外国人法務

監理団体は「監理支援機関」へ — 許可制・要件・外部監査人のすべて

監理団体が監理支援機関へ再編され許可制になることを解説するアイキャッチ

執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E/TEL 0463-57-8330)

「技能実習制度が新しくなると、これまでお世話になってきた監理団体はどうなるのか」——外国人を受け入れている経営者の方から、最近よくいただくご質問です。結論から申し上げると、技能実習制度の 「監理団体」は、育成就労制度では「監理支援機関(かんりしえんきかん)」へと名前を変え、新たに国の許可を受けなければ業務を行えなくなります。

この記事では、外国人を受け入れる経営者・実務担当の方、そして監理団体・監理支援機関の関係者に向けて、監理団体から監理支援機関への再編(許可制)を、要件と外部監査人制度を中心に、専門用語をかみくだいて整理します。あわせて、私たち行政書士が 外部監査人 として関与できる場面についても、事実ベースで触れます。やさしい行政書士事務所(神奈川県秦野市)の代表・宮本雄介が、在留資格実務の視点で解説します。

【最初にご確認ください】育成就労はまだ施行されていない新制度です

  • 育成就労制度の施行日は 2027年(令和9年)4月1日 です。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&A(Q3・Q7)でこの日付が明記されており、施行日は「施行期日を定める政令」で確定済みとされています。本記事公開時点では、まだ運用は始まっていません。
  • 制度の細部を定める施行規則(令和7年法務省・厚生労働省令第4号)は2025年9月30日に公布されており、条文そのものは確認できます(本則の施行は2027年4月1日)。一方で、運用要領・告示・様式は順次整備されています。本記事の要件・数値には施行までに変更・確定される可能性があるものが含まれます。断定的な情報としてではなく「現時点の案内」としてお読みください。
  • 実際の許可申請・受け入れにあたっては、必ず出入国在留管理庁などの最新の公式情報をご確認ください。

「監理団体」から「監理支援機関」へ — 何が変わるのか

監理団体から監理支援機関への再編で変わる3つのポイント(許可制・非営利法人・実地監査)

育成就労制度は、技能実習制度に代わる新しい受け入れの枠組みです。その全体像は親記事「育成就労制度の全体像」で解説していますので、まずはそちらをご覧いただくと理解が深まります。

技能実習制度では、受け入れ企業(実習実施者)と外国人をつなぎ、監査や相談支援を担う「監理団体」が制度の要でした。育成就労制度では、この役割を担う機関が 「監理支援機関」 へと再編されます。単なる名称変更ではありません。いちばんの変化は「許可制」になる点 です。許可基準は技能実習の監理団体に比べて厳格化されるとされています。

ポイント1:許可制になる(許可を受け直す必要がある)

出入国在留管理庁の説明によると、技能実習制度の監理団体であっても、改めて監理支援機関の許可を受けなければ、監理支援業務を行うことはできません(育成就労制度Q&A Q33)。「これまで監理団体だったから自動的に移行できる」わけではない、という点が実務上の最重要ポイントです。

ポイント2:許可申請の受付スケジュール

監理支援機関の許可申請スケジュール(2026年4月15日受付開始〜2027年3月31日受付終了・2027年4月1日施行)

施行(2027年4月1日)前であっても、許可申請の受付は先行して行われます。出入国在留管理庁によれば、施行日前の許可申請は 令和8年(2026年)4月15日から令和9年(2027年)3月31日まで に受け付けられるとされています(Q&A Q33)。受け入れを継続したい企業にとっては、提携先の監理団体が この期間内にきちんと許可申請を進めているか を確認することが、空白期間を作らないための第一歩になります。


監理支援機関の主な要件

ここからは、監理支援機関として許可を受けるための主な要件を整理します。いずれも政省令・運用要領で細目が確定する点にご留意ください。

要件1:非営利法人であること

監理支援機関は、本邦(日本国内)の営利を目的としない法人 に限られます(外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律〔令和6年法律第60号〕第25条第1項第1号。出入国在留管理庁の解説資料に基づく)。具体的には、以下のような法人が対象として挙げられています(※下記は「等」を付した例示で、施行までに省令で細目が確定します)。

区分 具体例
経済団体・事業協同組合等 商工会議所、商工会、中小企業団体 等
職業訓練・農林水産関係 職業訓練法人、農業協同組合、漁業協同組合 等
公益法人 公益社団法人、公益財団法人 等
その他 監理支援業務を行う特別の理由があり、業務監査の体制を有する法人

株式会社のような営利法人は、原則として監理支援機関にはなれません。この点は技能実習の監理団体と同じ考え方です。

要件2:監理支援業務に従事する常勤役職員の人数

監理支援機関には、業務量に見合った人員体制が求められます。出入国在留管理庁のQ&A Q34によると、要件は次のとおりです。

  • 監理支援事業の実務に従事する 常勤の役職員が2人以上 であること
  • かつ、次の(ア)(イ)をいずれも満たすこと
  • (ア) 監理支援を行う受入れ機関(育成就労実施者)の数を 8で割って得た数 を、常勤役職員の数が上回ること
  • (イ) 監理支援を行う育成就労外国人の数を 40で割って得た数 を、常勤役職員の数が上回ること

少しわかりにくいので、目安として言い換えます。おおむね「役職員1人あたり、受入れ機関は8者未満・育成就労外国人は40人未満」 が体制の目安になります。ただし規定の本質は「実施者数÷8」「外国人数÷40」という計算式を役職員数が上回るべきとする下限要件である点に注意してください。受け入れ先や外国人が増えれば、その分だけ常勤役職員を増やす必要があります。

この人数要件は、許可を受けるときだけの条件ではありません。常勤役職員の数は許可の基準(法25条1項2号)であり、基準に適合しなくなったと認められるときは、許可の取消しや監理支援事業の停止命令の対象になり得ます(法37条1項1号・2項)。許可の有効期間を更新する際も、基準を満たしていなければ更新されません(法31条3項)。担当者の退職や受け入れ人数の増加で計算式を割り込めば、提携先の監理支援機関がこの状態に置かれることになります。受け入れを続ける立場からは、提携先の人員体制にどれだけ余裕があるかを契約前に確かめておきたいところです。

要件3:定期的な実地監査

監理支援機関は、受け入れが適正に行われているかを継続的にチェックする役割を担います。出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について(概要)」によると、監査の頻度は次のとおりです。

状況 実地監査の頻度
通常の受け入れ 監理支援責任者の指揮の下、育成就労実施者に対し 3か月に1回以上(施行規則67条1号)
労働者派遣等監理型の場合 派遣元事業主等・派遣先に対し、育成就労外国人を業務に従事させている期間中 3か月に1回以上(施行規則67条2号)
└ 同・その期間が3か月に満たない場合 その期間中に 1回以上
└ 同・派遣元がその事業所で育成就労外国人を業務に従事させない場合 1年に1回以上

監査は「実地により」行うものと規定されています。書類の確認だけでなく、現場に足を運ぶ運用が前提となっている点にご留意ください。


外部監査人制度 — 行政書士が関与できる場面

外部監査人になれる資格(弁護士・社会保険労務士・行政書士/所定講習・外部性が必要)

監理支援機関の適正さを外部からチェックする仕組みが「外部監査人」です。ここは私たち行政書士の業務とも関わるため、丁寧に解説します。

外部監査人とは — 行政書士も対象資格に含まれる

出入国在留管理庁のQ&A Q36によると、外部監査人は、弁護士・社会保険労務士・行政書士の有資格者 その他育成就労の知見を有する者であることが求められます。法人形態(弁護士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人)でも可とされています。

つまり、行政書士は、所定の講習受講などの要件を満たせば外部監査人に就任しうる立場にあります。 在留資格や受け入れ実務に明るい行政書士は、監理支援機関の適正運営をチェックする外部監査人として、制度上の役割を担える資格対象に含まれています。ただし、就任には所定の講習受講等が前提とされ、後述する「外部性」を満たす必要があります。資格があれば誰でも自動的に就任できるわけではない点にご注意ください。

条文の建て付けとして押さえておきたいのは、「資格」と「講習」は選択ではなく両方が必要だという点です。施行規則47条2項は、1号(過去3年以内の告示講習の修了)と2号(弁護士・社会保険労務士・行政書士 等)を含む各号の「いずれにも該当する者」と定めています。ただし当分の間は、技能実習制度の外部監査人向け講習を修了した人も、この講習を修了した者とみなされます(同規則 附則4条3項)。

外部監査人になれるのは、弁護士・社会保険労務士・行政書士(それぞれの法人もOK)、またはそのほか育成就労にくわしい人です。あわせて、過去3年以内に国(法務大臣・厚生労働大臣)が告示で定めた外部監査人向けの講習を修了している必要があります(当分の間は、技能実習制度の講習を修了した人も選任できます)。一方で「身内ではチェックにならない」ため、就任できない人の範囲も定められています。具体的には、監理支援を受ける(または過去5年以内に受けた)受入れ機関=育成就労実施者やその役職員、その配偶者・二親等以内の親族、監理支援機関じたいの役職員、ほかの受入れ機関や監理支援機関の関係者、海外の送出機関の関係者などは、外部監査人になれません(育成就労法施行規則第47条、出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領」)。

外部監査人の監査頻度 — 「定期」と「同行」の二本立て

育成就労の監理支援機関でも、外部監査人による確認は「定期的な確認」と「監理支援機関の監査への同行」の二類型に整理されています。

外部監査人がチェックする回数は、2種類にわかれています。1つは、監理支援機関の仕事がきちんと回っているかを「3か月に1回以上」定期的に確認するもの。もう1つは、監理支援機関が育成就労実施者(受け入れ先の会社)に対して行う監査に「1年に1回以上」一緒に立ち会って(同行して)確認するものです。これは法律の細かいルールを定めた省令(育成就労法施行規則 第47条)にきちんと書かれています。なお、監理支援機関自身が育成就労実施者を監査する頻度は原則「3か月に1回以上」とされており、外部監査人の定期確認の周期はこれに合わせた形になっています。

この2つは、出向く先が違います。定期の確認は、施行規則47条3項1号ロが「申請者の事業所においてその設備を確認し、及び帳簿書類その他の物件を閲覧すること」と定めており、対象は監理支援機関自身の事業所です。いっぽう同項2号の同行は、監理支援機関が受け入れ企業に対して行う監査に同行するものなので、受け入れ企業の現場に立ち会うことになります。どちらも書面のやりとりだけでは完結しない建て付けであり、外部監査人を依頼する側・引き受ける側の双方にとって、相応の手間を織り込んだ体制づくりが必要です。

「外部性」をどう保つか — 兼務・関与の論点

外部監査人は、その名のとおり「外部の目」であることに意味があります。受け入れ機関や送出機関と密接な関係にある人が監査をしては、チェック機能が働きません。そのため 外部性を保つ観点から、一定の兼務・関与に制限がかかる 趣旨と理解されています。

ここで実務上よく問題になるのが「監理支援機関の顧問契約者が、同じ機関の外部監査人を兼ねてよいか」という点です。これについては見解が分かれます。

  • 弁護士倫理の観点から「顧問が外部監査人を兼ねることには重大な疑義がある」とする専門家の見解があります(一研究者の見解であり、法令上の一律禁止ではありません)。
  • 一方、運用面では「顧問契約があるからといって直ちに『密接な関係』に該当するわけではない」とする整理もあります。

このように両論があるため、当事務所としては 「外部監査人への就任」と「顧問契約」は、別法人・別担当で切り分けて運用するのが安全 と考えています。実際にご相談いただく際は、利益相反が生じない体制をご一緒に設計します。

なお、外部監査人について「監理支援機関の監査に同席してはいけない」と誤解されることがありますが、実際はその逆です。育成就労制度では、外部監査人は監理支援機関が育成就労実施者に対して行う監査に、各事業所につき1年に1回以上「同行」して確認することが求められています(傘下のすべての実施者に毎回同行する必要まではありません)。つまり同席を禁じる規定はなく、むしろ年1回以上の同行チェックが義務づけられています。これは出入国在留管理庁・外国人技能実習機構の公式Q&A(監理支援機関の許可申請関係 7-8)に明記されています。



許可を取った後も続く義務 — 監理支援機関が毎月・毎年やること

ここまでは「許可を受けるための要件」を見てきました。ただ、実務で重くなるのは許可を取った後です。監理支援機関には、監査・訪問指導・帳簿・報告・お金の扱いについて、続けて守るべきルールが定められています。

以下は、育成就労法および同法施行規則(令和7年法務省・厚生労働省令第4号)の条文にもとづく整理です。この省令は2025年9月30日に公布されていますが、本則が施行されるのは制度と同じ2027年(令和9年)4月1日です(同規則 附則1条)。つまり、ここで挙げる義務は「これから始まるルール」であり、現時点で動いているものではありません。提携先を選ぶとき、あるいは自社が監理支援機関の許可を目指すときの見取り図としてお読みください。

監査は3か月に1回以上、訪問指導は1か月に1回以上

混同しやすいのですが、「監査」と「訪問指導」は別のもので、頻度も違います。いずれも「〜以上」と定められた下限である点にご注意ください。

種類 頻度 根拠
監査(定期) 育成就労実施者に対し 3か月に1回以上 施行規則67条1号
監査(労働者派遣等監理型の場合) 派遣元事業主等・派遣先に対し、業務に従事させている期間中 3か月に1回以上(その期間が3か月未満ならその期間中に1回以上/派遣元がその事業所で従事させない場合は1年に1回以上) 施行規則67条2号
臨時の監査 計画の認定取消事由に該当する疑いがあると認めたとき直ちに 施行規則67条3号
訪問指導 1か月に1回以上(実地による確認+必要な指導) 施行規則67条4号

訪問指導には例外があります。その外国人が育成就労の対象となっていた期間の合計が1年を超えている場合は、訪問指導の義務が外れます(施行規則67条4号ただし書)。ここで数えるのはその外国人が育成就労の対象であった期間の通算であり、自社での受け入れ期間だけではありません。転籍してきた方の場合、自社での受け入れが1年未満でも、通算で1年を超えていれば訪問指導の対象外になり得ます。逆に、通算1年に達するまでは、毎月の実地確認と指導が続きます。

「疑いがある」と認めた時点で、直ちに監査する

臨時の監査は、条文の書き方に注意が必要です。施行規則67条3号は、育成就労計画の認定取消事由に「該当する疑いがあると認めたとき」直ちに監査を行うこと、と定めています。「取消事由に該当したとき」ではありません。

つまり条文が求めているのは疑いの段階での実施です。調べた結果「取消事由には当たらなかった」という結論になることは当然あり得ますが、それは監査を行った結果であって、実施しない理由にはなりません。受け入れ企業の側から見ると、労災やハラスメントといったイレギュラーな事態が起きたときに監理支援機関がすぐ動くかどうかは、その機関の運営姿勢がよく表れる場面といえます。

監査では何を見るのか — 面談も宿泊施設も対象

監査の方法も、施行規則67条1号でイからホまで具体的に決められています。

やること
育成就労の実施状況について 実地による確認
育成就労責任者・育成就労指導員から報告を受ける
育成就労外国人の 4分の1以上(その外国人が 2人以上4人以下 の場合は 2人以上)と 面談
実施者の事業所で 設備を確認し、帳簿書類その他の物件を閲覧
育成就労外国人の 宿泊施設その他の生活環境を確認

受け入れ企業として押さえておきたいのは、ホの「宿泊施設その他の生活環境の確認」まで監査の方法に含まれている点です。監査は通常の就業時間帯に行われることが多いため、寮や社宅を確認できるよう、あらかじめ段取りを決めておくとスムーズです。なお、業務の性質上イからホの方法によることが著しく困難なものがある場合は、その方法に代えて他の適切な方法によることができるとされています(同号かっこ書き)。

備える帳簿は9種類、保存は「終了日から1年」

監理支援機関は、法41条により帳簿書類を作成し、監理支援事業を行う事業所に備え置く義務があります。中身は施行規則70条1項で9種類が指定されています。

  • 監理支援を行う育成就労実施者・育成就労外国人の管理簿(1号)
  • 監理支援費に係る管理簿(2号)
  • 雇用関係の成立のあっせんに係る管理簿(3号)
  • 監査報告書(4号)
  • 訪問指導の内容を記録した書類(5号)
  • 入国前講習・入国後講習の実施状況を記録した書類(6号)
  • 外国人から受けた相談の内容と対応を記録した書類(7号)
  • 外部監査の結果を記載した書類(8号/施行規則47条3項各号の書類)
  • 分野ごとの告示で定める帳簿書類(9号)

備え置く期間は「監理支援を行う実施者の行わせている育成就労の終了日から起算して1年間」です(施行規則70条2項)。見落とされやすいのが8号で、外部監査人が出した書類も、監理支援機関の法定帳簿のひとつとして扱われます。

事業報告書は毎年5月31日まで — 外部監査の書類を添えて出す

国への報告は2種類あります。

種類 いつ・どこへ 根拠
監査報告書 監査の終了後遅滞なく作成し、出入国在留管理庁長官・厚生労働大臣へ提出(様式=別記様式第23号) 法42条1項/施行規則71条1項
事業報告書 監理支援事業を行う事業所ごとに作成し、育成就労事業年度ごとに翌育成就労事業年度の5月31日までに提出(様式=別記様式第24号) 法42条2項/施行規則71条2項

事業報告書には、次の3つを添付します(施行規則71条3項)。

  • 直近の事業年度に係る貸借対照表および損益計算書(または収支計算書)
  • 訪問指導の記録の写し
  • 報告年度における外部監査の結果を記載した書類の写し

つまり外部監査人が作成した書類は、監理支援機関の事業報告書に添付されて国に提出されます。 外部監査が形式的なもので済まないと考えられる理由が、この一点にあらわれています。

お金のルール — 集めてよいのは「実費」の4費目だけ

意外に知られていませんが、法28条1項は「いかなる名義でも、手数料又は報酬を受けてはならない」という禁止から始まります。そのうえで2項が例外として、主務省令で定める適正な種類・額の監理支援費を、その用途および金額を明示したうえで徴収できる、と定めています。

費目 中身(いずれも実費に限る
職業紹介費 雇用関係の成立のあっせんに係る事務の費用(募集・選抜の人件費、交通費、外国の送出機関へ支払う費用 等)
講習費 入国前講習・入国後講習の費用(施設使用料、講師・通訳人への謝金、教材費、外国人に支給する手当 等)
監査指導費 監査および指導に要する人件費・交通費 等
その他諸経費 その他、育成就労の適正な実施および育成就労外国人の保護に資する費用

4費目とも条文に「実費に限る」「その額を超えない額」と書かれています(施行規則56条)。さらに監理支援機関は、業務の運営に係る規程と、徴収する監理支援費の内訳を、インターネットで公表しなければなりません(施行規則67条18号)。提携先を検討するときは、この公表内容と実際の請求内訳を見比べるのが分かりやすい確認方法になります。

受け入れ企業にも及ぶ禁止事項

育成就労法の禁止規定は、条ごとに「誰に向けられたルールか」が違います。次の3つは、監理支援機関だけでなく育成就労実施者(受け入れ企業)やその役員・職員にも及ぶものです。

  • 旅券(パスポート)や在留カードを保管することの禁止(法48条1項)
  • 外出その他の私生活の自由を不当に制限することの禁止(法48条2項)
  • 外国人が法令違反を国に申告したことを理由に、育成就労の中止その他の不利益な取扱いをすることの禁止(法49条2項)

いっぽう、違約金を定める契約や貯蓄金の管理の禁止(法47条)は、条文上の名宛人が「監理支援者等」=監理支援機関その他の監理支援を行う者とその役員・職員です(法46条の定義)。受け入れ企業に同種の制約がないという意味ではなく、受け入れ企業側は育成就労計画の認定基準のなかで規律されるという、条文の系統の違いです。

また監理支援機関には、受け入れ企業が労働基準法・労働安全衛生法などの労働法令に違反していると認めるときは、監理支援責任者に是正のため必要な指示を行わせ、指示を行ったときは速やかに関係行政機関に通報する義務があります(法40条4項・5項)。労務管理の実務そのものは社会保険労務士の領域ですが、受け入れ体制を作る段階で労働法令の順守が前提になっている点は、制度の設計として知っておいて損はありません。

経営者が押さえる注意点/よくある誤解

誤解1:「今の監理団体がそのまま監理支援機関になる」 → いいえ。改めて監理支援機関の許可が必要です(Q&A Q33)。提携先が許可申請を予定しているか、必ず確認してください。

誤解2:「許可申請は施行(2027年4月)後でよい」 → 施行前の許可申請は 令和8年4月15日〜令和9年3月31日 に受け付けられます。継続受け入れを目指すなら、この期間の動きが重要です。

誤解3:「外部監査人は弁護士でないと務まらない」 → いいえ。行政書士・社会保険労務士も外部監査人の資格対象に含まれます(Q&A Q36、所定講習等・外部性要件を前提)。

なお、業務の役割分担として、登記手続は司法書士、労使紛争は弁護士、社会保険の手続代行は社会保険労務士 がそれぞれ担います。当事務所は在留資格・許認可を中心に、これら提携先と連携しながら受け入れ体制づくりをサポートします。


Q&A

Q1. うちが提携している監理団体は、自動で監理支援機関になりますか? A. なりません。技能実習の監理団体であっても、改めて監理支援機関の許可を受けなければ監理支援業務は行えません(Q&A Q33)。提携先が許可申請を進めているかご確認ください。

Q2. 監理支援機関は株式会社でもなれますか? A. 原則なれません。本邦の営利を目的としない法人(商工会議所・事業協同組合・公益法人等)に限られます(育成就労法第25条第1項第1号)。

Q3. 監理支援機関には何人の職員が必要ですか? A. 監理支援事業の実務に従事する常勤役職員が2人以上で、かつ「受入れ機関数÷8」「育成就労外国人数÷40」をそれぞれ上回る人数が必要です(Q&A Q34)。受け入れ規模が大きいほど人員も必要になります。

Q4. 行政書士は外部監査人になれますか? A. 資格対象には含まれます。外部監査人は弁護士・社会保険労務士・行政書士の有資格者等が対象とされ、所定の講習受講等・外部性要件を満たせば就任できます(Q&A Q36)。

Q5. 監査はどのくらいの頻度で行われますか? A. 監理支援機関自身による実地監査は、育成就労実施者に対し原則3か月に1回以上です(就労期間が短い場合・派遣で従事させない場合は別途規定)。外部監査人の頻度は、定期的な確認が3か月に1回以上、監査への同行が1年に1回以上です(本文参照)。


チェックリスト(経営者・実務担当者向け)

  • [ ] 提携中の監理団体が、監理支援機関の 許可申請を予定しているか 確認した
  • [ ] 許可申請の受付期間(令和8年4月15日〜令和9年3月31日)を把握した
  • [ ] 自社の受け入れ計画(受け入れ人数)に対し、提携先の 人員体制(常勤役職員数) が足りるか見当をつけた
  • [ ] 監査が 3か月に1回以上、訪問指導が 1か月に1回以上 行われる前提を理解した(訪問指導は、その外国人が育成就労の対象であった期間の通算が1年を超えると対象外)
  • [ ] 外部監査人の 外部性・利益相反 の論点を理解した(顧問と外部監査人の切り分け)
  • [ ] 施行日 2027年4月1日 までに必要な準備をスケジュール化した

最新情報ボックス

  • 施行日:2027年(令和9年)4月1日(Q&A Q3・Q7で明記/施行期日を定める政令で確定済み)
  • 許可申請の施行前受付:令和8年4月15日〜令和9年3月31日(Q&A Q33)
  • 外部監査人の細目: 外部監査人の資格・講習・外部性の要件は育成就労法施行規則第47条と運用要領で、頻度(定期3か月・同行1年)も同規則で定められています(本文参照)。細目は今後改正されることがあるため、就任検討時は最新の規則・運用要領をご確認ください。
  • 非営利法人の具体的列挙は「等」を付した例示であり、施行までに省令等で細目が確定します。

まとめ

技能実習の「監理団体」は、育成就労制度では 「監理支援機関」 へと再編され、許可制 になります(許可基準は厳格化されるとされています)。これまでの監理団体も、改めて許可を受けなければ業務を続けられません。要件としては 非営利法人であること・業務量に応じた常勤役職員(実施者数÷8/外国人数÷40を上回る人数)・原則3か月に1回以上の実地監査 が柱になります。そして 外部監査人には行政書士も資格対象として含まれる 点は、受け入れ企業にとっても、私たち専門家にとっても押さえておきたいポイントです(就任には所定講習・外部性要件を満たす必要があります)。

監理支援機関・外部監査人のご相談はやさしい行政書士事務所へ

制度はまだ施行前で、細部は今後の政省令・運用要領で確定します。「自社の受け入れを止めないために、いつ・誰が・何を準備すればよいか」を整理したい経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。在留資格・許認可を中心に、提携の社会保険労務士・弁護士等とも連携しながら、御社に合った受け入れ体制づくりをお手伝いします。外部監査人就任にも、事実ベースで丁寧に対応します。

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出典

  • 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001452485.pdf
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について(概要)」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001451331.pdf
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」(施行期日を定める政令等の公式案内を含む) https://www.moj.go.jp/isa/03_00163.html
  • 外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(令和6年法律第60号)(e-Gov法令検索/令和9年4月1日施行版) https://laws.e-gov.go.jp/law/428AC0000000089/20270620_506AC0000000060
  • 外国人技能実習機構(OTIT)育成就労関連 https://www.otit.go.jp/employment_for_skill_development/
  • 外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則(令和7年法務省・厚生労働省令第4号)(e-Gov法令検索/令和9年4月1日施行版) https://laws.e-gov.go.jp/law/507M60000110004/20270401_508M60000110003

免責

本記事は2026年8月時点の公開情報(育成就労法および同法施行規則の条文を含む)をもとに作成した一般的な解説であり、特定の事案に対する法的助言ではありません。育成就労制度は施行前の新制度であり、要件・数値・様式は今後の政省令・運用要領により変更・確定される可能性があります。実際の許可申請・受け入れにあたっては、必ず出入国在留管理庁などの最新の公式情報をご確認のうえ、個別具体的な判断は専門家にご相談ください。


執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(登録番号 第12082434号) 〒257-0003 神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E / TEL 0463-57-8330 在留資格・建設業許可・補助金申請などを中心に、外国人受け入れ企業の体制づくりを支援しています。

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宮本 雄介
やさしい行政書士事務所 代表。行政書士(登録番号 第12082434号/神奈川県行政書士会所属)。2011年に行政書士試験に合格し、2012年に開業。以来1,000件以上の相談に対応してきました。建設業許可・経営事項審査(経審)、補助金、会社設立、在留資格、相続を取り扱い、なかでも建設業の許認可を中心にしています。弁護士事務所・社労士事務所での実務経験と、複数企業の社外取締役の経験を持ち、手続きの代行だけでなく経営の視点からも助言します。神奈川県秦野市を拠点に、県内を中心に全国の事業者をサポートしています。