外国人法務

特定技能「届出」が年1回に — 受入企業がやるべき定期届出の最新ルール

特定技能の定期届出が年4回から年1回になったことを解説するアイキャッチ

執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介


「特定技能の届出って、3か月に1回じゃなかったっけ?」「そういえば今年から年1回になったと聞いたけど、いつ・どの様式で出せばいいのか分からない」——特定技能外国人を受け入れている建設業・飲食業の経営者や実務担当の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。

実は、特定技能の受入企業(特定技能所属機関)が出す「定期届出」は、令和8年(2026年)4月から、四半期ごと(年4回)から1年に1回へとまとめられました。すでに適用されているルールですので、毎年きちんと対応が必要な実務です。

この記事では、外国人を受け入れる事業者の方に向けて、何がどう変わったのか、いつ・どの様式で・どうやって出すのかを、専門用語をかみくだいて整理します。あわせて「年1回になったのは定期届出だけで、面談や随時届出は別」という誤解しやすいポイントもはっきり書き分けます。やさしい行政書士事務所(神奈川県秦野市)の代表・宮本雄介が、在留資格実務の視点で解説します。

【最初にご確認ください】 – 本記事の中心テーマである「定期届出の年1回化」は、令和8年(2026年)4月からの提出に適用されています(この時期以降の提出に新しい年1回の様式を使用します)。 – 一方で、後半で触れる「支援委託の登録支援機関への限定」などは、令和9年(2027年)4月1日施行で、施行時期がまったく異なります。混同しないようご注意ください。 – 数値・様式・要件は今後の運用で更新される可能性があります。提出前には必ず出入国在留管理庁の最新の公式情報をご確認ください。

そもそも「定期届出」とは? 3種類の届出を整理する

特定技能外国人を受け入れている企業には、入管(出入国在留管理庁)への届出義務があります。届出は大きく分けて「定期届出」「随時届出」、そして届出ではありませんが「定期面談」があり、この3つは別物です。まずここを区別しておくと、今回の改正が理解しやすくなります。

種類 内容 タイミング 今回の改正での変化
定期届出(書面提出) 受入れ・活動・支援の実施状況を定期的に報告 1年に1回(改正前は四半期ごと) ★これが年1回に変わった
随時届出(書面提出) 契約変更・支援困難・基準不適合など、事由が起きたつど報告 事由発生日から14日以内 変わらず(従来どおり)
定期面談 登録支援機関等が本人・監督者と面談 3か月に1回以上 変わらず(従来どおり)
特定技能の3つの届出・面談の違い(定期届出は年1回・随時届出は14日以内・定期面談は3か月に1回)

ポイントは一つ。今回「年1回」になったのは「定期届出」という書面の提出だけです。「届出が年1回でいいなら、面談も年1回でいいんだ」という理解は誤りですので、ここを取り違えないようにしてください。

何が変わった? 四半期ごと → 年1回へ(令和8年4月から)

これまで特定技能所属機関の定期届出は、3か月ごと(年4回)の提出が必要でした。受け入れ件数が多い企業ほど、四半期ごとの書類作成は大きな事務負担になっていました。

これが、出入国管理及び難民認定法施行規則の改正により、令和8年(2026年)4月からの提出分について「1年に1回」へとまとめられました。届出の頻度が変わっただけでなく、届出項目の内容も見直されています。

事業者にとっては、年4回 → 年1回へと提出回数が4分の1になり、事務負担が大幅に軽くなった改正といえます。ただし「回数が減った=楽になった」だけで終わらせると、提出時期の管理や様式の変更を見落としかねません。次の章で具体的に確認しましょう。

いつまでに出す? 対象期間と提出期間

年1回の定期届出は、対象期間提出期間が決まっています。

  • 対象期間:対象年の 4月1日〜翌年3月31日(1年分)
  • 提出期間:その翌年の 4月1日〜5月31日(2か月間)

つまり「4月始まり・3月締め」の1年分をまとめて、年度が明けた4月〜5月のあいだに提出する形です。

たとえば、対象期間が2025年4月1日〜2026年3月31日であれば、その翌年の2026年4月1日〜5月31日のあいだに提出します。

ここで注意したいのが対象範囲です。対象期間中に1日でも特定技能外国人を受け入れていれば、届出の対象になります。期間の途中で退職した方がいても、その方を含めて報告が必要です。「今は在籍していないから出さなくていい」と判断してしまうと届出漏れになりますので、対象期間内に在籍した実績を基準に考えてください。

様式が一本化された ——「参考様式第3-6号」へ

今回の改正では、提出する様式(書式)も変わりました

これまで定期届出では、

  • 「受入れ・活動状況に係る届出書」
  • 「支援実施状況に係る届出書」

という2つの書類を別々に作成する必要がありました。

これが、「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号)」という1つの様式に一体化されました。書類が一本化されたことで、作成・提出の手間も整理されています。

この様式の正式名称は「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」、様式番号は参考様式第3-6号です(出入国在留管理庁の様式一覧に「第3-6号【定期届出】受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」として公開されています)。様式は今後改定されることもあるため、提出前に出入国在留管理庁の公式サイトで最新の様式をご確認ください。

どうやって出す? 3つの提出方法

特定技能の定期届出の3つの提出方法(オンライン・窓口持参・郵送)

定期届出は、次のいずれかの方法で提出できます。

提出方法 内容 事前準備
オンライン 出入国在留管理庁の電子届出システムから提出 事前に「電子届出システム利用者情報登録届出書」を窓口または郵送で提出して利用登録が必要
窓口持参 管轄の地方出入国在留管理官署の窓口に持参
郵送 管轄の地方出入国在留管理官署へ郵送

入管庁の電子届出システムの案内では、オンラインでの提出が案内されています。オンラインを使うには、事前に「電子届出システム利用者情報登録届出書」を窓口または郵送で出し、利用者登録を済ませておく必要があります。なお、すでに在留申請オンラインシステムの認証IDをお持ちの場合は、その同じIDで届出も行えます。

年1回とはいえ提出期間は4〜5月の2か月に限られます。オンライン利用には事前登録が要るため、初めて使う方は提出シーズンの直前ではなく、早めに利用者登録を済ませておくのが安全です。

経営者が押さえる注意点・よくある誤解

特に取り違えやすいポイントを、改めて整理します。

誤解1:「届出が年1回になったから、面談も年1回でいい」 → 誤りです。定期面談は従来どおり3か月に1回以上の実施が必要です。一定のルール内でオンライン面談も可能になりましたが、1年に1回以上は対面が望ましいとされています。年1回化されたのは、あくまで書面の「定期届出」だけです。

誤解2:「年1回でいいなら、何かあっても次の届出まで待てばいい」 → 誤りです。契約の変更・支援委託契約の変更・支援の実施が困難になった・受入れが困難になった・基準に適合しなくなった・出入国/労働関係法令に違反した、といった事由が起きたときは「随時届出」として、事由発生日から14日以内に届け出る必要があります。随時届出は今回の改正でも変わっていません。

誤解3:「途中で辞めた人は報告しなくていい」 → 誤りです。対象期間中に在籍していた方は、途中退職者も含めて届出の対象です。

届出を怠ったときの不利益は、入管法にきちんと根拠があります。特定技能所属機関の届出義務は入管法第19条の18に定められていて、定期届出のうち「受け入れている外国人の氏名や活動内容など」(同条第2項第1号)の届出を怠ったり、ウソの届出をしたりすると、第71条の4第1号により「30万円以下の罰金」の対象になります。また、支援の実施状況などそれ以外の事項(同号以外)の届出を怠った場合は、第77条の2第1号により「10万円以下の過料」の対象です。さらに、罰則とは別に、届出をきちんと出していないと、受け入れている外国人の在留期間更新などの審査で事実確認が慎重に行われたり、新規の受入れに影響が及んだりすることもあります。「出し忘れても罰金などないだろう」と軽く考えず、期限内の提出を徹底しましょう。

今後の動き——「支援委託の登録支援機関への限定」(2027年4月施行予定)

時期が異なる2つの改正(定期届出の年1回化は2026年4月から適用済み・支援委託の限定などは2027年4月施行予定)

ここまではすでに適用されている(令和8年4月から)話でした。最後に、これと混同しやすい今後の予定に触れておきます。

令和6年法律第60号による改正入管法では、特定技能1号の義務的支援の委託先を、登録支援機関に限定するなどの見直しが盛り込まれています。これは政省令により、令和9年(2027年)4月1日に施行されます(施行期日を定める令和7年政令第340号〔令和7年10月1日公布〕)。

つまり、

  • 定期届出の年1回化 … 令和8年(2026年)4月から 適用済み
  • 支援委託の登録支援機関への限定など … 令和9年(2027年)4月 施行予定

と、施行時期がまったく異なります。今回の年1回化の話と、2027年の見直しを混ぜて理解しないようご注意ください。

なお、技能実習制度に代わる育成就労制度も令和9年(2027年)4月1日施行が政令で定められています。制度全体の見取り図は、別記事で解説しています。 👉 育成就労制度の全体像はこちら

よくある質問(Q&A)

Q. 次の定期届出は、いつ・どの期間分を出せばいいですか? A. たとえば、対象期間が2025年4月1日〜2026年3月31日であれば、その翌年の2026年4月1日〜5月31日のあいだに提出します。以後も「4月〜翌3月分を、翌4〜5月に提出」というサイクルです。

Q. 期の途中で特定技能の外国人が退職しました。届出は必要ですか? A. 対象期間中に1日でも受け入れていれば届出の対象です。途中退職者も含めて、その対象期間の状況を報告してください。

Q. 届出が年1回になったので、面談も年1回でよいのでは? A. いいえ。定期面談は従来どおり3か月に1回以上です。年1回化されたのは書面の「定期届出」だけで、面談の頻度とは別の話です。

Q. オンラインで出したいのですが、すぐ使えますか? A. 事前に「電子届出システム利用者情報登録届出書」を窓口または郵送で提出し、利用者登録を済ませる必要があります。在留申請オンラインシステムの認証IDをお持ちなら同じIDで利用できます。提出期間が4〜5月に限られるため、登録は早めに済ませておくと安心です。

Q. 2027年に「支援は登録支援機関にしか頼めなくなる」と聞きましたが、もう始まっていますか? A. それは令和9年(2027年)4月1日に施行される、別の見直しです。今回の定期届出の年1回化(令和8年4月から)とは時期が異なります。混同にご注意ください。

受入企業の定期届出チェックリスト

  • ☐ 定期届出が「年1回(4月〜翌3月分を翌4〜5月に提出)」に変わったことを社内で共有したか
  • ☐ 対象期間中に在籍した特定技能外国人を、途中退職者も含めて把握できているか
  • ☐ 新様式「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号)」を使う準備があるか
  • ☐ オンライン提出の利用者登録を済ませているか(初めての場合は早めに)
  • ☐ 定期面談(3か月に1回以上)を別途、継続して実施しているか
  • ☐ 契約変更などの事由が起きたら、14日以内に随時届出を出す体制があるか
  • ☐ 2027年4月施行予定の見直し(支援委託の登録支援機関への限定など)の動向を把握しているか

まとめ

  • 特定技能の定期届出は、令和8年(2026年)4月から「四半期ごと → 年1回」にまとまりました(適用済み)。
  • 対象期間は4月〜翌3月、提出は翌4〜5月(例:2025年度分は2026年4〜5月に提出)。対象期間に在籍した方は途中退職者も含めて対象です。
  • 様式は「参考様式第3-6号」に一体化。提出はオンライン・窓口・郵送が可能で、オンラインは事前登録が必要です。
  • 年1回になったのは「定期届出」だけ。定期面談(3か月に1回)・随時届出(14日以内)は従来どおりです。
  • 2027年4月施行予定の見直しとは時期が別なので混同しないこと。
特定技能・在留資格のご相談はやさしい行政書士事務所へ

定期届出は回数が減って事務負担は軽くなりましたが、その分「いつ・どの様式で・誰を対象に」を取り違えると届出漏れにつながります。やさしい行政書士事務所では、建設業・飲食業をはじめとする特定技能の受入れ実務について、定期届出の作成・提出から随時届出、特定技能の更新までサポートします。登記が必要な場面は司法書士、労務トラブルは社労士・弁護士など、提携先と連携して対応します。

やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介 〒257-0003 神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E 📞 0463-57-8330

特定技能・在留資格のご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。


出典(いずれも公式情報)

  • 出入国在留管理庁「令和7年4月1日施行の省令改正について」 https://www.moj.go.jp/isa/10_00222.html
  • 出入国在留管理庁(関連告知) https://www.moj.go.jp/isa/10_00225.html
  • 出入国在留管理庁「電子届出システム」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/online/i-ens_index.html
  • 出入国在留管理庁「特定技能制度」 https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri10_00002.html
  • 公益財団法人 国際人材協力機構(JITCO)お知らせ https://www.jitco.or.jp/ja/news/article/38579/

【免責事項】 本記事は、公開時点で入手可能な公的情報にもとづく一般的な解説です。特定技能の届出に関する要件・様式・数値・運用は今後変更される可能性があり、個別の事案について法的効果を保証するものではありません。実際の届出・申請にあたっては、出入国在留管理庁などの最新の公式情報をご確認のうえ、専門家にご相談ください。

執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(登録番号 第12082434号)(〒257-0003 神奈川県秦野市南矢名2123-1 オレンジハイツ今井2E/TEL 0463-57-8330)

関連記事

ABOUT ME
やさしい行政書士事務所のマスコット猫
宮本 雄介
やさしい行政書士事務所 代表。行政書士(登録番号 第12082434号/神奈川県行政書士会所属)。2011年に行政書士試験に合格し、2012年に開業。以来1,000件以上の相談に対応してきました。建設業許可・経営事項審査(経審)、補助金、会社設立、在留資格、相続を取り扱い、なかでも神奈川県の建設業者の許認可を得意としています。弁護士事務所・社労士事務所での実務経験と、複数企業の社外取締役の経験を持ち、手続きの代行だけでなく経営の視点からも助言します。神奈川県秦野市を拠点に、県内の事業者をサポートしています。