まとめ

老後の安心を自分でデザイン「任意後見契約」完全ガイド|行政書士が手続き・費用・注意点を解説

将来、認知症などで判断能力が低下したら、自分の財産はどうなるのだろう? 望まない施設に入れられたりしないだろうか? そんな漠然とした不安を抱えていませんか。元気なうちに、信頼できる人に将来の財産管理や生活のサポートを託すことができる「任意後見契約」。この制度を活用すれば、ご自身の意思で老後の安心を設計できます。しかし、制度の内容や手続きは複雑で、メリット・デメリットを理解しないまま進めると後悔することも。この記事では、1000件以上の相談実績を持つ「やさしい行政書士事務所」が、任意後見契約の基本から、法定後見との違い、具体的な手続き、費用、そして契約時に注意すべき点まで、分かりやすく徹底解説します。訪問相談をご希望の方にも対応可能です。あなたの未来を守るための第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。

任意後見契約とは?~自分の未来を自分で決めるための備え~

まずは任意後見契約がどのような制度なのか、基本的な仕組みと目的を理解しましょう。判断能力があるうちに将来に備え、自分の意思で後見人を選び、託したい内容を決めておく「任意後見契約」の核心に迫ります。やさしい行政書士事務所がその重要性を解説します。

元気なうちに将来を託す「任意後見契約」の仕組み

任意後見契約とは、ご本人が十分な判断能力を持っているうちに、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめご自身で選んだ代理人(任意後見受任者)に、ご自身の生活、療養看護、財産管理に関する事務について代理権を与える契約のことです。民法で定められている「委任契約」の一種とされています。

契約の当事者は以下の通りです。

  • 委任者:ご本人。将来、任意後見人に事務を委任する人。
  • 任意後見受任者:委任者(本人)から将来の事務を託される人。契約締結後、本人の判断能力が低下し、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されると「任意後見人」となります。

任意後見契約で委任できる事務(任意後見人に託せること)は、大きく「財産管理」と「身上保護(身上監護)」の2つに分けられます。

  • 財産管理:預貯金の管理(入出金、振込)、不動産の管理・処分(賃貸契約、売却など※契約内容による)、年金の受領、税金や公共料金の支払い、遺産分割協議への参加など。
  • 身上保護(身上監護):介護サービスの利用契約、入院手続き、施設入所契約、住居の確保(賃貸契約など)、要介護認定の申請など。ただし、任意後見人自身が直接介護を行う(食事の世話、入浴介助など)ことは含まれません。あくまで法的な手続きや契約を代わりに行うことが中心です。

この契約は、公証人が作成する「公正証書」によって結ばなければならないと法律で定められています(任意後見契約に関する法律第3条)。公正証書にすることで、契約内容が明確になり、後日の紛争を防ぐとともに、契約の存在と内容を公的に証明することができます。また、契約内容は法務局に登記され、その証明書(登記事項証明書)を取得することで、任意後見人は対外的に代理権を示すことができます。

重要なのは、任意後見契約は締結しただけでは効力が発生しないということです。実際に効力が生じるのは、本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所に対して「任意後見監督人選任の申立て」が行われ、裁判所が任意後見監督人を選任した時からです。任意後見監督人は、任意後見人が契約通りに適切に仕事をしているかを監督し、家庭裁判所に報告する役割を担います。

💡ワンポイント

やさしい行政書士事務所では、任意後見契約を単なる法律手続きとして捉えるのではなく、お客様一人ひとりの大切な人生設計に関わる重要なプロセスであると考えています。そのため、契約内容を決める際には、お客様の想いや価値観、将来への希望などを丁寧にお伺いし、それを具体的な契約条項に反映させることを最も重視しています。どのような生活を送りたいか、誰に何を託したいか、細かなご希望まで遠慮なくお聞かせください。

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なぜ今「任意後見契約」が必要とされるのか?~超高齢社会と多様化する生き方~

近年、任意後見契約への関心が高まっています。その背景には、日本の社会構造の変化や人々の価値観の多様化があります。

まず、超高齢社会の進展が挙げられます。日本は世界でもトップクラスの長寿国ですが、それに伴い認知症を発症する方の数も年々増加しています。内閣府の高齢社会白書によると、現在65歳以上の高齢者の約5人に1人(約700万人)が認知症になると推計されており、判断能力の低下は誰にとっても他人事ではありません。

また、家族形態の変化も影響しています。核家族化が進み、頼れる親族が近くにいない、あるいは配偶者や子どものいない「おひとりさま」の高齢者も増えています。いざという時に、誰に自分の財産管理や生活のサポートを頼めばよいのか、不安を感じる方が多くなっているのです。

判断能力が低下した後の備えとしては、「法定後見制度」もあります。しかし、法定後見制度では、後見人等は家庭裁判所が選任するため、必ずしも本人が希望する人が選ばれるとは限りません。弁護士や司法書士などの専門家が選任されるケースも多く、「知らない人に自分の財産を任せるのは抵抗がある」と感じる方もいらっしゃいます。また、手続きも本人の判断能力低下後に開始するため、本人の意思を細かく確認することが難しくなる場合があります。

こうした中で、「自分の将来は自分で決めたい」「元気なうちに信頼できる人に託しておきたい」という自己決定権を尊重する考え方が広まり、任意後見契約が注目されるようになりました。任意後見契約であれば、ご自身の意思で後見人を選び、将来のサポート内容を具体的に決めておくことができます。

💡ワンポイント

やさしい行政書士事務所に任意後見契約のご相談に来られる方も、「子どもはいるが遠方に住んでいて迷惑をかけたくない」「信頼できる友人に頼みたい」「自分の意思を確実に反映させたい」など、様々な動機や背景をお持ちです。私たちは、こうしたお客様一人ひとりの想いに寄り添い、「転ばぬ先の杖」として任意後見契約を活用いただくことの重要性をお伝えしています。早めに準備を始めることで、将来への漠然とした不安が具体的な安心へと変わるはずです。

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何が違う?「任意後見」と「法定後見」を徹底比較

将来に備える制度として、任意後見と法定後見があります。どちらが自分に適しているか判断するために、両者の違いを明確に理解することが重要です。後見人の選ばれ方、権限、手続き開始のタイミングなどを比較表も用いて分かりやすく解説します。

後見人の選ばれ方と手続き開始タイミングの違い

任意後見制度と法定後見制度の最も大きな違いの一つは、後見人を誰が選ぶか、そしていつ手続きが始まるかという点です。

任意後見制度の場合、後見人となる人(任意後見受任者)は、ご本人が元気で判断能力が十分なうちに、自らの意思で選びます。信頼できる家族や友人、あるいは弁護士、行政書士などの専門家の中から、ご自身が「この人になら任せられる」と思う相手を選び、任意後見契約を結びます。つまり、後見人選びの主導権は完全に本人にあります。

一方、法定後見制度は、本人の判断能力が既に不十分になった後に、本人や親族などが家庭裁判所に申立てを行うことで手続きが開始されます。後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)は、家庭裁判所が様々な事情を考慮して選任します。申立ての際に候補者を挙げることはできますが、必ずしもその候補者が選任されるとは限りません。家庭裁判所が適任と判断した弁護士や行政書士などの第三者が選任されるケースも少なくありません。

手続きの開始時期についても違いがあります。任意後見契約は、契約を結んだ時点ですぐに効力が生じるわけではありません。実際に任意後見人が活動を開始するのは、本人の判断能力が不十分になり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した後です。一方、法定後見は、家庭裁判所が後見等開始の審判をし、後見人等が選任された時点から効力が生じます。

💡ワンポイント

やさしい行政書士事務所の視点としては、やはり「自分の意思で信頼できる人を選べる」という点が任意後見契約の最大の魅力であり、精神的な安心感につながると考えています。「いざという時に、知らない人が自分の財産を管理するかもしれない」という不安を抱えるよりも、元気なうちに自ら信頼できる人を選んでおくことの意義は非常に大きいと言えます。法定後見制度を利用せざるを得なくなる前に、任意後見契約という選択肢を検討することをお勧めします。

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ここがポイント!権限の範囲と本人の意思の反映度

任意後見人と法定後見人等では、与えられる権限の範囲にも違いがあります。これは、ご本人の財産を守り、生活をサポートする上で重要なポイントです。

任意後見人の権限は、基本的に「任意後見契約で定められた範囲内の代理権」に限られます。つまり、契約を結ぶ際に「預貯金の管理」「不動産の管理」「介護契約の締結」など、具体的に何を任せるかを決め、その範囲内でしか任意後見人は活動できません。契約書に書かれていないことについては、原則として代理権がありません。また、任意後見人には、本人が行った不利益な契約などを後から取り消す「取消権」や、法律行為に対する「同意権」はありません

一方、法定後見人等の権限は、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分かれ、法律でその権限が定められています。

  • 後見(判断能力が常に欠けている方):成年後見人には、財産に関する法律行為について包括的な代理権と取消権が与えられます(日常生活に関する行為を除く)。同意権はありません。
  • 保佐(判断能力が著しく不十分な方):保佐人には、申立ての範囲内で家庭裁判所が定めた特定の法律行為についての代理権が与えられます。また、借金、相続の承認・放棄、不動産の売買など、民法13条1項で定められた重要な法律行為について同意権と取消権が与えられます。
  • 補助(判断能力が不十分な方):補助人には、申立ての範囲内で家庭裁判所が定めた特定の法律行為についての代理権、同意権、取消権が与えられます。

以下の表で、権限の違いを比較してみましょう。

種類代理権同意権取消権
任意後見契約で定めた範囲内なしなし
法定後見(後見)包括的(財産行為全般)なしあり(日常生活に関する行為除く)
法定後見(保佐)特定の法律行為(要審判)あり(民法13条1項の行為など)あり(同意権の対象行為)
法定後見(補助)特定の法律行為(要審判)あり(特定の法律行為、要審判)あり(同意権の対象行為)

本人の意思の反映度という点でも違いがあります。任意後見契約は、本人の判断能力が十分なうちに、本人の意思に基づいて契約内容を作り上げるため、本人の希望を細かく反映させることが可能です。一方、法定後見は、本人の判断能力が低下した後に手続きが始まるため、本人の意思を正確に確認することが難しくなる場合があります。もちろん、法定後見においても本人の意思尊重は基本原則ですが、その実現には限界があることも事実です。

💡ワンポイント

やさしい行政書士事務所では、任意後見契約を作成する際、お客様が将来どのようなサポートを望んでいるのか、何を任せたいのかを具体的に、かつ丁寧にヒアリングします。そして、その希望を最大限反映できるよう、契約条項の表現を工夫し、オーダーメイドの契約書作成をサポートします。取消権がないという任意後見の特性も踏まえ、例えば家庭裁判所が任意後見監督人を選任する前から任せたい場合に、任意後見契約と同時に財産管理や身上保護等の事務を行うことを内容とする「移行型任意後見契約」にしたり、「見守り契約」を併用して本人の状況変化を早期に把握できるようにするなど、デメリットを補うための工夫もご提案させていただきます。

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任意後見契約のメリット~安心して老後を迎えるために~

任意後見契約には、法定後見にはない多くのメリットがあります。ご自身の意思で未来を設計できる点や、信頼できる人に託せる安心感など、具体的な利点を詳しく見ていきましょう。やさしい行政書士事務所がサポートするメリットにも触れます。

① 自分の意思で後見人を選び、託す内容を決められる

任意後見契約の最大のメリットは、何と言っても「自分の意思で将来の後見人を選べる」ことです。法定後見制度では家庭裁判所が後見人等を選任しますが、任意後見契約では、ご自身が最も信頼できる方を任意後見受任者として指名できます。

それは、長年連れ添った配偶者かもしれませんし、一番頼りになるお子さんかもしれません。あるいは、身近に頼れる親族がいない場合でも、信頼できる友人や知人、または法律や福祉の専門家(弁護士、社会福祉士、行政書士など)を選ぶことも可能です。やさしい行政書士事務所でも、任意後見受任者としてご依頼をお受けすることが可能です。「この人になら自分の将来を託せる」という納得感と安心感は何物にも代えがたい価値があります。

さらに、「何をどこまで任せるか」を契約内容で具体的に決められる点も大きなメリットです。例えば、

  • 預貯金の管理は任せるが、不動産の処分は一定の条件を満たした場合のみ認める。
  • 介護施設への入所手続きは任せるが、施設の種類や場所については本人の希望を最大限尊重する。
  • 毎月一定額の生活費を本人の口座に振り込む。
  • 定期的に本人の健康状態を確認し、必要な医療や介護サービスの手配を行う。

このように、ご自身の財産状況や生活スタイル、価値観に合わせて、委任する事務の範囲や内容を細かく設定することができます。法定後見のように法律で画一的に権限が定められるのではなく、オーダーメイドのサポート体制を築けるのです。

やさしい行政書士事務所では、お客様が誰を任意後見受任者に選ぶべきか、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを踏まえてアドバイスさせていただきます。また、どのような内容を契約に盛り込むべきか、お客様の希望を丁寧に伺いながら、将来起こりうる様々な状況を想定し、具体的で実効性のある契約書作成をサポートいたします。漠然とした希望を、法的に有効な形に落とし込むお手伝いをさせてください。

② 将来への安心感と柔軟な制度設計が可能

元気なうちに任意後見契約を結んでおくことで、将来への漠然とした不安が軽減され、大きな精神的な安心感を得ることができます。「もし自分が認知症になったら…」「一人になった時に誰が助けてくれるだろう…」といった心配に対して、「信頼できる〇〇さんに任せてあるから大丈夫」と思えることは、日々の生活を送る上での大きな支えとなるでしょう。

また、任意後見契約は、その利用形態において柔軟な設計が可能な点もメリットです。契約のタイプとしては、主に以下の3つがあります。

  1. 将来型:最も一般的なタイプ。現在は元気だが、将来判断能力が低下した場合に備えて任意後見契約のみを結んでおく。効力発生は将来の判断能力低下後。
  2. 移行型:元気なうちから、任意後見契約と併せて「見守り契約」や「財産管理委任契約」を結んでおくタイプ。判断能力が低下する前から、安否確認や財産管理の一部サポートを開始し、判断能力が低下したら任意後見契約へスムーズに移行する。
  3. 即効型:既に判断能力が低下し始めている方が、任意後見監督人の選任をすぐに申し立てることを前提として任意後見契約を結ぶタイプ(契約締結能力は必要)。

特に「移行型」は、判断能力が低下する前から任意後見受任者との信頼関係を築き、継続的なサポートを受けられるため、おひとりさまや身近に頼れる親族がいない方などにとって有効な選択肢となります。「見守り契約」では定期的な連絡や訪問による安否確認、「財産管理委任契約」では預貯金の管理や支払いの代行などを、判断能力がしっかりしているうちから依頼できます。

さらに、任意後見契約ではカバーできない「死後の事務」(葬儀、納骨、遺品整理、各種支払い・解約手続きなど)についても、別途「死後事務委任契約」を結んでおくことで、任意後見受任者(または別の方)に依頼することが可能です。これにより、亡くなった後のことまで含めた包括的な備えができます。

💡ワンポイント

やさしい行政書士事務所では、お客様の現在の状況、将来の希望、家族構成などを丁寧にお伺いし、任意後見契約単体だけでなく、必要に応じて「見守り契約」「財産管理委任契約」「死後事務委任契約」などを組み合わせた最適なプランをご提案いたします。ご要望に応じてご自宅や施設への訪問相談も可能です。また、LINEでの気軽なご相談や、事前予約による夜間・土日祝日の相談にも対応しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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デメリットと注意点

任意後見契約はメリットばかりではありません。契約後に後悔しないために、知っておくべきデメリットや注意点を解説します。費用負担や権限の限界などを理解し、事前に対策を講じることが大切です。

① 任意後見監督人の選任と費用負担

任意後見契約が効力を生じるためには、家庭裁判所によって「任意後見監督人」が必ず選任される必要があります。任意後見監督人は、任意後見人が契約内容に従って適切に事務を行っているか、不正をしていないかなどを監督し、定期的に家庭裁判所に報告する重要な役割を担います。これは、本人の利益を守るための仕組みです。

任意後見監督人には、通常、弁護士、社会福祉士などの専門家が選任されます。親族などが任意後見人になっている場合でも、監督人は第三者の専門家が就くことが一般的です。

ここで注意が必要なのは、任意後見監督人に対する報酬が発生することです。報酬額は、家庭裁判所が本人の財産状況や監督事務の内容などを考慮して決定しますが、一般的には月額1万円~3万円程度が目安とされています。この報酬は、本人の財産の中から支払われます。つまり、任意後見契約が続く限り、この費用が継続的に発生することになります。

また、任意後見人自身に対する報酬も考慮する必要があります。任意後見人への報酬は、契約を結ぶ際に当事者間で自由に決めることができます。親族などが無報酬で引き受けるケースもありますが、専門家に依頼する場合や、親族であっても負担が大きい場合には、相応の報酬を設定することが一般的です。これも本人の財産から支払われます。

監督人の存在は、任意後見人の事務の適正さを担保し、本人の権利を守る上で重要ですが、長期的な費用負担は無視できません。契約を検討する際には、これらの費用も含めた資金計画を立てておくことが大切です。報酬額の設定についても、後々トラブルにならないよう、契約時に明確に定めておくことをお勧めします。

② 取消権がない、死後事務は対象外などの限界

任意後見人の権限は、契約で定められた代理権に限られるため、法定後見人等(特に成年後見人)が持つような「取消権」がありません。これは重要な注意点です。

例えば、本人が判断能力の低下により、不要な高額商品を訪問販売で契約してしまったり、悪質なリフォーム業者と契約してしまったりした場合でも、任意後見人は「本人の代理人」としてその契約を取り消すことは原則としてできません(もちろん、契約自体に詐欺や強迫があれば民法に基づき取り消せますが、単に本人にとって不利益な契約というだけでは難しい場合があります)。法定後見の「後見」類型であれば、成年後見人が日常生活に関する行為を除いて取り消すことができますが、任意後見にはその権限がないのです。本人の財産を守るという観点からは、これはデメリットと言えるでしょう。

また、任意後見契約は本人の死亡によって終了します。したがって、任意後見人は、本人の死亡後の手続き、例えば葬儀や納骨の手配、役所への届出、遺品の整理、未払いの医療費や施設利用料の支払いといった「死後事務」を行う権限は原則としてありません。これらの手続きを誰かに頼んでおきたい場合は、別途「死後事務委任契約」を結んでおく必要があります。

さらに、任意後見人は、本人の代わりに医療行為(手術など)に同意する「医療同意権」もありません。ただし、入院手続きや医療費の支払いといった医療に関する契約行為の代理は可能です。

💡ワンポイント

やさしい行政書士事務所では、これらの任意後見契約の限界について、事前に十分にご説明し、対策をご提案しています。例えば、取消権がないリスクに対しては、任意後見受任者による定期的な見守り(訪問や連絡)を契約に盛り込み、本人の状況変化や不審な契約の兆候を早期に察知できるようにする、消費者契約法など他の法律による取消しの可能性を探る、といった対策が考えられます。死後事務については、必要に応じて死後事務委任契約の作成もサポートいたします。医療に関する意思については、リビングウィル(終末期医療に関する事前指示書)の作成を検討することも有効です。これらの対策を組み合わせることで、任意後見契約の限界を補い、より安心して将来に備えることができます。

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任意後見契約の手続きの流れと必要書類

実際に任意後見契約を結ぶには、どのようなステップを踏むのでしょうか。相談から公正証書の作成、契約後の手続きまで、具体的な流れを分かりやすく解説します。必要となる書類についてもリストアップします。

【STEP1】相談から契約内容の決定、公正証書作成まで

任意後見契約を結ぶまでの大まかな流れは以下の通りです。やさしい行政書士事務所にご依頼いただいた場合、これらのステップを丁寧にサポートいたします。

  1. 専門家への相談:
    まずは、任意後見契約に詳しい専門家(行政書士、弁護士など)や、公証役場に相談しましょう。制度の概要、メリット・デメリット、ご自身の状況に合った進め方などのアドバイスを受けられます。やさしい行政書士事務所では、初回相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
  2. 任意後見受任者の決定と依頼:
    誰に将来の後見人(任意後見受任者)を託すかを決め、その方に依頼し、内諾を得ます。ご家族、ご友人、あるいは専門家など、信頼できる相手を選びましょう。受任者が見つからない場合も、当事務所で受任者候補のご紹介や、当事務所自身が受任者となることも検討可能です(別途ご相談ください)。
  3. 契約内容の検討・決定:
    任意後見受任者と、委任する事務の範囲(財産管理・身上保護の具体的な内容)、任意後見人への報酬などを具体的に話し合い、決定します。やさしい行政書士事務所では、お客様のご希望を詳細に伺い、将来起こりうる事態も想定しながら、最適な契約内容をご提案し、契約書の原案を作成します。
  4. 必要書類の準備:
    公正証書を作成するために、以下の書類などが必要になります。
    • ご本人(委任者):
      • 戸籍謄本
      • 住民票
      • 印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内)と実印
      • または、運転免許証、マイナンバーカード等の顔写真付き公的身分証明書と認印
    • 任意後見受任者:
      • 住民票
      • 印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内)と実印
      • または、運転免許証、マイナンバーカード等の顔写真付き公的身分証明書と認印
    ※事案により他の書類が必要になる場合もあります。やさしい行政書士事務所が書類の収集からサポートいたします。
  5. 公証役場での手続き:
    事前に公証人と契約内容について打ち合わせを行い、日程を調整します。契約日当日、原則としてご本人と任意後見受任者が公証役場に出向き、公証人の面前で契約内容を確認し、署名押印して公正証書を作成します。ご本人が病気などで公証役場へ行けない場合は、公証人に出張してもらうことも可能です(別途費用がかかります)。やさしい行政書士事務所では、公証人との連絡調整や当日の同行もサポートいたします。

※上記は一般的な流れです。ご状況に合わせて柔軟に対応いたします。

やさしい行政書士事務所にご依頼いただければ、煩雑な手続きや書類準備の大部分をお任せいただけます。お客様のご負担を最小限に抑え、スムーズに契約締結まで進められるよう、初回相談から公正証書作成完了まで一貫してサポートいたします。LINEなどを活用した進捗状況のご報告も行い、お客様が安心して手続きを進められるよう努めます。

【STEP2】契約後の登記と効力発生(監督人選任)

任意後見契約の公正証書が作成されると、それで全て完了ではありません。契約後の手続きと、実際に契約の効力が発生するまでの流れを理解しておくことが重要です。

  1. 任意後見契約の登記:
    公正証書が作成されると、公証人は法務局に対して任意後見契約の登記を嘱託(依頼)します。これにより、任意後見契約の内容が公的に記録・公示されます。登記されることで、任意後見受任者(将来の任意後見人)は、必要に応じて「登記事項証明書」を取得し、対外的に代理権限を証明することができます。
  2. 契約の効力発生前(待機期間):
    登記が完了しても、すぐに任意後見契約の効力が発生するわけではありません。任意後見契約は、あくまで「本人の判断能力が不十分になった時に備える」契約です。本人が元気で判断能力が十分な間は、任意後見受任者は契約に基づく代理権を行使することはできません。(ただし、移行型契約で見守り契約や任意代理契約を結んでいる場合は、その契約に基づくサポートは行われます。)
  3. 効力発生のプロセス:
    実際に任意後見契約の効力が発生するのは、以下のプロセスを経た後です。
    1. 本人の判断能力の低下:認知症や病気などにより、ご本人の判断能力が不十分な状況になります。医師の診断書などで客観的に判断されることが一般的です。
    2. 任意後見監督人選任の申立て:判断能力の低下を確認した後、申立権者(本人、配偶者、四親等内の親族、または任意後見受任者)が、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して「任意後見監督人選任の申立て」を行います。申立てには、申立書のほか、本人の戸籍謄本、住民票、診断書、財産目録、任意後見契約公正証書の写しなどが必要となります。
    3. 家庭裁判所による審理と選任:家庭裁判所は、提出された書類や必要に応じて行う調査(本人や関係者からの聞き取りなど)に基づき、任意後見を開始するのが適当か、誰を任意後見監督人として選任するのが適切かを審理します。そして、適任者(通常は弁護士などの専門家)を任意後見監督人として選任する審判をします。
    4. 効力発生:家庭裁判所によって任意後見監督人が選任された時点で、任意後見契約の効力が発生します。この瞬間から、任意後見受任者は正式に「任意後見人」となり、契約で定められた代理権を行使して、本人の財産管理や身上保護の事務を開始することができます。

💡ワンポイント

やさしい行政書士事務所では、任意後見契約を作成した後も、お客様との関係性を大切にしています。将来、判断能力が低下し、任意後見監督人の選任申立てが必要になった際には、申立手続きに関するご相談や、必要書類の作成支援(司法書士等の資格が必要な部分は連携して対応)など、可能な範囲でサポートさせていただきます。契約を結んで終わりではなく、お客様の未来に寄り添い続けるパートナーでありたいと考えています。

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気になる費用は?任意後見契約にかかるお金

任意後見契約を利用するには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。契約締結時に必要な費用と、契約発効後に継続的にかかる費用に分けて、目安となる金額や内訳を具体的に解説します。

① 契約時に必要な費用(公正証書作成など)

任意後見契約を締結する際には、主に以下の費用がかかります。

費用の種類目安金額備考
公証役場に支払う費用公正証書作成 基本手数料11,000円契約1件あたり
証書の枚数による加算超過1枚につき250円通常4枚を超える場合に加算
登記嘱託手数料1,400円法務局への登記手続き費用
収入印紙代2,600円登記に必要な印紙代
正本・謄本代、郵送費等数千円程度証書の枚数や郵送方法による
専門家(行政書士など)への報酬5万円~15万円程度相談、契約書案作成、書類収集、公証人との調整等のサポート費用。事務所や内容により異なる。
合計目安約7万円~20万円程度 (+出張費、他の契約を併用する場合は別途)

※上記はあくまで目安であり、事案によって変動します。

公証役場に支払う費用は、法律(公証人手数料令)で定められており、全国共通です。専門家への報酬は、依頼する事務所やサポート内容によって異なります。

やさしい行政書士事務所では、ご依頼いただく前に必ず明確な費用のお見積もりを提示いたします。費用に含まれる業務内容、追加費用が発生する可能性などを丁寧にご説明し、お客様にご納得いただいた上で業務に着手いたします。費用の透明性を重視し、お客様が安心してご依頼いただけるよう努めております。

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② 契約発効後に継続的にかかる費用

任意後見契約の効力が発生し、任意後見人が活動を開始すると、主に以下の費用が継続的に発生します。これらの費用は、原則としてご本人の財産から支払われます。

  1. 任意後見人への報酬:
    • 任意後見契約を締結する際に、当事者間で自由に定めることができます。無報酬とすることも可能です。
    • 報酬額は、委任される事務の内容や負担の程度、本人の資力などを考慮して決められます。
    • 親族が任意後見人になる場合は無報酬や低額な報酬とすることもありますが、負担が大きい場合や専門家が就任する場合は、月額2万円~6万円程度が一般的な相場とされています)。ちなみに当事務所は月額11,000円から行っております(事案により異なります。
    • 報酬額、支払い時期、支払い方法などは、後々のトラブルを防ぐためにも、契約書に明確に記載しておくことが重要です。
  2. 任意後見監督人への報酬:
    • 家庭裁判所が、本人の財産状況や監督事務の内容などを考慮して決定します。
    • 一般的には、月額1万円~3万円程度が目安とされていますが、管理する財産が高額な場合などは、これより高くなることもあります。
    • 報酬は、通常、任意後見監督人が家庭裁判所に報酬付与の申立てを行い、審判によって決定された額が本人の財産から支払われます。
  3. 後見事務に必要な実費:
    • 任意後見人が事務を行う上で必要となる費用(交通費、通信費、郵送費、各種証明書の発行手数料、場合によっては税理士等への依頼費用など)も、本人の財産から支払われます。

任意後見契約は長期にわたることが多いため、これらの継続的な費用負担を考慮しておくことが非常に重要です。特に、任意後見監督人への報酬は必ず発生するため、ご自身の財産状況を踏まえ、将来的に支払いが可能かどうかを検討する必要があります。

💡ワンポイント

やさしい行政書士事務所では、任意後見契約の内容(特に任意後見人への報酬設定)を検討する際に、これらの継続的な費用負担についても十分にご説明し、お客様の将来の資金計画に無理のない範囲で設計できるようアドバイスいたします。目先の契約締結だけでなく、将来にわたって安定的に制度を利用できるようなサポートを心がけています。

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やさしい行政書士事務所が任意後見契約をサポート

やさしい行政書士事務所では、これまでの1000件以上の相談実績に基づき、お客様一人ひとりの状況に合わせた任意後見契約のサポートを提供しています。丁寧なヒアリングと、外国人の方や訪問希望の方にも対応できる体制が強みです。

お客様の想いを形に~オーダーメイドの契約書作成~

任意後見契約は、お客様の大切な未来を守るための重要な契約です。やさしい行政書士事務所では、単に法律の要件を満たすだけの契約書を作るのではなく、お客様一人ひとりの「想い」を丁寧に汲み取り、それを形にすることを最も大切にしています。

私たちは、まずお客様のお話をじっくりとお伺いします。どのような人生を歩んでこられたのか、大切にしている価値観は何か、将来どのような生活を送りたいのか、誰に何を託したいのか、不安に思っていることは何か…。財産の内容、ご家族との関係、健康状態、ライフプランなどを総合的にお聞きした上で、お客様にとって本当に必要な、最適な契約内容を一緒に考えます。

例えば、「特定の不動産だけは長男に相続させたいので、任意後見人には売却してほしくない」「趣味のサークル活動を続けられるように支援してほしい」「ペットの世話についても配慮してほしい」といった具体的なご希望も、可能な限り契約内容に反映できるよう努めます。複雑な法律用語も、分かりやすい言葉で丁寧にご説明し、お客様が十分に内容をご理解・ご納得いただけるまで、何度でも打ち合わせを重ねます。

これまでの1000件を超える相談実績の中で培ってきた知識と経験を活かし、様々なケースに対応可能です。例えば、過去には「遠方に住む子どもに負担をかけたくない」という方や、「事業の承継と合わせて自身の将来に備えたい」という経営者の方などのご相談にも対応してまいりました(プライバシー保護のため、詳細は省略します)。これらの経験に基づき、お客様の状況に合わせた、きめ細やかで実効性のある契約書作成をサポートします。

また、業務の効率化と正確性を高めるために、AI技術も活用しています。例えば、関連する最新の法令や判例のリサーチ、複雑な財産状況の整理などにAIツールを用いることで、より迅速かつ的確なサポートを提供できるよう努めています。もちろん、最終的な判断やお客様とのコミュニケーションは、代表行政書士である宮本が責任を持って行います。

訪問希望の方も安心のサポート体制

やさしい行政書士事務所は、様々なお客様のニーズにお応えできる柔軟なサポート体制を整えています。

訪問相談への対応:
「事務所まで行くのが難しい」「自宅でリラックスして相談したい」というお客様のために、ご自宅や入居されている施設への訪問相談も積極的に行っております。(地域によっては別途交通費をいただく場合があります)。足腰に不安のある高齢者の方や、介護中で外出が難しい方も、安心してご相談いただけます。

多様な相談方法:
お電話やメールでのご相談はもちろん、LINE公式アカウントを通じた気軽なご質問やご相談も歓迎しています。「ちょっと聞いてみたいことがある」「手続きの進捗状況を知りたい」といった際にも便利にご活用いただけます。また、Zoomなどのオンラインツールを利用したオンライン相談にも対応しており、遠方にお住まいの方や、お忙しくて時間の取れない方でも、ご都合の良い時間に相談が可能です。

柔軟な対応時間:
通常の受付時間は平日の9:00~18:00ですが、お仕事などで平日日中のご相談が難しい方のために、事前予約制にて夜間や土日祝日のご相談にも対応しております。お客様のご都合に合わせて、できる限り柔軟に対応させていただきます。

やさしい行政書士事務所は、お客様の状況やご要望に合わせた、きめ細やかで利用しやすいサポートを提供することで、任意後見契約という大切な未来への備えを、より身近なものにしたいと考えています。

まとめ

任意後見契約は、ご自身の判断能力が確かなうちに、将来の財産管理や生活に関する希望を信頼できる人に託すことができる、有効な備えです。「自分はまだ元気だから大丈夫」「まだ先のこと」と思っている方も多いかもしれません。しかし、認知症や突然の病気・事故は、いつ誰に起こるかわかりません。いざ判断能力が低下してからでは、ご自身の意思で後見人を選んだり、希望通りのサポート内容を決めたりすることは難しくなってしまいます。元気な今だからこそ、ご自身の未来について考え、具体的な準備を始めることが大切なのです。

この記事では、任意後見契約の基本的な仕組みから、法定後見との違い、メリット・デメリット、手続きの流れ、そして費用について解説してきました。任意後見契約は、自分の意思を反映させやすいという大きなメリットがある一方で、任意後見監督人の費用負担や権限の限界といった注意点も存在します。制度を十分に理解し、ご自身の状況に合わせて適切に設計することが、後悔しないための重要なポイントです。

しかし、法律や手続きは複雑で、ご自身だけで最適な契約内容を考え、不備なく手続きを進めるのは簡単なことではありません。契約内容の定め方一つで、将来の安心度は大きく変わってきます。

やさしい行政書士事務所では、これまでの1000件を超える豊富な相談実績に基づき、お客様一人ひとりの状況と想いに真摯に寄り添い、最適な任意後見契約の設計・作成を心を込めてサポートいたします。初回のご相談は無料です。どのような些細なことでも構いません。「何から始めればいいかわからない」「自分にはどんな備えが必要なのか知りたい」「とりあえず話だけでも聞いてみたい」という方も、どうぞお気軽にお問い合わせください。

当事務所は、ご自宅や施設への訪問相談LINEでの気軽なご相談も承っております。また、外国人の方の在留資格に関する手続きや、経営者の方の建設業・飲食業などの許認可申請、法人設立なども得意としておりますので、これらのご相談と併せて任意後見契約をご検討いただくことも可能です。お客様の様々なニーズにワンストップに近い形で対応できる体制を目指しています。

あなたらしい、安心できる未来のために、私たちが全力でサポートいたします。まずはその第一歩を、一緒に踏み出してみませんか。ご連絡を心よりお待ちしております。


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やさしい行政書士事務所
代表行政書士 宮本 雄介

所在地: 〒257-0003 神奈川県秦野市南矢名2123-1
電話番号: 0463-57-8330 (受付時間:平日9:00~18:00)
メール: info@yusukehoumu.com
ウェブサイト: https://yusukehoumu.com/

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