位/全組織・全活動であることが必要。特定の支店・営業所のみの認証、建設業以外の業種での認証は対象外。ISO14001とエコアクション21は重複加点なし) 5点/5点/3点 □

※W4(法令遵守)は減点のみの項目です。審査対象年に指示処分・営業停止処分を受けていなければ「問題なし」。それより前の処分は今回のW点には影響しません。

チェックが少ない項目ほど、伸びしろがある項目です。特に建退共・法定外労災・防災協定は、加入や書類の要件を満たせば加点につながるため、優先的に検討する価値がある項目です(それぞれ確認書類の要件があるため、早めの着手が必要です)。優先順位は7章で整理します。

6. 「目安」の考え方 ― 高ければ良いというものではない

W点を含むP点全体について、大切なのは「点数は高ければ高いほど良いとは限らない」という考え方です。自社が目指す工事規模や入札参加のランク(格付け)に応じて、必要な点数を逆算して狙うのが実務的です。

つまり「W点の目安」とは、絶対的な平均点と比べることではなく、次の順番で考えるものです。

  1. 自社が狙いたい発注機関・工事規模・ランクを決める
  2. そのランクに必要なP点(総合評定値)を確認する
  3. X1・X2・Y・Zの現状点数を踏まえて、W点でどこまで積み増す必要があるかを逆算する

P点とランク(格付け)の関係は、別記事「経審のP点とランクの関係」で詳しく解説していますので、目標設定の参考にしてください。

6.5 P点の目安 ― 自社の点数は、どのくらいの位置にあるか

W点はP点(総合評定値)を構成する5要素の1つです。「W点の目安」を考えるときは、最終的にP点がどのレンジにあるかとセットで見るとイメージがつかみやすくなります。P点の最高点・最低点(2,159点/163点)と、その内訳(X1・X2・Y・Z・Wそれぞれの最高点・最低点)は、本記事「2. W点の配点レンジ(現行・全国共通)」の表に既出です。この表は経審の算式(総合評定値の算式=建設業法施行規則第21条の3、各評点の算出方法=国土交通省告示第85号および「経営事項審査の事務取扱いについて」(平成20年1月31日国総建第269号))上、理論上到達しうる最高点・最低点であり、神奈川県内業者の実際の点数分布ではありません(2,159点は算式上の上限で、実在の到達点ではありません)。

P点だけを見ても「高い・低い」を単独で判断するのは早計です。実務では、自社が狙いたい公共工事のランク(等級)に必要な点数から逆算するのが基本の考え方になります(本記事6章「目安の考え方」で述べたとおり)。その逆算の材料として、次の対応表を参照してください。

6.6 ランク(等級)対応表 ― P点は「客観点」として使われる

公共工事の入札に参加するための「等級(ランク)」は、P点(総合評定値=客観点)だけでなく、発注機関ごとの主観点(工事成績・地域貢献・災害協定など)を加えた総合点で決まります。この関係の詳しい仕組みは、姉妹記事「入札参加資格の等級(ランク)とは?」で図解しています。

ここでは目安として、神奈川県の等級別基準点数(総合点(客観点+主観点)の区分ライン)を、現行(令和7・8年度)・改正後(令和9・10年度)の両方で掲載します。現行(令和7・8年度)は土木・建築・電気・管・舗装・水道施設の6業種がA〜Dの4等級、造園のみA〜Cの3等級です。改正後(令和9・10年度)は土木・建築・舗装・水道施設の4業種がA〜Dの4等級、電気・管・造園の3業種がA〜Cの3等級になります(変更点=電気・管が4等級→3等級)。

現行(令和7・8年度=資格の有効期間が令和9年3月31日までのもの)

業種 A等級 B等級 C等級 D等級
土木一式工事 920点以上 740点以上920点未満 610点以上740点未満 610点未満
建築一式工事 930点以上 810点以上930点未満 640点以上810点未満 640点未満
電気工事 850点以上 700点以上850点未満 540点以上700点未満 540点未満
管工事 810点以上 690点以上810点未満 530点以上690点未満 530点未満
舗装工事 920点以上 700点以上920点未満 620点以上700点未満 620点未満
水道施設工事 880点以上 750点以上880点未満 590点以上750点未満 590点未満
造園工事 780点以上 610点以上780点未満 610点未満 (D等級なし)

改正後(資格の有効期間が令和9年4月1日以降のもの=令和9・10年度の認定)

業種 A等級 B等級 C等級 D等級
土木一式工事 930点以上 750点以上930点未満 620点以上750点未満 620点未満
建築一式工事 940点以上 820点以上940点未満 650点以上820点未満 650点未満
電気工事 860点以上 710点以上860点未満 710点未満 (D等級なし)
管工事 820点以上 700点以上820点未満 700点未満 (D等級なし)
舗装工事 930点以上 710点以上930点未満 630点以上710点未満 630点未満
水道施設工事 890点以上 760点以上890点未満 600点以上760点未満 600点未満
造園工事 790点以上 620点以上790点未満 620点未満 (D等級なし)

出典: 神奈川県公式ページ「令和9・10年度入札参加資格認定における等級別基準点数の改正について」(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/u2h/cnt/f531856/p870535.html、2026-09-14当所実取得)・神奈川県『工事の請負に係る競争入札参加資格者の等級区分に関する要領』第2条・第5条(PDF、2026-09-14当所実取得)。上表は総合点(客観点+主観点)の区分ラインであり、P点そのものではありません(要領第2条:客観点数=経審の評価結果、主観点数=工事成績等の県独自評価、総合点数=両者の合算)。自社のP点がこの近辺にある場合、主観点次第で等級が上下する可能性があります。詳しい算定の仕組みは姉妹記事「入札参加資格の等級(ランク)とは?経審点数との関係と上げ方を行政書士が解説【神奈川】」をご覧ください。

【令和9・10年度への切り替えで押さえておきたい2つの適用時期】

  • 等級区分・基準点数の改正(上表「改正後」の欄)は、令和9・10年度の資格認定から適用されます。令和9・10年度の定期申請(受付:令和8年10月1日〜11月30日)で認定される等級から、新しい基準点数が使われます。認定資格の有効期間は令和9年4月1日〜令和11年3月31日です。等級区分の認定には、令和9年2月中旬頃までに入札システムへ登録された最新の経審結果が使われます。そのため県は、1月中旬頃までに結果通知を受け取れるよう早めの申請を案内しています。
  • 等級別発注基準額(各等級が指名対象となる工事価格の範囲。隣接する等級で範囲が重なります。例:改正後の土木工事でA=7,000万円以上、B=3,000万円以上1億8,000万円未満〈税抜き〉。金額は業種ごとに大きく異なります(建築工事のA等級は3億2,000万円以上)。指名競争入札に適用)の改正は、これとは別のトリガーで、令和9年4月1日以後に公告する指名競争入札から適用されます(それ以前の公告分は従前の額)。金額はいずれも消費税相当額を含みません。基準点数の改正と混同しないようご注意ください。

出典: 定期申請の受付期間・資格有効期間について — かながわ電子入札共同システム『令和9・10年度定期申請』(https://nyusatsu.e-kanagawa.lg.jp/html/teiki_sinsei.html、2026-09-14当所実取得)。等級別基準点数・等級別発注基準額の改正について — 神奈川県『競争入札参加資格認定申請』(2026年9月3日更新・2026年9月14日確認)「等級別基準点数の改正について/等級別発注基準額の改正について」。

目安の使い方(まとめ)

  1. まず自社の直近のP点を、経審の総合評定値通知書で確認する
  2. 狙いたい発注機関・業種の等級ライン(上表、または各発注機関の最新公表値)と照らし合わせる
  3. 足りない分をP点のどの要素(X1・X2・Y・Z・W)で積み増すか、本記事のW点チェックシートや「経審の点数の計算方法」記事の割合の考え方を使って逆算する

より詳しいランクの見方・上げ方は「入札参加資格の等級(ランク)とは?」、P点の計算式そのものは「経審の点数(P点)計算方法」で解説しています。

7. 加点の優先順位|まず何から手をつけるべきか

チェックシートで漏れが見つかったら、次の優先順位で検討することをおすすめします。

難易度が低く効果が高いもの(最優先)

  • 建設技能者を大切にする企業の自主宣言(5点・宣言+誓約書(様式第7号)の提出に加え、宣言した取り組みを取組開始日以降に実際に行うことが要件。CCUS加点を取っている会社は宣言しないと素点が実質5点目減りする)
  • 防災協定の締結(20点・自社で締結するほか、加入団体が締結している協定で防災活動に一定の役割を果たすことが確認できる場合も加点対象)
  • CCUSの就業履歴蓄積措置(審査基準日以前1年に発注者から直接請け負った工事(海外工事・軽微な工事・災害応急対策を除く)の全件/公共工事の全件で現場・契約情報登録と就業履歴蓄積の体制を整え、様式第6号の誓約書を提出している。元請工事が1件もない年は加点対象外)

この「防災協定」は、自社では自治体と結べないという理由で見送られがちな項目です。加入団体を経由して20点を取るための2つの条件と、神奈川県で認められる書類・認められない書類は「防災協定が締結できない建設業者へ|経審20点を「団体経由」で取る方法」でくわしく解説しています。

もう一つの最優先項目であるCCUS加点を取るのは元請側です。自社のCCUS事業者登録(様式第6号に事業者IDを記入します)を済ませたうえで、対象工事の現場・契約情報をCCUSに登録し、カードリーダー・顔認証など直接入力によらない方法で就業履歴を蓄積できる体制を整えることが要件です。詳しくはCCUS登録は何から始める?答えは「事業者登録が先」で解説しています(現場の技能者側の登録・費用についてはCCUS一人親方の費用(内訳4つ)をご覧ください)。

難易度は中程度で効果もあるもの

  • 建退共の加入(15点)
  • 法定外労働災害補償制度の加入(15点)
  • 退職一時金制度(中退共の活用など、15点)

難易度が高く、中長期の取り組みが必要なもの

  • ワーク・ライフ・バランス認定(最大5点、社労士との連携が必要)
  • ISO9001/エコアクション21(認証取得・維持にコストと工数が必要)

継続的な取り組みが必要なもの

  • CPD単位取得・技能レベル向上(技術者の継続学習とCCUS運用が前提)
  • 会計監査人・会計参与の設置、経理処理の適正確認

CPD単位を証する書面の入手先と、様式第4号(CPD単位を取得した技術者名簿)の書き方は「経審のCPD証明書はどこでもらう?様式第4号の書き方【神奈川版】」で解説しています。

8. 決算前に動くべき理由

経審では、審査基準日(原則として決算日)時点の状況で評価される項目が多いため、決算後に対応を始めてもその年度の経審には間に合わない場合があります。対策できる範囲が限られるため、W点の底上げも含めて期中からの準備が重要です。決算変更届の内容とW点・経審全体は密接に関わっているため、決算変更届の準備を進める際は、あわせてW点のチェックシートも見直してみてください。決算変更届については「決算変更届は自分でできるか」でも解説しています。

出典:令和8年国土交通省告示第262号(令和8年2月6日公布・同年7月1日施行、審査項目・別表の新設/社会保険項目の削除)および令和8年国不建第177号「経営事項審査の事務取扱いについて」(平成20年1月31日国総建第269号)の一部改正(別紙1の4、各区分の評点)/神奈川県『経営事項審査の手引き(令和8年7月1日版)』第1分冊

神奈川県で経審を受ける毎年の段取り(決算→決算変更届→経営状況分析→県への申請)と必要書類は、神奈川県の経審(経営事項審査)完全ガイドにまとめています。

まとめ

  • W点はP点(総合評定値)を構成する5要素の1つで、ウェイトは0.15
  • W点は最高2,073点、最低-788点(令和8年7月1日以降の申請・全国共通)
  • 令和8年7月1日改正で、CCUSの配点引き下げ・自主宣言の有無を評価する項目の新設(+5点)・社会保険項目の削除が行われた
  • 社会保険は加点ではなく減点回避の位置づけで、改正で審査項目自体がなくなった
  • 「業界平均」の統計はないため、自社がチェックシートの項目をどれだけ取れているかで現在地を確認するのが実践的
  • 目指す工事規模・ランクから逆算して、必要なW点を考えるのが本来の「目安」の使い方

W点の配点や改正は複雑で、自社にとって何を優先すべきかは会社の状況によって変わります。「うちの場合、どこから手をつければいいか分からない」という方は、一度チェックシートの結果を持って相談してみませんか。

W点のセルフ診断結果を見ながら、自社に合った優先順位を一緒に確認しませんか。

「ブログを見た」とお伝えいただくとスムーズです。まずはお気軽にどうぞ。😊

やさしい行政書士事務所(代表行政書士 宮本 雄介)

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※本記事の数値・法令・手続きは、神奈川県『経営事項審査の手引き』(令和8年7月1日版)、令和8年国土交通省告示第262号(審査項目・別表の新設/社会保険項目の削除)、および令和8年国不建第177号「経営事項審査の事務取扱いについて」(平成20年1月31日国総建第269号)の一部改正(各区分の評点)に基づいて執筆・監修しています(執筆・監修:代表行政書士 宮本 雄介)。制度は改正が多い分野のため、実際の申請にあたっては必ず最新の手引き・告示をご確認ください。

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宮本 雄介
やさしい行政書士事務所 代表。行政書士(登録番号 第12082434号/神奈川県行政書士会所属)。2011年に行政書士試験に合格し、2012年に開業。以来1,000件以上の相談に対応してきました。建設業許可・経営事項審査(経審)、補助金、会社設立、在留資格、相続を取り扱い、なかでも建設業の許認可を中心にしています。弁護士事務所・社労士事務所での実務経験と、複数企業の社外取締役の経験を持ち、手続きの代行だけでなく経営の視点からも助言します。神奈川県秦野市を拠点に、県内を中心に全国の事業者をサポートしています。