「うちのお店でも外国人スタッフに接客をお願いしたい」「いま雇っている技人国(技術・人文知識・国際業務)のスタッフ、これから何か手続きが変わるの?」──そんなお声をよくいただきます。😊
2026年4月15日から、就労ビザの代表格である「技術・人文知識・国際業務」(略して”技人国”)に、新しく日本語能力の要件(提出書類)が加わりました。飲食・ホテルなど「人と接する仕事」で外国人を採用する事業者にとっては、知っておきたい改正です。この記事では、何が・誰に・いつから変わったのかを、出入国在留管理庁(入管庁)の公表情報にもとづいて整理します。
📋 この記事でわかること
- そもそも技人国は「現場の接客・調理・配膳」には使えないという大前提
- 2026年4月15日から何が・誰に変わったのか(正しく整理)
- 必要になる日本語レベル(CEFR B2相当)と証明方法
- いま雇っているスタッフの更新はどうなるのか(経過措置)
目次
まず大前提:技人国は「現場の接客・調理・配膳」そのものには使えません
ここが飲食店の採用で一番つまずきやすいポイントです。
技人国は、本来オフィスワーク型のビザです。 通訳・翻訳、海外取引、企画・広報、システムエンジニアなど、大学などで学んだ専門知識や語学力を活かす仕事が対象です。
一方で、いわゆる接客・調理・配膳・皿洗いといった現場作業(単純労働にあたる業務)は、技人国では原則として認められません。 これは今回の改正で変わった話ではなく、以前からの一般的な考え方です(入管庁のガイドラインでも、工場のライン作業・飲食店での接客・ホテルのベッドメイキング等が単純労働の例として整理されています)。
飲食の現場で外国人に働いてもらう場合、通常は次のような別のルートを検討します(いずれも要件・手続きが異なります)。
| 在留資格のルート | 主に想定される働き方 |
|---|---|
| 特定技能(外食業分野など) | 調理・接客・店舗管理といった現場業務が対象 |
| 留学生などの資格外活動許可 | 週28時間以内のアルバイトなど |
| 身分・地位に基づく在留資格(永住者・日本人の配偶者等・定住者など) | 就労内容に制限がない |
つまり「技人国で調理スタッフを雇う」は、そもそも制度の想定外です。今回の日本語要件の話は、あくまで技人国で認められる範囲の”対人業務”(後述)に関係するものです。
今回の改正で何が変わった?(2026年4月15日〜)
出入国在留管理庁は、2026年(令和8年)4月15日以降の申請から、技人国について追加の書類提出を求める運用を始めました。
出典:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
① 誰に関係する?──会社カテゴリー3・4が対象
追加書類が求められるのは、受け入れ企業が「カテゴリー3」または「カテゴリー4」に該当する場合です。カテゴリーは会社の規模や源泉徴収税額などで区分され、中小・小規模の飲食店の多くはこのカテゴリー3・4に入る可能性が高いため、飲食業には身近な改正といえます(自社のカテゴリーは個別確認が必要です)。
対象となる手続きは、在留資格認定証明書交付申請(新規の呼び寄せ)・在留資格変更許可申請・在留資格取得許可申請です。
② 何が追加される?──「対人業務」なら日本語能力の証明
カテゴリー3・4で、かつ「主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合」に、CEFR B2相当の言語能力を証する資料の提出が必要になりました。
入管庁が例に挙げているのは翻訳・通訳や、ホテルフロント業務等の接客です。飲食店でいえば、日本語での接客・お客様対応そのものが仕事の中心になるようなポジションが、この「対人業務」に近いイメージです。
③ 日本語のレベルは?──CEFR B2相当(複数の証明方法あり)
「CEFR B2相当」と認められる証明方法として、入管庁は次のいずれかを示しています。
- 日本語能力試験(JLPT)N2以上を取得している
- BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得している
- 日本の大学を卒業、または日本の高等専門学校・専修学校の専門課程・専攻科を修了している
- 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業している
- 中長期在留者として20年以上日本に在留している
(いずれか一つを満たせば足りる、という位置づけです。詳細な取り扱いは入管庁の最新情報でご確認ください。)
④ 経過措置:更新で同じ仕事を続ける人は原則提出不要
在留期間の更新のときに、以前から継続して同じような業務内容に従事している場合は、この(CEFR B2相当を証する)資料の提出は原則として不要とされています。つまり「今いる技人国スタッフが同じ仕事を続けるだけ」なら、更新時にただちに日本語証明を求められるわけではありません。
ただし入管庁は、「審査の中で必要に応じて提出をお願いすることがあります」との但し書きも付しています(=完全な免除ではありません)。また、この経過措置は「言語能力を用いて対人業務に従事する場合のCEFR B2相当の証明資料」に限った取り扱いです。
※すでに雇用中の方の個別ケース(部署異動・業務内容の変更があった場合など)は取り扱いが変わり得ます。判断に迷う場合はご相談ください。
飲食店の採用実務は、結局どうなる?
ポイントを整理します。
- 調理・配膳など現場作業がメインの採用は、そもそも技人国ではなく特定技能(外食業)などを検討します。今回の日本語要件は直接の対象ではありません。
- 通訳・翻訳や、外国人観光客対応・多言語での接客対応など「言語を使う対人業務」で技人国を使う場合は、会社がカテゴリー3・4なら、2026年4月15日以降の新規・変更申請でCEFR B2相当(JLPT N2以上など)の証明が必要になります。
- すでに雇っている技人国スタッフの更新は、同じ業務を続けるなら追加提出は原則不要(経過措置)。ただし業務内容が変わる場合や、審査上求められた場合は提出が必要になり得ます。
「そもそも自社がどのカテゴリーか」「この仕事は技人国でいけるのか、特定技能にすべきか」の見極めが、採用トラブルを防ぐ最初の分かれ道です。
よくあるご質問(飲食店オーナー様から)
Q. ホールで日本語接客をしてもらう外国人を技人国で雇えますか?
A. 「日本語での接客そのものが業務の中心」の場合、それが技人国の”対人業務”に当たるかは個別判断です。単純な接客・配膳が中心なら技人国では認められにくいのが原則です。カテゴリー3・4かつ対人業務に当たると整理される場合は、日本語(CEFR B2相当)の証明も必要になります。まずは業務内容の切り分けからご相談ください。
Q. 今いるスタッフは何かしないといけませんか?
A. 同じ仕事を続けての更新なら、経過措置で追加提出は原則不要とされています(審査上求められる場合はあります)。業務内容が変わる予定があれば早めにご相談を。
Q. 4月15日より前に出した申請はどうなりますか?
A. 運用は「2026年4月15日以降の申請から」とされています。個別の適用関係は入管庁の案内でご確認ください(判断が必要な場合はお手伝いします)。
まとめ
今回の改正は、「技人国で認められる”対人業務”に、日本語能力(CEFR B2相当)の裏づけを求める」という方向のものです。飲食店にとっては、まず「その仕事は技人国なのか、特定技能なのか」の入口の見極めが何より大切になります。
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※本記事は2026年7月時点で公表されている出入国在留管理庁の情報にもとづく一般的な解説です。制度・要件・様式は改正されることがあり、また個別のケースによって取り扱いが異なります。実際の申請にあたっては必ず最新の一次情報(出入国在留管理庁)をご確認いただくか、当事務所までご相談ください。本記事の内容にもとづく判断・行動の結果について、当事務所は責任を負いかねます。|出典:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html /「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(最終改定 令和8年4月) https://www.moj.go.jp/isa/content/001413895.pdf