建設業

建設業の法人化に必要な条件とは?資本金500万円の壁と許可承継までまるごと解説

建設業の法人化と資本金500万円・許可の引き継ぎ

「そろそろ会社にした方がいいのか、迷っている」

神奈川県央エリアで建設業を営む個人事業主さんから、こんなご相談をよくいただきます。

売上が伸びてきた。元請けから「そろそろ法人でお願いしたい」と言われた。跡を継ぐ子どもに許可を引き継ぎたい。理由はさまざまです。

でも、いざ調べ始めると「建設業 法人化 条件」で出てくる情報は、税理士さん向けの節税の話ばかり。肝心の「建設業許可はどうなるのか」が、ちゃんと書かれていません。

この記事では、建設業を法人化するために必要な条件を、行政書士の立場から整理します。特に多くの方がつまずく「資本金500万円の壁」と、「許可の引き継ぎ方」を重点的に解説します。

この記事は、やさしい行政書士事務所(神奈川県秦野市)代表行政書士・宮本雄介が、神奈川県の公式手引き(令和8年度版)と行政書士実務書に基づいて執筆・監修しています。

建設業の法人化とは?個人事業のままではダメなのか

まず整理しておきたいのは、法人化は義務ではないということです。

個人事業主のままでも、建設業許可は取れますし、更新もできます。実際、法人化しなくても長く事業を続けている個人事業主の方はたくさんいます。

それでも法人化を考える理由は、主に3つです。

  • 元請け・金融機関からの信用力を上げたい
  • 社会保険に事業主として正式に加入したい(すでに従業員がいる場合は加入義務があります)
  • 事業承継(子どもや後継者への引き継ぎ)を見据えたい

一方で、法人化には設立費用や決算・税務申告の負担増というデメリットもあります。ここは顧問税理士とも相談しながら判断する部分です。

大事なのはここからです。法人化そのものより、建設業許可をどう引き継ぐかが本当の関門になります。

建設業を法人化する条件|許可を維持するための5つの要件

建設業を法人化するとき許可維持に必要な5つの要件

会社を作るだけなら、資本金1円でも設立できます。でも、建設業許可を持ったまま法人化する、あるいは法人として新たに許可を取るなら、話は別です。

法人(新会社)が、次の5つの許可要件をすべて満たす必要があります。

① 経営業務の管理責任者(経管)の体制

建設業の経営を適正に行える人が、会社の役員として必要です。これを「経営業務管理責任者」、略して「経管(けいかん)」と呼びます。

原則として、建設業の経営経験が業種を問わず5年以上ある人が必要です。個人事業主だったご本人が、そのまま法人の代表や役員になれば、この経験は引き継げます。

ただし、証明には確定申告書の控え・契約書・請求書・入金記録など、客観的な資料が必要です。感覚や記憶だけでは認められません。

② 専任技術者の配置

各営業所ごとに、資格または実務経験を持つ技術者を「専任」で置く必要があります。専任とは、その営業所に常勤し、もっぱらその仕事に従事することです。

個人事業のときに専任技術者だった方が、法人でも同じ営業所で常勤するなら、基本的にはそのまま引き継げます。

③ 財産的基礎(資本金500万円の壁)

一般建設業許可の場合、次のいずれかを満たす必要があります。

  • 自己資本が500万円以上
  • 500万円以上の資金を調達できる能力がある
  • 直前5年間、建設業を継続して営業してきた実績がある

法人を新しく作る場合は3つ目の「継続営業実績」が使えないため、実質的に資本金500万円が一つの目安になります(詳しくは次の章で解説します)。

④ 社会保険への加入

法人化すると、代表者一人だけの会社でも、原則として社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が必要になります。建設業許可では、この加入状況の確認が要件の一つです。

個人事業のときに未加入だった場合は、法人化のタイミングで必ず対応が必要です。

⑤ 誠実性・欠格要件

役員全員について、破産歴、許可取消し後一定期間内でないか、暴力団関係者でないか等が確認されます。役員が増える法人化のタイミングでは、全員分のチェックが必要になる点に注意してください。

資本金500万円の壁を実例でイメージしてみる

「資本金500万円」と言われても、ピンとこない方が多いと思います。ここでは、あくまで一般的なイメージとして考えてみましょう(個別の資産状況によって判断は変わるため、実際の可否は必ず事務所にご確認ください)。

たとえば、個人事業でこれまで500万円以上の自己資本を積み上げてきた方が法人化する場合。その資産を出資金として法人に移せば、資本金500万円の会社として設立でき、財産的基礎の要件をクリアしやすくなります。

逆に、資本金が300万円しかない場合はどうでしょうか。この場合は「500万円以上の資金調達能力」を、金融機関の預金残高証明書等で示す方法もあります。

つまり、資本金500万円ぴったりを用意しなければいけないわけではなく、「自己資本500万円」か「調達能力500万円」のどちらかを満たせればよい、というのがポイントです。

(要確認:資本金額と実際の財産的基礎の充足可否は、法人の決算内容・預金残高等によって個別に判断されます。設立段階でのシミュレーションは事務所にご相談ください)

法人化のときに許可はどうなる?新規許可申請 vs 承継認可

新規許可申請と承継認可の比較

法人化を考えるとき、多くの方が見落としがちなのがここです。「会社を作ること」と「許可を引き継ぐこと」は、別の手続きだという点です。

新規許可申請だと「空白期間」が生まれる

何もせず法人を設立し、あらためて法人として建設業許可を新規に申請すると、審査には標準で約50日かかります。

この間、法人としては無許可の状態です。個人事業の許可はそのまま個人のものなので、法人名義での500万円以上の工事は、許可が下りるまで請け負えません。

これが「許可の空白期間問題」です。取引先との契約や工事の進行に影響が出かねません。

承継認可制度を使えば空白期間なく引き継げる

令和2年10月の建設業法改正で、事業譲渡・合併・分割・相続による許可の引き継ぎを、事前に認可を受ける形で行える「承継認可制度」ができました。

この制度は、個人事業主の法人成りにも使えます。 個人事業主と新設法人の間で事業譲渡契約を結び、「譲渡・譲受け」として承継認可を申請する形です。

認可が下りれば、空白期間なく許可番号を引き継げます。しかも、承継認可の申請手数料は不要です。

承継認可の注意点(期限・要件)

  • 事前申請が必須です。神奈川県の手引きでは、承継日の3か月以上前を目安に申請することが推奨されています。直前の申請だと、承継日までに認可が間に合わず、結局は廃業→新規許可というルートになる可能性があります。
  • 承継の対象は、許可を受けている建設業の全部です。一部の業種だけを引き継ぐことはできません。
  • 承継後も、新設法人自身が経管・専任技術者・財産的基礎など、許可要件のすべてを満たしている必要があります。つまり、上で説明した5つの条件は、承継の場合でも省略されません。

法人化の進め方とスケジュール

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 法人設立の準備(定款作成・資本金の払い込み・登記)
  2. 新設法人が経管・専任技術者・財産的基礎などの許可要件を満たせるか事前確認
  3. 承継認可申請(承継日の3か月以上前を目安に)
  4. 認可後、承継日をもって許可番号を引き継ぎ

会社設立と許可承継を並行して進める必要があるため、司法書士との連携も欠かせません。当事務所では、会社設立から承継認可までを一体で進めるお手伝いをしています。

決算変更届(毎事業年度終了後4か月以内に提出義務があるもの)や社会保険の切り替えなど、法人化後にもやるべき手続きは続きます。この点は[決算変更届についての解説記事](内部リンク:決算変更届の提出期限・必要書類)も参考にしてください。

また、法人化後に公共工事への入札を目指す方は、経営事項審査(経審)の受審が必要になります。経審とは、公共工事の入札に参加するために必要な、会社の実力を点数化する審査のことです。仕組みの基本は[経審とは?何をどう評価されるのか解説記事](内部リンク:経審の基礎知識)で確認してみてください。

やさしい行政書士事務所に依頼するメリット

建設業許可の法人成りは、次の3つの専門知識が同時に必要になります。

  • 会社設立の知識(定款・資本金設計)
  • 建設業許可の要件確認(経管・専任技術者・財産的基礎)
  • 承継認可の期限管理(3か月前ルールを守れるかどうか)

一般的な会社設立の相談窓口では、3つ目の「承継認可」の期限管理まで手が回らないケースが少なくありません。逆に、建設業許可専門の事務所でも、会社設立そのものは対応できないところもあります。

やさしい行政書士事務所は、神奈川県央エリアの建設業者様を対象に、会社設立の準備から建設業許可の事業承継認可まで、ワンストップでご相談いただけます。神奈川県の最新の手引き(令和8年度版)に基づいて、要件確認から申請までを一貫して進めます。

なお、AIも活用して調査・下書きのスピードを上げていますが、要件の判断・書類の最終確認は必ず代表行政書士・宮本雄介が行っています。

まとめ

建設業の法人化には、会社を作ることに加えて、経管・専任技術者・財産的基礎(資本金500万円が一つの目安)・社会保険加入・誠実性という5つの許可要件を、新設法人がクリアする必要があります。

そして、許可を空白期間なく引き継ぐには、法人設立の前から「承継認可」のスケジュールを逆算して動くことが欠かせません。

「うちの場合、資本金はいくら必要?」「承継認可の申請、いつまでに動けばいい?」——こうした個別の判断は、会社の状況によって変わります。

まずは無料相談から

法人化・許可承継のご相談は、無料相談で承っています。まずは今の状況を、お電話でお聞かせください。

やさしい行政書士事務所(代表行政書士 宮本 雄介) 📞 0463-57-8330(神奈川県秦野市)

「今すぐ法人化する予定ではないけれど、条件だけ知っておきたい」というご相談も歓迎です。お気軽にお電話ください。

ABOUT ME
やさしい行政書士事務所のマスコット猫
宮本 雄介
やさしい行政書士事務所 代表。行政書士(登録番号 第12082434号/神奈川県行政書士会所属)。2011年に行政書士試験に合格し、2012年に開業。以来1,000件以上の相談に対応してきました。建設業許可・経営事項審査(経審)、補助金、会社設立、在留資格、相続を取り扱い、なかでも神奈川県の建設業者の許認可を得意としています。弁護士事務所・社労士事務所での実務経験と、複数企業の社外取締役の経験を持ち、手続きの代行だけでなく経営の視点からも助言します。神奈川県秦野市を拠点に、県内の事業者をサポートしています。