「在留資格(ビザ)の更新ができなかった」「気づいたら在留期限が過ぎていた」——今、そんな状況で、眠れない夜を過ごしていませんか。
日本で暮らし続けたいのに、どうしたらいいか分からない。とても心細い状況だと思います。そんなときに、道が残されている場合があります。それが「在留特別許可(ざいりゅうとくべつきょか)」——在留資格を失った状態から、法務大臣の判断で日本での在留を認めてもらう、入管法に定められた特別な制度です。
この記事では、やさしい行政書士事務所(神奈川県秦野市)の代表行政書士 宮本 雄介が、在留特別許可の現行の仕組みを、2024年の法改正に沿って、できるだけ平易に、そして正直に解説します。
やさしい行政書士事務所/代表行政書士 宮本 雄介(神奈川県秦野市)
在留資格(ビザ)の相談・書類作成を扱う行政書士です。入管法の現行の条文と出入国在留管理庁の公表情報にもとづいて、事実と、行政書士にできることの範囲を正直にお伝えします。
- 在留特別許可は、入管法第50条にもとづき法務大臣が裁量で判断する特別な在留の許可です。
- 2024年(令和6年)6月施行の法改正で、本人が正式に「申請」できるようになりました。手数料はかかりません(無料)。
- 申請できる期間には区切りがあります(収容または監理措置のとき〜退去強制令書が発付されるときまで)。
- 許否は法務大臣の裁量で個別に判断され、結果を保証するものではありません。
- 行政書士がお手伝いできるのは、理由書などの書類作成・資料整理・相談支援です。紛争性のある手続きは弁護士の領域です。
本記事は2026年7月時点の情報です。制度は改正が多い分野です。そして、許否は法務大臣の裁量で個別に判断されるため、同じような事情でも結論が変わることがあります。ご自身のケースについては、必ず専門家にご相談ください。
目次
在留特別許可とは? 一言でいうと「特別な事情があるときの在留の許可」
在留特別許可とは、一言でいうと、在留資格がない状態(オーバーステイなど)になった外国人について、特別な事情があると認められる場合に、法務大臣が日本での在留を認める許可のことです。根拠は、出入国管理及び難民認定法(入管法)第50条です。
ここで大切なのは、これが法務大臣の裁量による判断だということです。「この条件を満たせば必ず許可される」という性質のものではありません。あくまで、事情を総合的にみて、個別に判断されます。
2024年の改正で「申請」できるようになりました
以前は、在留特別許可は入管の職権(役所側の判断)で与えられるもので、本人から手続きを起こす仕組みがありませんでした。2024年(令和6年)6月10日に施行された法改正で、本人が正式に「申請」できる手続きが新しくつくられました。あわせて、法務大臣が考慮する事情も入管法のなかで定められました。
- 手数料:かかりません(無料)。
- 申請できる期間:「収容令書によって収容されたとき」または「監理措置に付されたとき」から、「退去強制令書が発付されるときまで」の間です。退去強制令書が出てしまうと在留資格は消滅するため、その前の段階での手続きになります。
- 代理での申請:申請する本人が16歳未満のとき、または病気などの理由で自分で申請できないときは、父・母・配偶者・子・親族が代わって申請できます。
在留特別許可は「退去強制令書が出る前の段階」で判断される特例です。時期を過ぎると手続きができなくなることがあるため、状況に気づいた時点で早めに動くことが大切です。
出典:出入国管理及び難民認定法(入管法)第50条/在留特別許可の申請手続の創設は令和5年法律第56号(令和6年6月10日施行)。出入国在留管理庁の公表情報にもとづく。
なぜ在留資格を失ってしまうのか
「自分は大丈夫」と思っていても、在留資格が不安定になることは、実はよくあります。主なきっかけは次のようなケースです。
- 更新できなかった・忘れていた:在留期間の更新申請が不許可になった、うっかり期限を過ぎてしまった、というケース。
- 在留資格の取り消し:届け出た活動を長く行っていなかったなど、資格の前提が崩れたとき。
- ルールと違う働き方:留学生が資格外活動の許可範囲を超えて働いた、というようなケース。
- 法律違反:刑事事件などが在留に影響することもあります。
在留期間が切れたまま日本にいる状態は「不法残留(オーバーステイ)」にあたり、退去強制の対象になります。どんな理由であっても、気づいた時点で早めに専門家へ相談することが、その後の選択肢を残すうえで大切です。なお、在留資格の更新については、在留資格の更新手数料の値上げについての記事もあわせてご覧ください。技能実習・育成就労の枠組みからの相談は、育成就労(旧・技能実習)についての記事で整理しています。
法務大臣が考える事情——プラスに働くこと・厳しく働くこと
在留特別許可では、法務大臣が次のような事情を総合的にみて判断します。これらは入管法で定められた考慮事情です。どれか一つで決まるわけではなく、全体のバランスで判断される点に注意してください。
プラスに考慮されやすい事情
- 家族関係:日本人や在留資格のある配偶者・子との、実体のある家族生活があること。
- 日本での生活の基盤:在留期間の長さ、その間の法的地位、地域とのつながりなど。
- 在留を希望する理由:日本で暮らし続けたい理由が具体的で、資料で裏づけられること。
- 人道上の配慮が必要な事情:日本で生まれ育った子の就学、治療が必要な病気など。
厳しく働く事情
- 入国の経緯や素行:不法入国であったか、在留中の素行はどうであったか。
- 退去強制の理由となった事実:その内容や程度。
- 重大な前科:無期または1年を超える実刑に処せられた場合など、一定の場合は、人道上の配慮を欠くといえる特別な事情がない限り、許可されないと定められています。
大切なのは、こうした事情を正直に、資料とともに整理して伝えることです。行政書士がお手伝いできるのは、まさにこの「事情を書類の形に整える」部分です。
手続きの大まかな流れ

在留資格がない状態を解決していく手続きは、おおむね次の順序で進みます。ケースによって前後することがあります。
- ①出頭申告:在留資格がない状態を、自ら出入国在留管理庁(地方出入国在留管理局、通称「入管」)に申し出ます。
- ②違反調査:入管が事情を確認します。この段階で収容されることや、収容に代えて監理措置に付されることがあります。
- ③退去強制手続:審査・口頭審理・法務大臣への異議申出という段階を経て、最終的に法務大臣が裁決します。
- ④在留特別許可の判断:この裁決の段階で、退去強制令書が発付される前の分岐として、在留特別許可が与えられることがあります。現行制度では、収容または監理措置のときから退去強制令書が発付されるときまでの間に、本人からの申請もできます。
審査には時間がかかることが多く、数か月から1年以上に及ぶこともあります。この間、在留を希望する理由や事情を示す資料(理由書、家族関係の証明、診断書など)を整えておくことが重要になります。
自分でやるか、専門家に頼むか——行政書士と弁護士の役割分担

手続きをご自身で進めることも、制度上は可能です。ただ、在留特別許可は事情の整理と資料の準備が重要で、専門的な知識が必要になる場面が少なくありません。そこで、どの専門家が何を担うのかを、正直にお伝えします。
行政書士がお手伝いできること
- 在留を希望する理由書などの書類作成。
- 家族関係の証明や診断書など、必要な資料の整理。
- 手続きの流れや、集めるべき資料についての相談支援。
やさしい行政書士事務所では、書類の抜け漏れや、資料どうしの内容の食い違いがないかのチェックにAIも活用しています。あくまで、書類を正確に整えるための補助としての使い方です。
弁護士の領域(行政書士では扱えないこと)
- 退去強制手続における口頭審理の代理。
- 法務大臣への異議申出の代理。
- 退去強制令書の発付処分の取消しなどを求める行政訴訟。
- 収容や仮放免をめぐる、争いのある交渉。
これらは弁護士の担当分野です。当事務所は、こうした領域が必要になる場合には、無理に抱え込まず、弁護士におつなぎする形で連携します。ご自身の状況に合った専門家に相談できるよう、道案内をするのも役割だと考えています。
よくある質問(Q&A)
Q1. 結果が出るまで、どのくらい時間がかかりますか。
A1. ケースによって大きく異なり、数か月から1年以上かかることもあります。期間を確約することはできませんが、その時点で分かる見通しはお伝えするようにしています。
Q2. 費用はどのくらいですか。
A2. 在留特別許可の手続き自体に、国に払う手数料はかかりません(無料)。行政書士に書類作成をご依頼いただく場合の報酬は、状況によって変わります。着手の前にお見積もりをお出しし、ご了承いただいてから進めます。
Q3. 家族も一緒にお願いできますか。
A3. ご家族も在留資格がない状態であれば、あわせて相談されるケースはよくあります。ただし、判断は一人ひとり個別に行われるため、それぞれの事情を丁寧に整理して示す必要があります。
Q4. 過去に問題を起こしたことがあります。相談してもよいですか。
A4. 過去の事情によって判断が厳しくなることはありますが、それだけで相談ができないわけではありません。事実を隠さずにお話しいただくことが、今できることを見極める第一歩になります。
Q5. 自分で手続きして難しかったのですが、途中からでも頼めますか。
A5. これまでの経緯や、すでに提出した書類があれば、それを踏まえて、今の段階でできる書類作成・整理のお手伝いができます。まずは状況をお聞かせください。
まとめ
在留特別許可は、在留資格を失った状態から日本での在留を認めてもらう、入管法第50条にもとづく特別な制度です。2024年6月の法改正で本人が申請できるようになり、手数料はかかりません。ただし、申請できる期間には区切りがあり、許否は法務大臣の裁量で個別に判断されます。
だからこそ、状況に気づいた時点で早めに動き、在留を希望する理由や事情を、正直に、資料とともに整理して伝えることが大切です。本記事は2026年7月時点の情報であり、個別のご事情によって結論は変わります。判断に迷うときは、必ず専門家にご相談ください。
やさしい行政書士事務所では、理由書などの書類作成と相談支援でお手伝いします。弁護士の領域が必要な場合は、無理に抱え込まず、適切におつなぎします。一人で抱え込まず、まずは状況を聞かせてください。
在留資格のことで不安なときは、まずはお気軽にご相談ください。
「ブログを見た」とお伝えいただくとスムーズです。まずはお気軽にどうぞ。😊
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