執筆・監修:やさしい行政書士事務所 代表行政書士 宮本 雄介(登録番号 第12082434号)|執筆・監修者について
経審(経営事項審査)の審査基準が、令和8年7月1日以降の申請から改正されるとされています。対象は「その他社会性等(W点)」のみですが、CCUS加点の縮小や自主宣言制度の新設など、中小の建設会社の点数に直結する内容です。
この記事では、改正までに何をすべきかを優先順のチェックリストに整理し、「今すぐ・決算期前・中期」の3段構えでやさしく解説します。根拠は記事末尾に示す国土交通省の公表資料です。
目次
結論:経審改正への対策チェックリスト【優先順】
結論からお伝えします。中小企業の建設業者がやるべきことは次の6つです。上から順に着手してください。
- ① 直近の経審結果通知書でW点の内訳を確認する(CCUS・社会保険・建設機械の現状把握)
- ② 改正後の配点でP点(総合評定値)を試算し直す(CCUS加点は縮小の見込み)
- ③ 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」への宣言を検討する(宣言で5点の加点が新設される予定)
- ④ 経審の申請日をいつにするか決める(神奈川県では、現行基準での結果通知を希望する場合は令和8年6月30日以前の申請とされています)
- ⑤ 建設機械の保有状況を棚卸しする(不整地運搬車・アスファルト・フィニッシャが加点対象に追加される予定)
- ⑥ 決算変更届を毎期きちんと出す体制を整える(決算変更届の提出は経審の前提です)

なお、今回の改正で公表されているのはW点の変更のみです。X1(完成工事高)・X2・Y・Zの審査基準の変更は、公表資料には記載がありません。
改正前後の比較表:W点はどう変わる?
改正の内容を一覧にすると次のとおりです。いずれも令和8年7月1日以降の申請で適用とされています。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 社会保険の未加入減点(雇用保険・健康保険・厚生年金) | 各−40点(最大−120点) | 項目自体を削除 |
| 建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度 | 制度なし | 宣言で5点を加点(新設) |
| CCUS就業履歴の蓄積(民間工事を含む全ての建設工事で実施) | 15点 | 10点 |
| CCUS就業履歴の蓄積(全ての公共工事で実施) | 10点 | 5点 |
| 建設機械(W7)の加点対象 | 9機種 | 不整地運搬車・アスファルト・フィニッシャを追加 |
| W点の最低点 | ▲1,837点 | ▲788点 |
| P点の最低点 | 6点 | 163点 |
ポイントは3つです。社会保険の減点項目がなくなり、CCUSの加点が小さくなり、自主宣言の5点が新しく生まれます。
社会保険の加入は令和2年10月以降の建設業許可の要件となっているため、許可業者にとって減点削除は実質的な追い風です。一方、CCUSで15点(または10点)を取っている会社は、何もしないと加点が5点分目減りする計算になります。
建設機械の追加は、令和6年能登半島地震での活用実績などを踏まえたものとされています。台数に応じた加点(最大15点)の枠組み自体は変わりません。
「今すぐ・決算期前・中期」の3段構えで進める
今すぐやること:現状把握と試算
- 直近の経審結果通知書で、W点の内訳(CCUS・社会保険・建設機械)を確認する
- 改正後の配点に置き換えて、P点への影響をざっくり試算する
- 次回の経審申請時期と、入札参加資格の有効期限を一覧にする
特にCCUSの加点を取っている会社は影響の把握が先決です。お金のかからない情報整理だけでも、打ち手の優先順位がはっきりします。
決算期前にやること:加点の仕込み
- 自主宣言制度の公表情報を確認し、宣言の準備を進める
- CCUSの現場・契約情報の登録やカードリーダー等の体制を維持する(配点のみの変更で、要件は維持とされています)
- 不整地運搬車・アスファルト・フィニッシャを保有している場合は、台数と点検関係の書類を整理する
自主宣言の加点は「審査基準日が宣言日以降であり、宣言書と誓約書が提出されていること」が要件とされています。宣言が遅れると、その期の経審では加点を受けられないおそれがあるため、タイミングが重要です。
宣言書・誓約書の様式や提出先などの細かな手続きは、執筆時点の公表資料には記載がありません。最新の情報は国土交通省・神奈川県の公表資料でご確認ください。
中期で取り組むこと:点数戦略の組み直し
- CCUS加点の縮小を前提に、W点だけに頼らないP点全体の戦略を立て直す
- 建設機械の保有計画を、加点対象の拡大を踏まえて見直す
- 自主宣言で誓約した取り組みを継続できる社内体制をつくる
P点は経営状況(Y)や完成工事高(X1)など複数の要素で決まります。W点の改正対応とあわせて全体を底上げしたい方は、経審のP点の上げ方の記事もご覧ください。
決算変更届・経審スケジュールとの関係
経審は、毎年の決算変更届(事業年度終了届)を提出していることが前提の手続きです。未提出の年度があると経審を進められないため、先にさかのぼって提出する必要があります。
心当たりのある方は、決算変更届の出し忘れの記事で対処の流れを確認してください。自社で手続きしたい方には決算変更届を自分で出す方法の記事もあります。
そのうえで、改正との関係で大切なのが「申請日」です。神奈川県の手引きでは、W点の改正は令和8年7月1日の申請分から適用され、現行基準での結果通知を希望する場合は令和8年6月30日以前に申請するとされています。
- 現行のCCUS加点(15点・10点)で結果が欲しい場合は、令和8年6月30日以前の申請を検討する
- 自主宣言の5点を取りたい場合や、社会保険の減点が気になる場合は、7月1日以降の申請で新基準を使う
どちらが有利かは、会社ごとのW点の構成によって変わります。決算日から決算変更届、経審申請までの段取りを逆算して決めましょう。経審そのものが初めての方は、経審のはじめての流れから読むのがおすすめです。
経審改正への備えは、無料の事前確認から

やさしい行政書士事務所は、神奈川県秦野市の建設業に強い行政書士事務所です。許可の新規・更新から決算変更届、経審のスコア改善支援まで、一人親方から中堅ゼネコンまでお手伝いしてきました。
- 決算変更届の提出状況・許可の更新期限の確認は無料です
- 初回相談も無料。費用が発生するのは、税込見積りにご納得いただいてご依頼いただいた後だけです
- 最新の料金は料金表をご覧ください
対応エリアは秦野市を中心に、平塚・厚木・伊勢原・小田原など神奈川県西部、および神奈川県全域です。お電話(0463-57-8330・平日9:00〜18:00)またはお問い合わせフォームからどうぞ。
※税務・登記・法的紛争に関するご相談は行政書士の業務範囲外のため、提携する税理士・司法書士・弁護士をご紹介します。
※本記事は令和8年6月時点の公表資料に基づいています(出典:国土交通省「経営事項審査の主な改正事項(令和8年7月1日施行)」)。施行前の制度のため、内容・数値は年度や今後の改正により変わる可能性があります。最新情報は国土交通省・神奈川県の公表資料でご確認ください。