執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県行政書士会所属/登録番号 第12082434号/神奈川県秦野市)
※この記事は、神奈川県知事許可・一般建設業を前提に、初めてご自身で申請する方へ向けて書いています。
目次
「行政書士に頼まず、自分で申請できないかな?」と思っているあなたへ
「建設業許可、そろそろ取らないとマズいな…」
そう思って調べ始めたものの、こんなふうに迷っていませんか。
- 書類の種類が多すぎて、何から手をつければいいか分からない
- 行政書士に頼むとお金がかかる。できれば自分でやりたい
- でも、もし申請を間違えて差し戻されたら…?
結論からお伝えします。
建設業許可は、自分で申請して取得することも十分に可能です。実際に、ご自身で手引きを読み込んで取られる事業者さんもいます。
ただし、つまずきやすいポイントが、はっきりと存在します。そして、つまずく場所はだいたい決まっています。
この記事では、神奈川県で建設業許可をサポートしている立場から、自社申請でよくある失敗7つと、その回避策を具体的にお伝えします。「自分でやるか、頼むか」を判断する材料にしてください。
まず押さえたい。建設業許可の「要件5本柱+社会保険」

失敗の話に入る前に、土台をそろえます。
建設業許可をもらうには、6つの要件すべてを満たす必要があります(神奈川県の手引きでは「適正な経営体制」「適切な社会保険加入」「営業所技術者等」「誠実性」「財産的基礎等」「欠格要件等」の6項目として整理されています)。ここでは、よく言われる「5本柱+社会保険」の形でやさしく並べます。
① 経営業務の管理責任者(経管)
➡ 建設業の経営を切り盛りしてきた人が社内にいること。
社長さんや役員さんが、建設業の経営経験を業種を問わず5年以上持っているのが基本です。会社に常勤していることも必要です。
② 専任技術者(専技)
➡ その業種の技術を分かっている人が、営業所に常勤していること。
国家資格を持っているか、または実務経験10年などで証明します。
③ 財産的基礎(原則500万円)
➡ お金の体力があること。
一般建設業なら、自己資本500万円以上、または500万円以上の資金を調達できる能力があればOKです。
④ 誠実性
➡ 契約でウソやごまかしをするおそれがないこと。過去の処分歴などが見られます。
⑤ 欠格要件に該当しない
➡ 破産・一定の刑罰・暴力団関係など、許可を出せない事情がないこと。
+ 社会保険への加入
➡ 健康保険・厚生年金・雇用保険。加入が要件になっています。入るべき会社が未加入だと、それだけでつまずきます。
ここまでが土台です。「ウチは大丈夫そうだな」と思えたでしょうか。それでは、本題の「よくある失敗」へ進みます。
自社申請でよくある失敗7つ

失敗① 経管の「常勤」と「経験年数」を、書類で証明できない
いちばん多いのがこれです。
「社長が20年やってるんだから経管は問題ない」——気持ちは分かります。でも、役所は「事実」ではなく「書類」で判断します。
必要なのは、次の2つを客観的に・矛盾なくそろえることです。
- 常勤していることが分かる資料
- 建設業の経営を5年以上やってきたことが分かる資料(契約書・注文書・請求書・入金記録など)
「あったはずの請求書が見つからない」「期間が途切れている」で止まる方が本当に多いです。
💡 回避策:まず通帳・契約書・確定申告書控えを5年分、机に並べてみてください。期間に「穴」がないかを最初に確認します。
失敗② 専技の「資格」または「実務経験10年」の裏づけが足りない
専技も、証明でつまずきます。
資格があれば資格者証で済むことが多いですが、実務経験10年で証明する場合が要注意です。
工事の実績を、契約書や注文書などで裏づける必要があります。毎月のように工事の証拠が必要になる場合もあり、「10年分の書類を集めきれない」というケースが起きがちです。
💡 回避策:資格で証明できないか先に確認します。実務経験で行くなら、どの書類で何年分を埋めるか、早めに棚卸しを。
失敗③ 財産的基礎「500万円」の残高証明、取るタイミングを間違える

「口座に500万あるから大丈夫」——ここに落とし穴があります。
残高証明書は、取得のタイミングと有効期限が決まっています。神奈川県の手引きでは、申請日以前1か月以内の残高証明が求められる扱いになっています。
つまり、早く取りすぎても、申請が遅れても、期限切れでやり直しになります。
💡 回避策:残高証明は「書類が全部そろって、もうすぐ出せる」という段階で取りに行きます。最後の方の作業です。
失敗④ 申請する「業種」を選び間違える
建設業の許可は29業種に分かれています。「ウチは何でもやるから一式工事で」と考えると、ズレます。
一式工事の許可があっても、500万円以上の専門工事を単独で請け負うことはできません。実際に請け負う工事と、選ぶ業種がずれていないか。ここを合わせておかないと、せっかく許可を取っても活かしきれません。
💡 回避策:直近の工事を一覧にして、「これは何工事か」を1件ずつ当てはめます。ここは判断が難しいので、迷ったら相談を。
失敗⑤ 確認資料の不足・原本確認の見落とし
申請書そのものは書けても、添付する確認資料でつまずきます。
役所は、会社が自分で作った書類より、第三者が発行した公的な資料(年金記録など)を重く見る傾向があります。書類同士に矛盾があると、補正(直し)を求められます。
原本の提示が必要な書類を見落として、窓口でやり直し——もよくある光景です。
失敗⑥ 社会保険に入っていない
入るべき会社なのに未加入だと、要件を満たせません。
「一人親方だから」「これから入る予定」では通りません。申請の時点で、適切に加入・届出がされている必要があります。
失敗⑦ 「取って終わり」ではない。決算変更届・更新を溜めてしまう
これは取得後の話ですが、知らずに自社申請した方がいちばん後で困るポイントです。
- 決算変更届:毎事業年度の終了後、4か月以内に毎年提出が必要
- 更新:許可は5年。満了日の3か月前から30日前までに更新申請(過ぎると新規で取り直し)
「許可は一度取れば放っておいてOK」と思い込んで決算変更届を溜めると、更新のときにまとめて出すハメになり、大変な負担になります。
【参考】自社申請で知っておきたい数字
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 軽微な工事(許可が要らない目安) | 1件500万円未満(建築一式は1,500万円未満 等/いずれも税込) |
| 申請手数料(知事・新規・一般) | 9万円(神奈川県/許可とならなくても返還されません) |
| 申請手数料(更新・業種追加) | 5万円 |
| 審査期間の目安 | 新規 約50日/更新 約35日(補正があれば延びます) |
| 財産的基礎(一般) | 自己資本500万円以上 等 |
| 決算変更届 | 毎年・事業年度終了後4か月以内 |
※ いずれも神奈川県知事許可・一般建設業を前提にした目安です。
※ 大臣許可・特定建設業では要件や金額の扱いが変わります。ご自身のケースは必ず最新の手引きでご確認ください。
※ 上記以外の細かい運用(自己資本の判定方法など細部)は、案件により異なります。
自分でやる? プロに頼む? 判断の3つの目安

「自社申請できる」とお伝えしました。では、どう決めればいいか。3つの軸で考えてみてください。
目安1:手間に時間を割けるか
書類集め・記載・窓口とのやり取りには、相応の時間がかかります。本業の合間に集められるかが分かれ目です。
目安2:差し戻し(補正)のリスクをどう見るか
要件の証明・業種選定・確認資料は、つまずきやすいところ。補正が続くと、その都度時間がかかります。一発で通したいなら、専門家のチェックが効きます。
目安3:着工・契約の期限が迫っていないか
ここが一番大事かもしれません。
「許可が下りないと、この工事が受けられない」——そんな期限が迫っているなら要注意です。
審査には新規で約50日かかります。書類の不備で補正が入れば、さらに延びます。自分で進めて時間切れになるのが、いちばん避けたい失敗です。期限があるなら、早めに相談する方が安全です。
まとめ:自社申請は可能。でも「つまずく場所」は決まっている
- 建設業許可は自分で申請して取得することも可能です
- ただし要件の証明・書類・確認資料でつまずきやすい
- 特に経管・専技の証明/500万円の残高証明のタイミング/業種選定は要注意
- 取得後の決算変更届・更新まで見据えておく
- 期限が迫っているなら、時間切れリスクを最優先に考える
「自分でいけそう」と思えたなら、ぜひ手引きを片手に挑戦してみてください。「ちょっと不安だな」「この書類で合ってる?」と感じたら、その時点で一度ご相談ください。着手前のひと確認が、結局いちばん近道になることが多いです。
まずは気軽に。初回相談は無料です

やさしい行政書士事務所は、神奈川県の建設業許可を専門にしています。
「この経歴で経管はいける?」「業種はこれで合ってる?」——そんな入口の疑問だけでも大丈夫です。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
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※本記事は2026年6月時点の情報をもとに、神奈川県知事許可・一般建設業を前提に作成しています。建設業法や運用は改正されることがあります。実際の申請にあたっては、最新の手引き・神奈川県建設業課の取扱いをご確認ください。個別のご事情によって結論は変わります。